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IKAZUCHI  作者: 雪 渓
1章-校内大戦-
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23/65

二年生

  司会の確認に、采聖と相手チームのリーダーが頷く。


  ふ~ん。リーダーは百地先輩なのか。まっ、そうだろうな。青影先輩も瀬戸瀬戸も隊長には向いていないだろうし。

 


『それでは、二年決勝戦、スタートッ! 』


  開始の合図と共に、秘都美が消え、鈴が一瞬で戦局の見えやすい高さに上昇する。


  あれは多分風を纏いし者(エンベロップト・ウィンダー)。いや、もし瀬戸先輩が風を纏いし者(エンベロップト・ウィンダー)だとしても、それだけじゃあんなに垂直に速く上昇は出来ない。下から上昇気流を起こしでもしないと......そういえば、瀬戸先輩の得意魔法は風と火だったか。なるほど、それじゃあやっぱり上昇気流を使ったのか。


  風を纏いし者(エンベロップト・ウィンダー)とは、術者が風を纏いその風の力で上空を自由に飛び回るという、風属性の中でも術者自身を対象にした魔法では最上位に位置する魔法である。しかし、この魔法単体では、自分が走る速さ程度の速さでしか移動することはできない。だから鈴は、火属性魔法によって瞬間的に上昇気流を生み出し、それに乗って高速て上昇したのである。


  まだ試合が始まってから1秒と過ぎていない。


  相手チームは、目の前から一瞬2人の敵が消えたことに少し動揺したが、すぐに攻勢にかかる。

  しかしその一瞬。敵の後方に秘都美が現れた。手には淡く青色に光る刀を持っている。


  秘都美はそのまま、まだ気付いていない一番後ろの敵に斬りかかる。


「ウッ......」


 最後方にいた選手はうめき声をあげて倒れ、そのまま会場の外に強制移転された。


「一人目おーわり」


  周平といる時とは違う、楽しそうな目で秘都美が言った。





「秘都美ちゃんが笛吹(うすい)くんを倒した。あと4人。後方2人が防衛魔法を詠唱し始めたわ」


「了解」


  頭の中に直接聞こえてくる鈴の声に采聖は言葉で返す。

 

  全く、鈴の思念波(テレパシー)は便利だな。情報がすぐに来るのはありがたい。


  それにしても、こうも早く敵さんが減ってくれるとこっちとしては面白くないな。秘都美もちょっと熱くなりすぎだろ。俺のやることがなくなっちまう。


「晴樹(はるき)は右。知樹(ともき)は左を頼む。俺は引き続き鈴の護衛だ。すまんな」


「言いてことよ」


「頑張ってねリア充さん。多分あいつらはこっちに来れないけど」


  晴樹、知樹が口々に言って、目的の相手へ走って行く、



  相手チームは現在4人。内2人は防御系でリーダーは遠距離型、もう一人は近距離型。

  対して采聖たちは、防御系の采聖、遊撃手役の秘都美、戦況報告兼遠距離型の鈴。そして近距離型の2人。


  晴樹と知樹の2人が詠唱中の敵2人に向かったことで、鈴と采聖はガラ空きになった。

 

 そこに相手の近距離型が采聖に向かって猛進を始め、リーダーが詠唱を始める。


「我が雷(かみなり)よ、一本の槍となりて敵を貫け......雷の飛槍(サンダー・ライン)」


  敵のリーダーが魔法を放つ。放たれた白い閃光が鈴に迫る。


  一方采聖も、身体強化された敵がすでに目前まで迫るが動けない。


  敵の手には何時の間にか握られていた赤々と燃える炎の剣を采聖に振り下ろす。


「采聖! これで終わりだ! 」


  敵2人が同時に叫ぶ。が、


「ざんねーん。そうはいかないよ」


「俺の彼女に手出しはさせねない」


  瞬間移動(テレポート)で現れた秘都美の太刀が炎の剣を止め、采聖の創り出した三重の壁が敵の閃光が鈴に届くのを阻んだ。


「さて、次は俺たちの番だな」


「ええ、そうね」


  采聖が詠唱を始め秘都美が刀を構える。


「神々しき風がすべてを切り裂く......」


「我が太刀の込められし力。今その一つを開放せよ......」


「神の旋風(ゴッド・ストリーム)!」


「水連華(スイレンカ)」


  采聖によって起きた一陣の風が敵を跳ね飛ばし、秘都美の太刀が鮮やかに舞い相手を切り裂く(ように見えたが実際は専用MMOで守られていて体にダメージはない)。


  2人は会場外へ消えて行った。


「采聖ありがとう。そろそろ私も戦うは」


  今まで上空で待機したままだった鈴が采聖に思念波(テレパシー)を送る。


「ああ、頼んだ。晴樹、知樹、後退だ! 」


「「了解」」


「力混ざりて灼熱の業火を呼ぶ......火焔猛羅(スコーチング・インフェルノ)! 」


  2人が飛び去った瞬間、燃え盛る炎の塊が相手の二人を襲う。相手は防衛魔法を組み上げるも、意味虚しく会場の外へ強制的に移転された。


『今回も、素晴らしいコンビネーションで勝利したのは、ウニヴェルズムだ! 』


  会場から歓声が沸き起こった。





「すげえな、涼稀」


「感心してる場合じゃないよ。次やるのおれたちなんだよ。分かってる? 」


「でさ、ウニヴェルズム てどういう意味なんだ」


「ドイツ語で、宇宙とか万有とかいう意味。てうか俺の話聞いてた? 」


  話を聞き流された涼稀が少し怒った口調でいう。


「そうか。おまえの話も聞いてるよ。さすが二年生だな。予想以上に強かった」


「そうだね、でもあれに勝たなくちゃ」


「そうだな。

 なあ、涼稀。お前今回何か熱くないか」


「そーかな。そうかもしてない。なんたって、久々に周平と一緒に強敵に立ち向かえるんだからね」


  涼稀がはにかみながら言った。

  周平はそっぽを向く。


  昼休みを告げるチャイムが鳴った。

 




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