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IKAZUCHI  作者: 雪 渓
2章-奈良旅行-
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33/65

災難な贈り物

何とか書き終えました......

眠くて死にそうです。(笑)

「周平遅いなあ」


 閉会式は第1練習場で行われることになっている。涼稀たちの行った銭湯や、シャワールームからは近いのだが、周平が秘都美を迎えに(?)いった専用治療室からは、結構な距離がある。


「そう心配しなくても大丈夫だって涼稀(りょうき)。一応、青影先輩もいるんだし」


 心配する涼稀に翔(しょう)が声をかける。


 式場――第1練習場――のそばにある控え室には、表彰を受けることになった各学年の上位3チームが集まっていて、もはや集合していないのは周平と秘都美だけである。


「もう閉会式が始まるまで30分切ってる。受賞者(わたしたち)は20分前には集合することになってるし、あんまり時間はないよ」


 そういう紫乃(しの)の顔は不安でいっぱいである。

 秘都美(ひとみ)がいるとはいえ、もう時間がないことに変わりはない、翔の言葉もむなしく、4人の顔は暗い。

 3年生に敗れたとはいえ、仮にも2年生を倒した全校No.2の一年生たちである。何が何でも注目はあつめてしまう。その中でもっとも派手だった周平が遅刻するなど、今後のことを考えるとあまりいいことではない。


 が、そう考える4人の前方に、青い髪をした少女と、細身の少年が腕を組んで歩いてくるのが見えた。


「周平のやつ、こんな時までイチャイチャしやがって」


「まあ、しょうがないよ。あれ、たぶん悪いのはひと姉だし」


 周平の腕に抱きついている秘都美を見て、涼稀はため息混じりにつぶやく。


「すまんみんな、心配かけたな」


「いいよ。どうせ半分くらいはひと姉のせいなんでしょ? 」


 半分あきらめた表情の涼稀に、秘都美がふくれっつらになる。


「もう、涼くん。そんな言い方しなくてもいいんじゃない? 」


「ま、事実だからな。しょうがないですよ。あと、そろそろ腕はなしてください。周りの目線が痛いです」


 涼稀の質問にイェスと答えた周平は、いまだに腕に抱きついて離れない秘都美にそう告げる。秘都美はさすがにあきらめたのか、そうね。と言って周平の腕をはなれ、


「それじゃあ周平くん。あとでね~」


 と言って、二年生の集まりに行ってしまった。


「閉会式開始まであと10分です。選手の皆さんは、私たちの後についてきてください」


「いよいよ閉会式だね」


「ああ、やっと終わるな」


「うん」



   ながい戦いが終わりに向かうことで、安心感を覚える周平。

   

   しかし、彼にとっての閉会式は

  「戦いの終結」を意味する式ではなく、

  「新たな戦いの幕開け」を意味する式になってしまった。






「これから、閉会式を始めます」


 涼稀は、開会式は特になかったのだが、閉会式はちゃんとあるというなんとも不思議な行事だな。

 などと、今になって考える。

 現在式場となっている第一練習場では、南北100m東西100mのグランドに、先生たちがグランドの南側に一列でなって生徒たちのほうを向いて並び、朝礼台のような発言者が上る台をはさんで、受賞者(周平たち)が、学年、チームごとに先生たち(南側)を向いて並んでいる。その後ろにそのほかの生徒が特に列になることもなく並んでいる。

 ただし、生徒会のメンバーは入場こそ受賞者と一緒にしたが、並んでいるのは先生列の隅の方になっている。


 普通の朝礼の並び方で並んだ前方に、代表者の列がある。と考えてみるとよいかもしれない。


 とにかく、先ほどのアナウンスで、閉会式は始まり、現在校長の話となっている。

 

 やがてそれも終わり、受賞タイムとなった。


「それでは、これから成績発表に移ります。まずは、第一学年」


 一年生から順に、学年順位が発表されて行く。みんな結果はわかっているため、特に騒いだりするものはいない。ただ、先生列の端っこにいる生徒たちの表情が、少し緩んでいる。


「それでは、全学年賞に入ります。各学年の代表は、前に出てきて下さい」


 周平たちが前に出て横に並ぶ。もちろん、二年生、三年生も一緒だ。


「さて、実はこの大会。優秀者にはビックなプレゼントがあります」


 式場がどよめく。周平たちも、同じくあっけに取られている。

 

「(おい涼稀、こんなこと聞いてたか? )」


「(いや、聞いてなかった。そもそも、プレゼントなんて聞いてなかったし)」


「それでは、受賞に移ります」


 そんな周平たちをよそに、式はどんどん進んでいく。


「まずは、優勝した三年生! 」


氷華たちが前に出る。横一列になってメダルを受け取り、賞品を受け取......るぅ?

