↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IKAZUCHI  作者: 雪 渓
2章-奈良旅行-
PR
37/65

奈良要塞

13:29

インターネット回線にウイルスが侵入。

……………………


13:33

ウイルスの撃退及び情報の回収を完了しました。


 徳帝高校奈良研修旅行特製アプリを起動しますか?


 [はい]   [いいえ]



 ............はい、が選択されました。


 アプリを起動します。


    ーーー起動が完了しました。



 使用者の目的を認識。

 以下のファイルを開きます。


 ファイル:「奈良要塞の機能と国家における役割」

 編集者:灰桜(はいざくら) 涼稀(りょうき)






『人員収納型計画要塞都市奈良』


 略称、奈良要塞。


 奈良。古代の権力者法隆寺や東大寺を始めとする数々の遺跡には、古代の趣き(おもむ)を感じることがで(・)き(・)た(・)都(みやこ)だった。


 第3次世界大戦。通称出魔戦争。世界を巻き込む大戦争であり、「魔法」という概念を一般人が認めざるを得ない状況を作り出した大戦争。奈良要塞が完成したのは、この大戦争の始まる数年前のことだった。


 国会において奈良盆地全体を、わずか五カ年で国民の命を守るための要塞に作り変えると言う一大計画が提案された。


 この時点で世界情勢はかなり深刻な問題を抱えており、数年前に憲法の第九条が改正が行われた事実もあり、国民を守るための要塞を建造せることに反対する国民ははほとんどいなかった。


 しかし、五年と言う短すぎる期間で本当に戦争を前提とした耐久力を持つ要塞を建造することはできるのか。一方では疑問を挙げる声も少なくなかった。


 しかし、政府は強引に奈良要塞の建設を決定。そして五年後に、この大工事を終えてしまう。


 結果、数々の文化的遺産が点在する奈(・)良(・)盆(・)地(・)は、人口的に作られた分厚い壁によって太陽の光の届かない地下の世界へと追いやられてしまった。


 五重塔の頭上。つまり分厚い壁のその上には、最新鋭の防衛兵器が積み込まれた高層ビルが颯爽と立ち並び、さらにその上空を透明な特殊素材で囲まれた大要塞の変貌を遂げたのだった。こうして日本の真ん中には、異様なドームが形成されたのだ。


 政府は当時の科学力では到底無理とされた計画をやってのけた。だが、この成功が先ほど出された疑問の声をかき消したわけではない。そもそも、その工事の手段は一般には非公開。当然のごとく、手段の分からない工事によって造られた奈良要塞は、耐久力が貧弱なのではないか。という意見だ挙げられ、それをを主に、反対派は強さをましていった。


 こうして、奈良要塞が完成した後も、賛成、反対の意見の混乱は続いた。しかし、そんなことも言ってられない大事件が起きてしまった。そう、ついに第3次世界大戦が幕を開けたのだ。


 欧米、アジア、南の国々と、世界を三つに分けておこなわれた大戦争は3年に及んだ。日本はこの戦争にアジアの一端であるにもかかわらず、欧米側として参戦。

 

 戦争初期、ここ十数年で米国との関係強化と軍備の増強を最重要課題としてきた日本は、戦争を有利に展開していた。


 しかし大戦が2年目を過ぎたころ、アジア側と太平洋を隔てた欧米側の東アジアにおける「最前線基地」である日本では、欧米、特にその大半を負担する米国からの資源の調達がうまく機能なくなり始め、物資的にだんだんと苦しくなっていく。


 だが、悩みがあるのははアジア側も同じなのであった。

 1年を半分過ぎたころ、南の国々は戦争を続けるアジア、欧米側に対して戦争の勝者の軍門に下るとして降伏。


 甚だ身勝手な話ではあったが、アジア、欧米の二大勢力は二つの勢力を一度に相手取るのは無理だと考えそれを了承。よって、この時点で戦争はアジア側と欧米側の一騎打ちとなっていたのだ。


