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IKAZUCHI  作者: 雪 渓
1章-校内大戦-
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25/65

二年生ー布石ー

あんなこと言っといて、更新がこんなに遅くなってしまいました。

大変申し訳ありません。

  双子兄弟の晴樹と知樹は、自分たちの前に立つ後輩とにらみあっていた。相手は、緑髪の美形風使いと、これまでほとんど魔法を見せていない紫の髪をした女。


「これだからイケメンは嫌いだ。すぐ女と一緒にいたがる」


「そういうなよ智樹。ああいうのには女が寄ってくるんだよ。


 弟の智樹の愚痴を兄である春樹が戒める。


「先輩、来ないんだったらこっちから行きますよ! 」


 そういって緑髪の美形風使いは、詠唱を始める。さらに紫乃も短弓型のMMOを取り出し、後ろに下がりながら構える。


「わが風の力、槍の形となりて敵を襲う......槍疾風(ゲイル・スピアー)」


「火の精よ我に彼を焼き尽くす力を......業火球(ヘルファイアー)」


  圧縮された空気の槍と燃え盛る炎の塊が双子に向かっていく......が。


「俺たちだって、仮にも二年生の中で優勝した5人の内の2人だぜ」


「そう簡単にやられるかよ! 」


  春樹と智樹は口々に台詞を吐いて無(・)詠(・)唱(・)で魔法を発動する。


「天雷の守護壁(サンダー・バリア)」


「灼熱の盾(バーニング・シールド)」


 雷と炎の壁が双子をつつみ、翔と紫乃の攻撃を阻む。


「「さて、次はこっちからだぜ」」


 春樹が雷の槍(エレクトリック・スピア)を、智樹が炎の剣(フレイムソード)を発動させ走り出した。


「紫乃! あいつらの相手は俺がするから援護してくれ! 」


 直接の戦闘には向かない紫乃をかばってか、翔は魔法で圧縮空気による双剣を発動させて紫乃にいう。紫乃は頷き、短弓型MMOと同じ形状の弓をさらに4つ。魔法によって自らの周りに展開する。


「いくぜ先輩」


 翔は春樹と智樹に突っ込む。三色の武器が鮮やかに舞う。その舞の中に、ときより群青や緋色をした矢が吸い込まれていく。

 

  遠くから見る観客は大画面に映る戦いを歓声を上げて見ているが、当の本人たちは気が気でない。特に援護射撃があるとはいえ、近距離型の先輩2人を相手にしている翔の顔には疲労の色が見えてきていた。


 (はやく終わらせてくれよ涼稀)


 時間がかかるとはわかってはいても、早く準備が整うことを祈っている翔だった。






 上空から風の矢が飛んでくるのをよけながら、涼稀は、自分の仕事をこなすためにほぼ全力で、10000㎡ある会場を走っていた。目的は周平と一緒に作り上げた「アレ」を発動させるため。発動に多くの準備が必要な分、絶大な効果を発揮する。

 

 しかし、昨日の先輩たちの試合を見る限りこれだけで絶対に勝てるという確信ははい。さらに言えば、勝ったとしても次に相手をする氷華(ひょうか)たちに同じ手は使えない。


 (そんなことはどうだっていいんだ! )


 涼稀は、機敏ゆえに頭に浮かぶ悪い連想を断ち切り自分の今やるべきことへと意識を戻す。


 今もなお放たれる上空から放たれる攻撃をかわしつつ、自作魔法の発動を維持しながら目的達成のために会場内を走り続ける。






 5mほどの間をあけ周平と采聖(さいしょう)と対峙していた。周平ははっきり言って焦っていた。周平の剣撃にたいして、采聖がそれに魔法のみで対応していたこともあったが、それだけではなかった。


 同級生相手に圧倒的な力の差を見せつけていた周平ではあるが、今回の相手は二年生の中においても圧倒的な力の差を見せつける優等生である。とはいえ周平の力が劣っていたことが焦りの原因というわけではない。


 むしろ単純な力では周平のほうが少し上回っているほどだ。しかし、幾度となく「決まった」と感じた手ごたえを感じても、何事もなかったように構えている采聖の姿が、相手が魔法しか使わないこと以上に周平に焦りを与えていたのだ。


 これまで体験したことない焦りに、周平の動きが少し鈍った。采聖はその隙を逃がさない。


 一瞬のうちにに無詠唱で魔法を発動した。周平の足元の地面がめくれる。普段なら飛び退ってかわせる範囲だったが、小さな隙のせいで足元がすくわれる。


「清乱飛散(ディスダット・フライト)」


 魔法名だけが詠唱された采聖の魔法が周平を襲う。飛散された超圧縮空気が吸い込まれるように足元をすくわれた周平にあたった。完全にヒット。周平が吹き飛ぶ。しかし、流石ともいうべき反射神経で空中で体勢を整えて地面に着地する。


