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IKAZUCHI  作者: 雪 渓
2章-奈良旅行-
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動き出す......闇

 「中心部」の見学が終わり、外に出てみるとすでに日は落ちかけていた。

 周平(しゅうへい)と涼稀(りょうき)はその場で輝喜(てるよし)と智晴(ともはる)にその場で別れを告げ帰路についたのだった。


 今はバスに揺られているところだ。


「にしても凄かったな。朝日さんたち」


「うん。まさかヘリが迎えに来るとは思わなかったよ」


 輝喜たちと別れてすぐに、二人がどのようにして帰るのか確かめようと振り返ると、先ほどまで自分たちのいた場所に、ヘリが向かっていた。

 周平たちがまさかと思って見ているうちに、あっという間に二人を乗せて飛んで行ってしまったのだった。


「やっぱ五師家ってすげんだな」


「うん。本当にね。一般人とはスケールが違うよ」


 こうして話しているうちに、時間は過ぎ、バスは周平たちの目的地にとまった。


 外に出ると日はもうくれていた。


「涼稀、今何時だ?」


「えっと、もう7時近いね。早く帰らないと夕食に間に合わなくなるよ」


「そっか。それじゃさっさと帰るか」


 二人は足早に旅館へ戻るのであった。




  ◆◇◆◇◆◇




 部屋に一人の人影がある。


 彼は上下に揺れる船内で、数日前からある連絡を待っていた。


 ある作戦の大部分。約三ヶ月の時をかけた第一段階がそろそろで終わるはずだった。


 男は初老と言ってもいい歳であり、元の黒髪にはすでにところどころ白髪が混じりっていて、黒ではなく灰色に見える。


 しかし、椅子に座る背筋はしゃんとしていて、体には無駄なものは見当たらなかった。ほとんどない脂肪に必要最低限の筋肉。まさしく「武」の道に通じる洗練された肉体であった。