 氷華は賞品を持った校長から、マイクをにこやかに奪うと、振り返って言葉を告げる。


「みなさん、今回の賞品の受賞は、元々優勝者である私たちの分しかありません。

 そして、優勝賞品の贈呈は、私たち生徒会が考案してサプライズとして用意したものです。しかし、プレゼントを用意した人がプレゼントを貰うって、少しおかしいですよね? 」


 氷華はそう言って一度言葉を区切る。

 後方の生徒からも、賛成の声が上がる。


「それでは、私たち三年生は今回のプレゼントを受け取ることをやめ、見事に二年生を破り、私たちをも苦しめた、一年生代表のメンバーに渡すことを望みます。校長、良いですか? 」


「もちろん」


「さてさて、天白会長のご意向により、今大会の賞品は、一年生代表に送られることになりました。それでは、一年生。前に出てきて下さい」


 5人は言われるがままに前へ出て行く。


「それでは、賞品を贈呈します! 」


 5人はそれぞれに賞品を受け取る。周平と涼稀は、「一応自分たちも仮とはいえ生徒会に入っいるのにな」と考えながら、差し出された箱を受け取った。


(あれ、なんか軽すぎないか? )


 周平たちに渡された賞品の箱は、小学校のお道具箱ほどの大きさで、えんじ色をしている。いかにも中に重たそうなものが入っていそうなのだが、実際に持ってみると相当軽い。


(一体何が入ってるんだ? )


 前をみると、氷華が楽しそうに笑っている。それを見て、これはあんまり良くないことがおきそうだ。と感じた周平は、そうでありませんようにと願いながら受け取った品を持ち、他の4人と一緒にもといた場所に戻って行った。


 その後式は淡々と進み、最後に今日の授業は無しということが告げられたあと、各自解散となった。






 閉会式の解散後、生徒会メンバー及び部活連盟手と風紀委員長と一年生の代表メンバーは、生徒会議室に集まっていた。


「さ〜、一年生諸君。その箱を開けて見たまえ」


「青影先輩、この中何が入ってるんですか」


「うーん、実は私にもよく分からないんだ。これは会長と副会長しか関わってないから」


「まあとりあえず開けてみようよ」


 閉会式が終わって、この軽すぎる箱の中身が何なのか興味心身だった翔が、一番に蓋を開ける。


「え〜と、これは? 」


 箱の中に入っていたのは、封がされた一つの封筒。


「翔くん、開けて見てよ」


 紫乃にせかされた翔は、封筒の封を切る。中に入っていたのは......


「えっと? 奈良旅行ご招待券? 」


 封筒にはチケットと一緒にパンフレットも入っている。


「んっと、この券にはペアで奈良を格安旅行できるチケットです。ただしチームリーダーにおいては、このチケットの有効人数を自身を含め3人までとすることができます......?」


 翔がパンフレットの最初の部分を読み上げる。


「なあ、これってさ......」


 周平は、部屋の人間を見ていく。

 氷華、駿太郎、真利奈、采聖(さいしょう)、鈴(れい)、そして秘都美。

 チケットの有効人数から、メンバー数の5を引く。


2×5+1-5=6


「あの、会長? これって......」


「あら、有効人数がちょうどここにいる人数とおんなじ数ね」


 氷華はただただ楽しそうに笑い、その他の上級生もニヤニヤと笑う。


 涼稀はやられたと方を落とし、周平はこれから起こるであろう災難をどうやり過ごすかを模索していた。






「さあ、周平く~ん。せっかくきたんだから楽しまなきゃね」


「はい」


 さすがに、あなたがいると楽しめませんと言う本音は口が裂けても言えないため、素っ気ない返事だけを秘都美に返す周平。


(ああ、結局先輩たちも付いてきちゃったなぁ~)


 悲しみあふれる周平は、この先一週間をどう乗り切るか、彼の持つ前知能をフル動員して考えていた。

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