放課後【中】
周平は渡り廊下を渡って第3棟へ入る。目的地の練習場はこの第3棟の4階だ。2000年から約一世紀を経た今日でも階段は健在である。と言っても、周平のクラスは第5練習場と同じ4階であるためわざわざ階段を登る必要は無い。
さて、ようやく目的地へ着いた周平は、思いっきってドアを開いた......のだが、そこには予想外の展開が待っていた。
「これは......?」
部屋の中にはいくつかの人影。まだ集まったばかりなのか、準備は行われていないため、何の部活、いや、何の集まりなのかよくわからない。
そんな中で、周平は一人の男子生徒に目が留まった。茶髪で俗にいうスポーツ刈り。どもまでも深い濃紺の瞳。180cmを優に超える大男は間違いない。昼休みに会ったあの先輩だった。
思ってみなかった展開に立ちすくんでいると、例の先輩が近づいてきた。この場所は、今日は解放されないと目の前の先輩が言っていたはずだ。周平はすかさず問いかけた。
「あの、ここは、今日は使わないんじゃないんですか?」
だが、意外にも先輩は申し訳なさそうに答えた。
「ああ、そのはずだったのだが......こいつにお前のことを聞き出されてな。そしたらいきなり会いたいと言い出したんだ」
そういって、言ってとなりにいる女性を見る。黒い艶のある長い髪は背中まで伸びていて、かなり長い。白い肌に整った顔立ちの清楚な女性。
「えっと、この方は?」
「お前、自分の高校の生徒会長の顔と名前くらい覚えとけよ」
先輩が、呆れたように言う。
「ということは?」
「ええ。私は国立帝徳学院高校生徒会長、天白氷華。そして彼は、同校部活連会頭、緑谷駿太郎です」
周平の前にいるのが当校において、いや、同年代の魔術師としても最強の一角と称される三人の長「三大星」のうちの二人。
しかし、何故彼らがここにいるのかが周平には分からない。
「あの、先輩方は、どうしてこちらに?」
駿太郎がイラついて答える。
「だから、こいつが無理矢理ついて......」
「あ、いや。そういう意味ではなくて、えっと、何で天白先輩は、俺なんかに会いにわざわざこんなところに来たのか。ってことなんですが......」
氷華が答える。
「あら、あなたに興味を持ってたのは何も私だけではありませんよ。一年生の中でも、ずば抜けた才能の持ち主であるあなたには、私たち生徒会のメンバーも多かれ少なかれ興味を持ってたのですよ」
氷華はそこで言葉を区切った。そして、意味ありげな笑顔で続ける。
「機会があれば、会いたいと思っていました。金糸雀周平くん」
「!?」




