パッシブコミュニケーション
レッドスワローって結局……あの2人、もしくはアルギルトのコードネームだとすれば、まだ生きてるじゃん……
第62回、今回のあらすじ。
ドMがボコられて終わり。
今回は5000文字程度です。
結局僕は悪魔の足を食べた。
肉はかなり良い肉だった。正直とても美味しかった。けど焼いた方がよかったのかもしれない。
けど美味しかっただなんて言えない。倫理的に。
アルさんも、旨いか?とは聞いてきたけど、僕が頷くとそれ以上は何も聞いてこなかった。一応共食いにはならないんだけどね。
西暦1972年にアンデス山脈で発生した、ウルグアイ空軍機571便遭難事故は有名な話である。
生物というのは代謝できなければ死んでしまうのである。
デ「ダメです、全く居ません。」
アル「地図すら無いとはな……」
デ「衛星電話とか使えれば良いんですけどね。」
このヘルメットの無線は精々20km程度。ギリギリ成層圏に届くかどうか。
電離層のおかげでワイノスとの相対的な位置はだいたい測定できるが、ぶっちゃけ役に立たない。
デ「寒くなってきちゃいました……これ着ようかな。」
アル「おま、……そうだな、そうすればいいだろう。」
僕のパイロットスーツはもう血塗れだし傷だらけだしもうメチャクチャなので、とても着ていられない。
タクティカルウェアで服も作れなくはないが、サイズはちょっと合わないけど、目の前にあるものを使った方が手っ取り早い。これもかなり血がかかってるけどね。
死体はバラバラにして、作った氷塊の中に入れておいた。もしかしたら回収が来るかもしれない。
デ「機体、木端微塵に成っちゃいましたね。」
アル「帰れないな。」
デ「データも皆消えちゃいましたね。」
アル「悲しいな。」
デ「生きてるだけ良かったじゃないですか。」
アル「私だけ生きててもお前がいなければ明日には死んでたかもな。」
デ「またあんな強い敵に襲われたら今度こそ死んじゃいますね。」
アル「なら要塞でも作っておけ。」
デ「いやぁ、僕神崎さん程武器のレパートリーは無いんで、キツいですよ。」
アル「お前の銃は反動が大きすぎる。」
デ「そうですね。これでもかなりマシになった方ですけどね。」
アル「ドラムマガジンだったな?片手で持つには重すぎるだろう。」
デ「えへへへへへ……」
僕らにも神崎さんの、すぐ開き直るクセ?がついていた。等の本人は、もう、戻らないらしい。あれでもギリギリ精神崩壊は起こしていないんだとか……
海風は飛んでくる害虫から身を守ってくれる。とりあえず近くのビーチ辺りに仮拠点を築く事にした。まあ救助自体はいずれ来るはずなのだが……
次の日の朝、僕は潜在意識に起こされる形で目を覚ました。(当たり前かな?……)
ビーチで横になっていたら、突然海から何かが飛んできた。
僕は体を起こしそれを確認すると、
銛だったよ。
トラップに警戒しつつ僕はそれを手で掴み取る。
海の中には何かが見える。普通に考えてそれがこの銛を投げてきたのだろう。
状況は確認できたが、理解ができなかった。
その影は直ぐに海の奥へ行ってしまったが、僕はどうすることもできなかった。
デ「アルさんアルさん、起きてアルさん。敵襲です、攻撃を受けました。アルさんアルさん起きて起きて。」
アル「もーうるっさいなあ!」
アルさんは体を揺らす僕に苛立っていた。まだ海に太陽は見えない。
デ「アルさんこれ見てくださいよ。銛が飛んできたんです。」
アル「んなわけ……」
デ「だから敵襲ですって。」
アル「何でお前そんな落ち着いてんの?」
デ「何ででしょうね。」
アル「えっ?……」
デ「さあ……」
海の中に潜ってみても、なにも見つけることはできなかった。
せっかくだから魚も獲っておいた。今日の朝食は焼き魚だ。塩は耐熱容器が無かったので作れなかった。当に素焼きだ。陶磁器の素焼きと料理の素焼きは違うなんてことは誰でも知ってる。
アル「何?なら何故お前はその影を追わなかったのだ?」
デ「それじゃアルさんボッチでしょう。」
アル「ま、あ、まあ、そうだな……」
デ「まあまた寝てれば襲われますって。」
アル「バカかお前は。」
デ「いや、僕教われた原因、たぶんこの服のせいだと思うんですよね。ほら、資料にも半魚人とか人魚なる亜人の存在する可能性が高いって書いてあったじゃないですか。実際に一昨々日も獣人系の亜人達も見れたわけですし。」
