入会
周平にとって気がかりだったチームの結成(彼にとっては人数集めくらいにしか考えていないが)も終わり、涼稀と周平は生徒会議室へと向かっている。
「にしても、よくすぐに3人も集められたな」
「この行事があるのは、先輩から聞いててだいたい予想してたたからね。入学式の次の日に、学年で集会があっただろ。あの時に、パイプをつくっといったのさ」
入学式の次の日には新入生交流会というものがある。内容はその名前の通り、入学したばかりの1年生同士が交流を深めることで、それに際して部活への勧誘も行われる。涼稀はこのイベントのときに数多の人脈パイプを作っていたのだ。
ちなみにこのイベントも、生徒会執行部の企画で行われていた。
そのあと数回の会話のを交わし、2人は生徒会議室に到着した。ノックをして部屋に入る。
「失礼します」
「いらっしゃい。周平君。涼稀君」
部屋にいたのは、声を返してくれた氷華、そして采聖、真利奈。氷華はコの字型にならべてある机の奥の部分に、采聖と真利奈は周平たちからみて左側にそれぞれ座っている。
「えっと、生徒会のことなんですが......」
「ちょっと周平くん。何も入り口にたって言わなくてもいいじゃん。とりあえず座わんなよ」
入り口に立ったまま話を進めようとする周平たちに真利奈が声をかけた。声をかけられた二人は「あっ」と声を上げ、誰も座っていない右側の席に座った。
「それで、入ってくれますか? 」
氷華がたずねる。
「はい、2人の間では、もう入る決心はしています。ただ......」
「ただ、どうしたの」
「そこは、俺のことなんで俺から言わせてください」
言いにくそうにしている涼稀に代わり、周平が答える。
「どうぞ」
「えっと、前回の練習場でのこともそうなんですけど、俺、まだ自分の力をコントロールできていないんです。そのせいで、最近は少なくなったんですが小さい頃は魔力が暴走することがよくあったんです」
周平の言葉を聞いて、氷華たち3人は驚く。保有する魔力が膨大であるとき、幼少のときに魔力のコントロールが上手くいかず暴走してしまうとこは、よく。とまではいかなくとも、たまに耳にすることはある。五師八家の直系である、駿太郎は多すぎる魔力に押しつぶされ、幼少のときに3度ほど暴走している。しかし、あくまでも幼少のときである。普通、年齢が上がるにつれ精神面が強化されていくため小学校の高学年になる頃には、自分の魔力をコントロールすることが出来るようになり、少なくとも暴走することはない。
しかし、周平はちがう。彼はすでに1年とはいえ高校生である。それに彼は、学校にハッキングを仕掛けて成功するほどの魔術師(の卵)である。精神面が弱いはずがない。第一、生徒会のメンバーと風紀委員長(真利奈)、部活連盟主(駿太郎)たちは、練習場での一件を周平のイタズラだと思っていた。
「それで? 条件というのは何? 」
「はい、俺の暴走は感情が昂ぶった時に起こります。で、俺って負けず嫌いなトコがあって、それが練習でもついつい暑くなってしまうんです」
「それで、暴走しそうになったら、私たちに止めてくれと? 」
「はい。無茶は言いません。無理してるなって思ったら、軽く声をかけてくれればいいだけです。それで頭は冷えるんで」
氷華は少し悩んだが、分かったわ。と言った。
「涼稀君は何か条件みたいなのある? 」
「いえ。無いです」
「それじゃあ、2人は今日から生徒会の一員ね」
「「はい!」」
その時!
ノックもなしにいきなり戸が開く。そこにいたのは......。
「青影先輩......」
周平の口から、ううっ。っと息が漏れる。
「やっほ~。おめでとう涼ちゃんと周平くん。天白先輩、今日は2人にようはないですよね」
「......ええ」
「それじゃあ、2人とも一緒にかえろ~」
「分かった。さあ周平も行こうよ」
「俺は嫌だ! 」
「そんなこと言わずにさ~。ほら帰ろうよ~」
と言いながら、秘都美は周平の腕に抱きつく。
「あーもう! 分かりました。分かりましたから、ベタベタしないで下さい! 」
こんな二人のやり取りを、生徒会メンバーと風紀委員長はニヤニヤしながら見ていたのであった。




