表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
倉庫の光さん〜左遷先で恋が動き出しました〜  作者: 桃山あんづ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/67

誠実な告白

お疲れ様会から、一夜明けた。


当然、川野は昨夜の一件で、ろくに眠れていなかった。

今日はまだ、佐渡と顔を合わせていない。


“倉庫の1人席”である事に、これ程感謝したのは初めてだ。



(あぁぁぁーっ!!どうしようっ!)



頭を抱える川野。

仕事が全く手につかない。


以前の川野なら、すぐ付き合いをスタートさせただろう。

しかし、それで上手く行った試しがない。


佐渡は上司で、仕事での関わりも多い。


(また上手く行かなかったらどうしよう⋯)


川野が慎重になるのも無理もない。


でも、理由はそれだけだろうか?





トントンッ、ガチャッ―


「失礼します。」


佐渡が入って来た。


「川野さん。その節は、本当にすみませんでしたーっ!!」


入って来て早々、謝り倒してきた。



「えっ?あっ!全然!気にしないで下さい。」


川野は、酔っ払った勢いで口説かれただけなのだと思い、安心した。



佐渡が申し訳なさそうに続けた。


「川野さん⋯、酔っ払った勢いで告白してしまい、すみませんでした。こういう事は、酒が入ってない時にするべきですよね。⋯仕事中ですが、全く手につかないので言いに来ました。川野さん、改めて言います。好きです!付き合って下さいっ!」



予想に反し、告白し直されてしまった。

佐渡らしい、ど直球な告白だ。



どうするべきなのか?

佐渡の事は、嫌いなわけでは無い。

むしろ、好感度も上がっている。


「えっと⋯。」


川野は答えに迷っていた。


サッ―


佐渡は川野の両手を、握った。

そして真っ直ぐ瞳を見つめた。


「川野さん。僕と川野さんとは、仕事でも私生活でも、お互いを理解し合えると思うんです。そりゃ、綺麗好きの度合や、飲める酒の量など、違うところもありますが。⋯一緒に仕事をしていると楽しいんです。そして、川野さんの家にお邪魔した時、恋人になったらこんな生活が待っているのかなと、つい想像してしまったんです。だからどうか、チャンスをください!」



佐渡はいつから川野を想っていたのか。

彼の力強く誠実な言葉に押され、思わず目眩を起こしそうだ。



(この人となら⋯。ちゃんと付き合えるかも知れない。)



川野は、佐渡の手を握り返した。


「お友達からで良ければ、よろしくお願いします。」








ガチャッ―


早速、佐渡からランチに誘われ、出掛けていた川野。

昼休憩が終わり、倉庫へ帰って来た。



すると、パイプ椅子に座り、山本が待ち構えていた。

川野のデスクの上には、個包装のシュークリームが2つ並べてあった。



「こんにちは。川野さーん。今日は外食だったんですかぁ?」


いつものマイペースな調子で、山本が聞いた。


「⋯こんにちは山本係長。先日は、焼き芋ご馳走様でした。ランチは外でパスタを食べました。美味しかったですよ。」




「⋯恵介とですか?」




川野は胸がギュッと苦しくなった。



私に興味なんてないと言ってたくせに、なぜここにいるのか?何でそんな事を聞くのか。



昼休憩の時間はとっくに終わっている。



早く自分の部署へ帰ってほしい!




「そうですよ。実は、佐渡さんとは⋯。」


「良い仲なんですね。」




川野はコクリと頷いた。


山本がニコッと笑った。



「⋯⋯ふふっ、良かったです。川野さん、ここへ来た当初は、孤独そうだったから心配だったんですよ。でも、恋人まで出来たなら良かったです。相手が恵介なら、安心です。口は悪いけど、良い奴ですから⋯⋯じゃぁ、これはお祝いの気持ちです。シュークリーム、美味しいですから、恵介と食べて下さい。」




そう言って微笑み、山本は倉庫を去って行った。



きっともう、この倉庫には来ないだろう。





(もう⋯何も考えたくない⋯)



今の川野の顔はとてもじゃないが、佐渡には見せられないくらい、酷い顔だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