第八章 金の鍵を求めて
芋虫のもとを離れ、リサたちはキノコの森の奥へと進んだ。
巨大なキノコが林立するその光景は、まるで異世界のジャングルのようだ。
「鍵は……どこにあるんだろう?」
リサが見上げると、ひときわ大きなキノコのてっぺんに、
金色に輝く小さな鍵が引っかかっていた。
「……あれだ!」
白ウサギが耳をぴんと立てる。
「でも高いよ! あんなの、普通じゃ届かないよ!」
帽子屋が腕を組んで言った。
「だからこそ、キノコの出番なんだよ」
リサは芋虫からもらったキノコを取り出した。
左右で色が違う、不思議なキノコ。
「片方をかじれば小さく、もう片方をかじれば大きく……だよね」
「そうだよ。でも気をつけてね。食べすぎると大変なことになるから」
白ウサギの忠告に、リサはこくりと頷いた。
◆ 大きくなるリサ
リサはキノコの“右側”を少しだけかじった。
「……!」
『Systems Update Scale 2000%』
目の前に文字が表示された途端に、体がじわりと熱くなり、視界がぐんと高くなる。
「わっ……大きくなってる!」
白ウサギが慌てて後ずさる。
「ひゃああ! で、でかい!」
帽子屋は落ち着いた声で言った。
「食べすぎるなよ。天井に頭をぶつけるぞ」
リサは慎重にキノコのてっぺんへ手を伸ばした。
「あとちょっと……!」
指先が鍵に触れた――その瞬間。
「うわっ!」
体がさらに伸び、キノコの森全体が足元に見えるほど巨大化してしまった。
「ちょ、ちょっと大きくなりすぎたぁぁ!」
白ウサギが叫ぶ。
「だから言ったのにぃ!」
リサは慌ててキノコの“左側”をかじった。
◆ 小さくなるリサ
『Systems Update Scale 0.2%』
今度は体が急激に縮み始める。
「わっ……小さく……!」
どんどん小さくなり、ついには白ウサギよりも小さくなってしまった。
「ちっちゃ!?」
帽子屋が目を丸くする。
「これはこれで問題だな……」
リサは小さな声で叫んだ。
「でも鍵は取れたよ!」
リサの手には、しっかりと金の鍵が握られていた。
白ウサギは感心したように言った。
「すごい……! あんな状況でよく取れたね!」
「ふふん、やればできる子なんだよ!」
リサは胸を張ったが、体が小さすぎてあまり迫力がない。
帽子屋が苦笑する。
「さて、元の大きさに戻らないとな」
リサはキノコを見つめ、慎重に“右側”をほんのひとかけらだけかじった。
すると――
『Systems Update Scale 2500%』
「……戻った!」
元のリサの大きさに戻る。
白ウサギがぱちぱちと拍手した。
「やったね、リサ!」
「うん! これで小さな扉を開けられる!」
リサは金の鍵を握りしめ、胸を高鳴らせた。
(これで……帰るための第一歩が踏み出せた)
その思いが、リサの足取りを軽くした。