「見事だな周平」


 采聖の言葉。発動までの時間が早く、その中で最も威力の高い魔法を発動し、完全にヒットしていたにもかかわらず、空中で体勢を整え着地した周平に采聖は舌を巻くばかりである。


 相手も焦っているようだが、こちらもかなりやばい。危機感を抱く采聖だったが、再び雷剣(サンダーソード)を発動して切りかかってくる周平に全力で対抗すべく魔法発動の準備に取り掛かった。






「あ~ら、あなたは攻撃してこないの~? 」


 愛刀をしなやかにふるいながらの秘都美の問いかけに天悠は無言を貫く。しゃべっているどころではないのだ。専用MMOによって発動される魔法を駆使して秘都美の太刀に耐えてきたが、魔法的な反撃ができない天悠は体格差がありながらも少しずつ秘都美に押されてきていた。


  九つの専用魔法は六つが常時展開型魔法(一度発動するだけで壊されるか術者が解除するまで発動している魔法)で三つが防御魔法。現在発動している専用魔法は三つ。残り六は、次々と繰り返される剣撃のなかでは発動できない。せめて涼稀の準備が早く整えば......。


  そう考える天悠だったが、現実はあまくない。涼稀も必死に頑張ってはいるが、空からの攻撃と各所で行われている戦闘のせいでなかなかうまく行っていない。


  天悠が考えている間にも秘都美の太刀は休む事なく動いている。両腕に展開された大地の盾(アースシールド)で斬撃を受け流しつつ、強化された身体で秘都美の腹へ鋭い蹴りをいれる。

 

  しかしまたしてもその蹴りは空を切る。秘都美の瞬間移動(テレポート)。これには天悠も対抗できない。発動を無効化する魔法はあるにはあるが、やはりこのスピードの中では使うことができない。


  天悠の背後に秘都美現れ、そのまま袈裟斬り。天悠はそれを躱して拳を突き出すという類稀な反応をしつつも、またしても瞬間移動(テレポート)で躱される。そして間をとって秘都美が目の前に現れる。


  さっきから幾度となく繰り返されてきたパターン。この攻撃には身体的にはもちろん精神的にもかなりの疲労を強いる。ここまで耐えている天悠の精神力に、秘都美でさえ多少感心してるほどだ。


  そんなことは考えもしない天悠は、涼稀の準備がいち早く終わることを願い、無言で秘都美の攻撃に備えた。





  (彼の目的は何かしら? )

 

  試合開始直後から会場内を走り続けている涼稀を上空から見て、鈴(れい)はずっと考えていた。彼のただ単に敵の攻撃から見えているだけのようにも見える。が、それとは全く違った目的があるようにも思える。


  一応の牽制として、彼を狙って魔法による攻撃はしている。しかし、仲間全体の状況を把握しつつ攻撃を当てるには彼女には少し技術不足であった。


  彼女が得意なのは、広範囲の攻撃系魔法。しかし、涼稀は仲間の戦闘の間をすり抜けるようにして走っているため、広範囲魔法は使えない。


  (彼は意図して走っているかな? それともただ単によけているだけなのかな? )


  しかし、よけることが目的ならわざわざ敵がいる方に走る必要は無い。疑問は幾つもあるが、鈴はあまり考えるのが得意な方ではない。


  だが相談しようにもいま仲間はみな戦闘中だ。晴樹と知樹の2人と秘都美は余裕そうだが彼らもそういうタイプではない。頼りの采聖は、周平と激戦中だ。


  鈴は仕方がなく疑問を抑え込み、自分ができることに集中する。


  ふと采聖を見ると、周平の剣が迫っている。とっさに風の矢(ウィンドアロー)複数展開して周平に浴びせた。






  上空から降ってくる矢の雨に周平は、よけざるを得ない。

  周平は、あと一歩というところで大将を討てなかったことを悔しく思い鈴を一度睨みつけ、再び采聖の方へ向きあう。





  周平に睨みつけられた鈴はそれに少しの苛立ちを覚えつつ、次の仕事にかかる。

  そして、会場を見回したとき、涼稀の足が止まり不敵な笑みを浮かべているのが目に入った。





「さあ......パーティーの始まりだぁ!!!」




......そうなんです。まだ続くんです。

ごめんなさい。


でも次はもうほとんどできているので

早めに更新します。

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