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IKAZUCHI  作者: 雪 渓
2章-奈良旅行-
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43/65

スケジュール

 今回は少し短めです。

 30分後。やっとのことで明日のスケジュールを作り上げた。山門高(むこう)との情報交換(予定合わせ)に半分以上の時間を割いたため、本当に大変だったのだ。


「あとは出来たスケジュール表をみんなに送ってっと」


 最後のボタン「送信」をクリックする。


「終わったぁ〜」


「やったね涼くん」


「うん。やっと終わったよ。あんなこと言っといて、周平はすぐに寝ちゃうし」


 周平は先シャワー浴びるからな。と言ってシャワーを浴びると、そのまま寝てしまったのだ。


「でも寝てる顔も可愛い」


 秘都美が珍しく顔を赤く染める。


「ひと姉ほんと周平にベタ惚れだよね。なんで?」


「何でだろうね。気づいたら好きになってた。多分初めて見た時から好きだったんだろうね」


「ふ〜ん。一目惚れってやつですか」


「うん。そうなんだろうね」


「それじゃ、俺たちも寝る準備しよっか」


「そうね。お風呂入らなきゃ」


 秘都美が涼稀を見つめる。


「おれは大浴場にいくから。てか、ひと姉見つめないで」


「冗談よ冗談。それじゃ私はここで済ませるね」


「わかった。それじゃ行ってくるから」


「は〜い」



 会話しながらも準備を進めていた涼稀が部屋を出て、秘都美もその準備を始めた。






 数十分後............


 大浴場から部屋に戻った涼稀は、再びパソコンの電源をつけた。


「まだやるの涼くん」


「うん。多分みんなからの質問もあるし、やらないといけないこともあるから。ひと姉は先に寝てて」


「私も手伝うって言いたいところだけど、睡魔には勝てないわ。明日楽しみだし、悪いけどお言葉にあまえるね」


「うん。お休み」


「おやすみなさい」


(周平もこのくらいの気遣いをしてくれたらな)


 という文句を心の中で呟いて、周平は画面にむかった。








 徳帝高校奈良研修旅行特製アプリを起動しますか?


 [はい]   [いいえ]



 ............はい、が選択されました。


 アプリを起動します。


    ーーー起動が完了しました。



 使用者の目的を認識。

 以下のファイルを開きます。


 ファイル:「奈良要塞の機能と国家における役割」

  編集者:灰桜(はいざくら) 涼稀(りょうき)







 戦場は一方的な破壊によって一変した。それまでとは比にならない血が流れた。各戦場にいたアジア兵の致死率は90%を上回ったと言われている。


 これにより戦争の優劣は逆転した。


 核兵器による攻撃の失敗に、戦場にいる大部分の軍隊の壊滅という大損害が重なり、アジア側は欧米側に講和を持ちかけた。

 多大な損害を出しつつも、未だに各資源でアジア側が有利であることに違いは無かった。


 欧米側も、これ以上の損害を出すわけにはいかず、幾つかの条件を提示してこの講和を受け入れた。


 講和はこの時代においても永久中立国であるスイスの首都ストックホルムで行われた。


 アジア側は全アジア同盟の解散、欧米側との国交の回復、欧米側はアジア側と同じく同盟の解散、国交回復を承認した。そして、今回の戦争に参加した国々は、共に今後50年間は戦争を行わないということを受け入れた。


 さらに、アジア側は自軍に甚大な被害を与えた欧米側の少数精鋭部隊の内容について説明を求めた。


 何も知らない欧州諸国はかしげるばかりであったが、日米の両国の軍事トップは会談に会談を重ね今後の人類の発展を願うという名目でその情報の一部を公示した。もちろんこれですべてであると言い張って。


 この後、数年おきに日米軍は共同開発したと言って、少しずつ魔法についての情報を公開し始めた。この時に一般人に知らされた情報が現在の魔法の元となったものである。


 さて、このレポートは奈良要塞についてのものだが、要塞は今回説明した第三次世界大戦においてさほど目立っているわけではない。それどころかほとんど登場していない。しかし、この対戦の終結の後、奈良要塞は目をつけられるようになった。


 最重要の情報を保管する場所として。






 編集を終了しますか?


   [はい]   [いいえ]


 ............はい、が選択されました。


 上書き保存が完了しました。アプリを終了します。







   ◆◇◆◇◆◇




  深夜。作戦準備の第二段階目が開始された。


 船はすぐ離岸できるよう田舎の岸に遭難する形でとまった。


 過疎化の影響で現在この地方にはほとんど人が住んでいない。さらにこの辺りは波が荒く、船は近づくことはなく、今も人影は見当たらない。


 荒れる黒い海の反り立った崖。そこにとまった船では、各隊の小隊長の指示のもと、密やかにかつ素早く、ことを進めて行く


 兵士を積んだトラックが4台、船を出た。

 さらに、30人ほどの集団が山陰へと散って行った。おそらく、明日の明朝には作戦の決行が始まるだろう。


 船に残っているのは、船を動かすための船員と、怨命(えんめい)だけだった。

 洪成(こうせい)も張峯(ちょうほう)も30人の集団とともに出動してた。


 すべての仕事が終わると、船は岸を離れ再び海へと出て行った。 




   ◆◇◆◇◆◇

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