 戦争直前では二ヵ国で世界人口の約4割強の比率を占めていた中国、インドの有力国家を中心とし、世界最大の石油産出地帯であるアラブ諸国を抑えるするアジア側は、とにかく人が多い。対する欧米側は3割弱を占めるのみである。だが、同時に文化も多かった。特に宗教面での違いは痛かった。南の国々の戦線離脱により、戦後の結果が現れ始めると、アジア側の勢力では仲たがいが始まりつつあったのだ。


 欧米サイドに戻る、資源の面で日本が厳しい状態にあったと述べたが、この時、資源的に悩んでいたのはなにも日本だけではなかった。戦争を続ける二大勢力は、人(・)的(・)資(・)源(・)と、最(・)先(・)端(・)の(・)科(・)学(・)力(・)によって微妙な均衡を保っていたものの、人的資源に乏しい欧米側は後半戦。物的資源に悩まされ続けていた。


 人口、具体的には兵士の数が少なくなれば、当然その質を高めなければ多数の敵を倒すことはできない。科学力の高い現代において、それは兵士の肉体のみならず彼らの使用する兵器の質も高めなければならないということになる。すると、当然のごとく多大な資源が必要になってくる。


 そして戦争とは、ものを破壊する行為を正当化させられた世界である。

 破壊が正義であると認められた世界では、物は躊躇なく破壊されていく。


 たとえそれが、一台数十億円の人型戦車でも。

 一機数百億円の戦闘機でも。


 大量の破壊が行われる中で、一度に大量の資源を必要とする欧米側はどうしても物的資源にも経済的にも劣勢に立たされる。それは同時に大戦以前から論点となっていた人的資源の問題も同時に深刻な悩みとして欧州側トップ陣を悩ませていく。


 一方その頃のアジアサイド。欧州側の劣勢が目に見える形となったことで、仲違いは再骨頂に達しようとしていた。大戦でそれまでよりもさらに巨大な富を得た西アジアの国々は連合とは別に独自の軍事開発を執行。莫大な資金の投入により数年後には最先端科学力を保有する米国に追いつくペースであると発表した。


 しかし、連邦議会においてインド、中国はそれを積極的に批判。その場で大きな議論が起こった。アジアサイドには大きな亀裂が入ってしまう。


 それでもなお、アジア側が各資源において優勢を保っていることには変わりない。それを理解するアジア陣営のトップは、これ以上すれ違いを起こし、今だに優勢である戦況を破局に導かないように、連邦会議においてある早期大戦の終結の案を可決した。


 第二次世界大戦において、その終結を決定づけた人類最悪の兵器の使用によって。






 以上、[1:30]現在、涼稀のまとめた奈良要塞についてのレポートより。

 ファイルを閉じます。






「涼稀、よびだしきたぞ~」


 涼稀は、画面を睨んでいた目を周平に移す。


「ふぅ~。ねぇ、周平。レポートのはじめの方書いてみたんだけど、どう思う? 」


「ん~っと? 」


 画面に並んだ文字列を周平の目が追って行く。そして読み終えた周平はその感想を言う。


「えっとさぁ、出魔戦争の話多くね? 奈良要塞出てきてねぇじゃん。これじゃ出魔戦争の話になるぜ? 」


「うん、まあそうなんだけど、一応関係深いし、詳しく書いといた方がいいかな~って」


「続きでどんな風に奈良要塞出てくんのか知んねぇけど、論点ずらすなよ? 」


「わかってるよ。ご飯食べたら続き書くし。それに......」


「周平くん、涼ちゃん、ご飯なくなっちゃうよ~? 」


 涼稀が何か言い終わる前に先ほどの旅館内放送によって昼食の時間であることを聞きつけた秘都美が、廊下から周平たちに声を掛けた。


「ま、それは飯食った後だな」


「そうだね」


 2人は笑うと、部屋を出た。

高級そうな絵が壁にかけられたそして廊下の壁に掛けられた高級そうな絵を見ながら、秘都美と共に食堂へと向かった。

テスト期間なのに更新してしまいましたw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。