アル「まあ、本当に居たな。」
デ「美しい朝日ですね。」
アル「そうだな。」
デ「暇ですね。」
アル「今はここを動かない方が良いのだろうか?」
デ「あっちの世界より、危険度はかなり高いですからね、塹壕でも掘りましょうか。」
アル「塹壕?何を掘るのだ?」
デ「人が入って身を隠すための長い穴ですよ。」
アル「なるほど。ならお前は掘ってろ。私が警戒する。」
デ「イイェッサー。」
という訳で、ショベルという名の槍を作る。
途中からこの物語を読んでくださった読者様は訳がわからないと思うので軽く説明させてもらいます。
僕と神崎(スィーバンの隊長)さんは魔力を使って一時的に武器を作ることができるのだ。
しかし、さっきも言った通り。僕は神崎さん程のレパートリーは無い。神崎さんは
大型クラスターロケットや
歩兵戦闘車両、
対空(近接信管)ロケットに
レーザーライティング対戦車ミサイル、
C4に
重機関砲、
赤外線センサー式信管に
バリスティックシールド
等々、
実に豊かな選択肢があるのに対して僕は、
大口径ハンドガンに
多少の自立誘導が可能なマジカルケミカルグレネードランチャーというヤバイ武器、
後は近接武器全般とコンパウンドボウだけだ。
質は良いけど寂しい。
防具に関しては、神崎さんは上でも書いた、バリスティックシールドにライオットシールドと、複合型の高性能バトルトレスなのに対して、
僕は"タクティカルウェア"という何でもありな感じだ。おまけに神崎さんのバトルトレスよりも強い場合が多い。たぶん弾幕に対してはバトルトレスの方が上だな。
と、いう感じでいろいろ作れるのである。使ったら消せる。消したら気持ち程度使った魔力が帰ってくる。
この武器が消える性質は、当然弾頭や破片にも適用されるので、前居た世界では武器の隠蔽にすごく役に立った。
で、ものにもよるが、ある経度は自信で好きなような設定ができるので、槍をショベルにしたのである。
気化した部分?それも"記憶の欠片"で説明されます。
最初から読んでたひとはもうわかっちゃいましたかね?記憶の欠片の内容を……
さて、塹壕を掘っていたらお日様も高くなってきた。
もう20m位掘ったけど、こんなに掘らなくてもよかったかもね。2人入れれば良いわけだし。
僕はショベルを置いて塹壕から外に出る。
アルさんはすぐ近くの木陰でパイロットスーツを脱いで座っていた。
アル「終わったのか?」
デ「終わりなんてありませんよ。」
アル「この森、虫が多そうだな。」
デ「熱帯ですから。」
アル「セイリック(第4章の舞台)と同じだな。」
デ「まあ気候はそうですね。」
という訳で、何故銛が飛んできたのかが知りたいので、アルさんには塹壕に入ってもらって、僕は海に背を向け横になる。遊軍機が来てくれれば早いんだけどなぁ……レッドスワロー……悲しいな……
次のイベントは案外早かった。まだ30分も経っていないのに背中からヤバイ感じがしてきた。アルさんは寝ている。
僕は2ロールしてから飛び起きる。そしてヤバイものを見た。
それはあれだ、よく見るあれだ。よく魔法で作られる水のドラゴンだ。水の渦でできた長いドラゴンだ。
想定と違いすぎる。
とりあえず僕はスチームで思いっきり飛翔しそれを回避する。1000mも飛べば流石に問題ないだろう。まあ体には単純計算でも36Gもかかったのだけれど……まあ平気なものだ。
(1000÷3÷9.8+1≒36)
しかししくったなぁ……サブソニックで飛んだら、マントを使っブレーキをかけても3000も飛翔してしまった。
(340÷9.8+1≒36。よかったぁ……)
といってもどうにかできるわけではないので、僕はそのまま降下する。着水ポイントはなるべく深そうな所。着水前に足にナイフだ。
それまでは30秒程のスカイダイビングだ。僕1人だったらこの手で自力でワイノス付近にたどり着けたんだけどな……
着水後も錐揉み等で減速するが、やはり海底との衝突は防げない。僕は砂煙に呑み込まれてしまう。
海岸からは3000m程はある筈だ。深度は40m位だろう。以外と浅いがそれでもかなり暗い、そしてすごい冷たい。さて、マーメイドさん達は居るのかな?