 不意に、部屋に音が響いた。

 扉がノックされたのだ。


「洪成(こうせい)様。よろしいでしょうか」


「張峯(ちょうほう)か。入れ」


「はっ」


 張峯と呼ばれた男が入ってくきた。こちらはまだ青年であった。


 黒髪を短く刈り上げたたくましい男だ。彼もまた「武」に生きる者なのだろう。洪成と同じく体には余分なものが一切ついていない。


「何のようだ」


「はい。ようやく内部の準備が整った。ということをお伝えにまいりました」


 張峯が頭を下げながら、報告をいれる。


「そうか。この船の準備はどうなっている」


「私が部下からの報告を受けたあと、すぐに準備するように言っております。もうじき完了しますかと」


「わかった。それでは、私は怨命(えんめい)様にこのことを伝えてくる。お前は持ち場に戻り、準備ができ次第もう一度報告に来い」


「はっ。それでは失礼いたします」


 一礼して張峯が部屋から退出した。


 洪成は座ったまま数度深呼吸して、椅子から立ち上がった。


「ようやく始まるか」


 彼は独り言を呟くと、そのまま部屋を出て怨命のいる部屋へ歩いて行った。




   ◆◇◆◇◆◇




 周平たちが旅館へ戻ると夕食の準備はもう整っていた。

 二人は急いで部屋に戻り、少ない荷物をおいで食堂へ降りて行った。


 昼食の時と同様に氷華の挨拶で夕食は始まり、美味しい料理は次々に口に運ばれていった。


 終盤、デザートのためにお皿がすべて運ばれたあと、それまで機会を伺っていた周平が口を開いた。


「天白先輩。それとみんな、少しいいですか」


「どうしたの周平くん」


 それから周平は(ちょくちょく涼稀に助けてもらいつつ)昼にあったことを話した。



「というわけで、明日山門(やまと)高校にいける人は、就寝までに俺に連絡お願いします」


 聞いていた者たちは異口同音に了解を意味する言葉を発する。


 その直後、デザートが運ばれて来たことで一旦その話はやめになり、食堂はまた他愛もない雑談の声で騒がしくなった。




   ◆◇◆◇◆◇




 コツンコツンという足音と共に歩を進める。

 階段というよりかは、梯子と言った方が正しいだろう。えらく急な階段をいく度か上り下りして洪成は怨命(えんめい)のいる部屋へ向かった。


「怨命様。洪成です」


「入れ」


 感情のない無機質な声が返ってきた。


扉を開け一礼する。あまり広くない部屋には怨命が一人だけ、ゆったりと椅子に腰掛けていた。机の上には書類がきちんと整頓されておかれている。


「陸での準備が整いました。船内もそれそろ準備が終ります」


「そうか」


 怨命はそう言っただけだった。


 無言で洪成を見る彼の体は、細かった。洪成や張峯のように筋肉があるわけでもなくて、ただただ細いだけだった。構成と同じく髪に白いものが混じり、シワの多い怨命の見ためはただのひ弱な老人だった。


 だが、よくみればその目には強い力がたぎっていた。それは時に見るものを魅了し、時に恐怖させてきた。


「張峯(ちょうほう)から準備完了の報告を受け次第、連絡を入れます」


 各部屋には有線の電話が取り付けられている。洪成や張峯がわざわざ部屋に出向くのは、自分の部屋でじっとしているのが嫌だからだ。彼らの仕事はもともと自分の体を動かすことなのだ。


「わかった。準備にあとどれくらいかかる」


「15分以内には」


「そうか。ではそろそろ港に向かうよう指示を出す」


「了解しました。それでは私は以上にて」


 洪成はまた一礼して部屋を辞した。


 今後どのような動きで自分たちの作戦を成功させるか。思案にふけりながら、慌ただしくなってきた船内を歩いて洪成は自室へと帰った。




   ◆◇◆◇◆◇




 周平たちが部屋に帰ると、さっそく翔と天悠(てんゆう)が部屋に入ってきた。


「おじゃましま~す。周平、俺たちも一緒にいくから」


 翔が勢いよく宣言した。


「おっけー。んじゃ涼稀よろしく~」


 パソコンに向かって何やら打ち込んでいた涼稀が顔を上げる。


「たまには周平も手伝ってよ」


「雑用(こういうの)はおまえの仕事」


 と、周平が言い終わると同時に着信音がなった。周平はポケットから携帯端末を取り出してメールが来ていることを確認すると読み上げはじめた。


「えっと、天白先輩からだな。『三年生も全員参加するからお願いします』だってよ。それじゃ涼稀よろしく」


「............」


 涼稀が無言で周平に訴えかけていると、ドアが開いて秘都美(ひとみ)が入ってきた。


「周平く~ん。2年生は全員行くってっ~」


「だって涼稀」


「もういいよ......」


 涼稀は諦めたように、否。諦めて大きなため息をつくと、改めてパソコンに向かう。


「涼稀かわいそうだね天悠」


「そうだな」


 慰めるの言葉をかき消すように、涼稀が言い放つ。


「それじゃ、朝日さんに送っとくから今日はこれで解散ね」


「だそうだ、翔、天悠、また明日な。多分明日の日程については30分ぐらいしたら涼稀がメールで送るから」 


「ちょ、周平仕事増やさいないでよ!」


「それじゃ、涼稀よろしくな」


「よろしく」


 涼稀の心を無視した挨拶と共に翔と天悠は部屋を出て行いった。


「まあまあ、涼稀。俺も一緒に考えてやるからそう落ちこむなって」


「いや、全部周平のせいだから」


「まあ、いいじゃねぇか。みんなで行ったほうが楽しいだろ? それにどうせみんな行くつもりだったんだろうから、山門高校(むこう)の負担も減らせて一石二鳥だろ?」


 ことの発端である周平が言い聞かせるようにいう。


「そうそう、二年生組(私たち)も、行く予定だったし。ほら、一緒に考えるからがんばろう」


 それまで黙って二人のやり取りを見ていた秘都美が口を開いた。


「わかったよ、それじゃ早くおわらせるよ」


 三人は、明日の山門高校訪問のためのスケジュールを作り始めた。


 話がかなりごちゃごちゃしていてわかりにくかったともいます。申し訳ありません。

 もし、全くわけがわからん! という方がおられましたら教えてください。


 よろしくお願いします。

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