放課後【下】
何故、彼女が自分の名前を知っているのか。と周平の驚く顔を見たためか、氷華は初心な新入生に微笑みながら種明かしをする。
「自分では気が付いてないのかもしれないけど、一年の金糸雀周平と言えば、校内ではかなり有名なのよ。入学式では新入生の代表挨拶もしてるわけだしね。それに、実技は学年トップ、筆記でも最上位で入学してきた優秀な生徒を生徒会がマークしないわけないわ」
それから、わざとらしく落ち込んだ様子で続けた。
「でもまさか、生徒会専用の練習場に勝手に入って物を壊した挙句、何事もなかったかのように出て行こうとするとは思わなかったな」
氷華はその美しい清楚な笑顔で周平を見据える。無論、目はまったく笑っていない。
(先輩Sですか? でもこれ以上このままだと立場がな......)
「ついでに、外の第五練習場も生徒会の専用よ。でもどうして、中にはいれたのかしら? 鍵はちゃんとかけていたはずなのに」
氷華が周平を意味ありげな目で見ながらとぼけたように言う。犯人はすでに知っていますよと言うかのように。
自分が電流を操作してで壊しましたことを、盛大に悔やむ周平。
鍵はプログラム制御であるのだが、魔法で電流を生み出し電子信号を作る。という一年生(上級魔術師としてもだが)としては規格外の技術力を誇る周平は、いつものくせで鍵を壊しそのままドアを開けでしまったのだ。しかも、
(わざわざ職員室行くのもめんどうっだたしなぁ)
という本当にどうでもいい理由で。
「そうそう、私たち全員の紹介とあなたの質問への回答がまだでしたね。みんな、もう片付けはいいからこっちおいで~」
周平が一からするはずだったこの部屋の片付けは、先輩たちの善意によってある程度の収拾がついていた。
(無茶した跡がちょっとましになってるな。)
などと他人事のように周平が考えているうちに、数人の男女がこっちへ来る。
「副会長の百地采聖だ」
「生徒会、瀬戸鈴です」
「風紀委員長、田邊真利奈よ」
名乗る三人。
「えっと、この子たちの詳しい紹介は後でします。まずは練習場をぐちゃぐちゃにしてくれた周平君にうれしいお知らせです」
そういって氷華は周平を見る。
「さっきも言ったけれど、第五練習場は生徒会の管轄だから、今回のことはなかったことにしてあげます」
周平にとってとても多少救いだったのは、第五練習場は生徒会が管理(という名目で実質私物化)していて、専用の練習場にしているということだった。つまりは、生徒会の中での出来事として、内密に処理してくれるということだ。けれども、当然そんないい話には裏がある。
「そして、私がわざわざあなたに会いにここに来た理由は」
氷華は笑顔で言った。
「周平君。あなたを生徒会に入れるためです」
「そうですか............えっ!?」