僕は肺に海水を注水する。
前にも書かれてた筈だけど、僕は水中呼吸ができる。それでもやはり排出には限界があるのであまり激しい運動はできない。けど行きを止めているよりかは断然マシだ。
そしてぼくは彼らを見つけた、あれはいわゆる半魚人だ。いいな、いいな、皆顔面偏差値高いよ、惚れちゃうよ。
さて、次のアクションはどうするべきか……とりあえずボコられるか。正義感溢れるイケメン達なら良い気持ちかもね。
30秒後、僕は身体中から血を流して背中だけが海から出ていた。たぶん死んだふりは上手くいったと思う。頭を狙われたときは危なかったよ……また服は新しいのを用意しないとな……
そして皆々様方は、白目で浮いている僕を見て異変に気が付かれたご様子。無抵抗だったし角とか無いしね。
「おい、これって、どういうことだよ……」
まあ可能性として資料にも書いてあったからあんまり驚かないけど、彼らは水中で発声できるみたいだ。それにこれは普段僕らが地上で話している感じの周波数と変わらない。もしかしたら彼らは空気中では発声できないのかもしれないな。
「これ、人間じゃないか?……」
その通りなのだが、次のアクションはどうするべきか……
「死んだんだよなぁ?」
その通りではないのだが、次のアクションはどうするべきか……
「何がどうなってるんだよ?……」
まあいろいろとありましたからねぇ。
とりあえず、ぷはぁ、でもしますか。
いや待てよ、一気に肺の海水を排水するには強く回転する必要があるではないか、それでまた彼らを刺激してしまう。困った。目だけ戻すか?いや……普通に排水しても6割以上は行ける筈だ。
という訳で僕は体を起こし、思いっきり水を吐き出す。
水面から顔を出してしまったので水中の音は聞こえない。肌で解るほどハイスペックじゃないからね僕は。
水面からだと下は見えない。ある程度の角度がつくと光は全反射してしまうし。真下は僕の血で濁っている。あんまり痛くはないけどね。
ヘッ、大したことない、こんなの擦り傷だ。という感じな痩せ我慢でもなんでもない。前回は死ぬほどいたかったけどね。普通の人間なら即死レベルだったからね、思い出すだけでも痛々しいよ。
まあとりあえずもう1度潜水をしてみる。
僕を囲んでいた方々は皆すごく驚いていた。知ってた。
しかし僕は海中では発声できない。ジェスチャーくらいしかできない。
まず「勘違いですよ。」ということを伝えるべきだろう。
まずは頭の上に両手で2つ輪を作って上下に動かす。
次に自分を指差す。
次にバツを両手で作る。
しかし、ジェスチャーというのは恐ろしいほどローカルなものだ。
"コンチャーッス"が"マジ死ねよお前"になってたりもする。
まあバツ以外は伝わる筈だ。
因に首を横に"いいえ違います。"と降っても、"ええその通りです。"となってたりもする。
皆何も喋ろうとしないのでもう1度水面に顔を出す。
もう1度いうけどまだ朝だからね?南国の海はそれなりに暖かいけど。
しばらく僕がその場で浮いていると1人が顔を出した。しかし何もしゃべらない。
デ「どうも、お早うございます。自分でも何が何だかよくわかってないんですけど、皆さんは何者ですか?」
もう血は殆ど止まっているので見えるが、下はかなり物騒なことになっている……もうこれ以上いざこざは起こしたくないのだが……反応から見ても悪魔達と敵対しているのは間違いないだろう。
「あんたは、人間なのか?」
まさか発声できたとは……しかも水中と声変わってないよ。魔法なのかな?それとも発声機関の仕組みが全く異なるのか?ということは後回しで、今はコミュニケーションだ。コミュショには辛いものなのだが……
デ「勿論人間ですよ。だけどここに来るのは初めてで、この地域ではリンチがコミュニケーションだったりするんですかね?」
とりあえず皮肉を言ってみる。しかし本当に何も知らないということは伝わってほしいのだ。
おかげで超引かれたけどね。
デ「昨日、悪魔に襲われて、服は無くなっちゃったんですよ。だから仕方無く剥ぎ取ったんです。」
もう嫌。
デ「まあ、勘違いですよね?わかります。そう信じたいものです……」
ダメだ、まだ口を開かない……
デ「大丈夫なんです。気にしてないんです。大丈夫なんです。」
もう逃げよう。
僕は会釈をして浜辺に向かって泳ぎ出す。
さて、リーモア艦隊はどうして見たこともない亜人の存在を知っていたのでしょうか?ちゃんと理由はありますよ。
水中では銃弾は強い摩擦ですぐに止まってしまいます。5.56mmNATO弾なんかは確か30cm程度しか進めなかったはず……
ロケットも制御は困難でしょうね。
となると、サラッと書かれていた"コンパウンドボウ"が有効でしょうね。多分電撃だけで行けそうだけど……JA改!なんつって……
一昨々日……おかしいよあれ……




