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【BL】冷酷な最終兵器は俺にだけ執着する ーFalling into E.D.E.N ー  作者: 雨森ユキ


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断章ⅲ 個体調査報告書(IWSC-INT-2053-Σ-017)

 



 統合世界安全保障評議会(I.W.S.C.)機密文書


 文書番号:IWSC-INT-2053-Σ-017

 機密区分:最上位機密(Ω-CLASS)

 閲覧権限:評議会直轄メンバーおよび指定監査官のみ

 作成日:2053年██月██日

 作成部署:統合監視局/特異個体評価課



 個体調査報告書

 対象個体識別情報

 氏名:桐生きりゅう 蒼真そうま

 年齢:23歳

 性別:男性

 国籍:不明(多国籍研究機関所属扱い/ゲノム解析により日本人であることは判明済)

 現所属:I.W.S.C.直轄 AI戦略開発局・E.D.E.N統括開発室

 役職:E.D.E.N開発統括主任執行研究官



 概要

 対象個体は、現行人類圏において確認されている中で最も高度なAI設計能力を有する技術者の一人であり、人工知能統合システム「E.D.E.N」開発計画において中核的役割を担う。

 本来複数年の審査・選抜を経て任命される当該プロジェクト責任者に対し、対象は例外的措置として22歳時点で抜擢された。

 ※当該決定は評議会内部でも極めて異例であり、「人類の未来を単一個体に委ねるに等しい著しく偏った判断」として記録されている。



 ・知的能力および経歴評価

 -幼少期より高度な論理構造理解能力を示す

 -正規教育課程を大幅に短縮

 -量子情報処理・自己進化型AI・意識模倣アルゴリズムの分野において既存理論を逸脱した独自モデルを構築

 特筆すべきは、対象の開発したアルゴリズム群が「人間の意思決定構造そのものを再現・上書き可能である」と評価されている点である。

 これは対象個体が単なるAI開発技術者ではなく、人間性そのものの設計者に近い領域へ到達していることを意味する。



 ・対象個体は史上最年少で複数分野の博士号を取得。

 特に人工知能工学、量子情報工学、認知神経科学の横断研究において突出した成果を示した。


【保有学位】

 博士(人工知能工学)

 博士(量子情報工学)

 博士(認知神経科学)

 博士(情報倫理学)

 博士(システム統治学)



 ・EDEN開発計画における役割

 対象個体は以下三層の役割を同時に担う。

 1. 開発責任者

 ・E.D.E.Nの中枢構造設計者

 ・全意思決定アルゴリズムの最終承認者

 2. 制御補助因子

 ・未完成状態のE.D.E.NおよびAHI-09との接続点

 ・人類側の“調整弁”として機能

 3. 制御不能時の破壊機構候補

 必要に応じて対象を精神的に崩壊させる役割を担う可能性あり



 ・AHI-09の精神構造に干渉可能な唯一の個体

 AHI-09は通常の人間認知を逸脱しており、他者を「個」として認識しない傾向を持つ。

 しかし、AHI-09観測記録において以下の異常が確認されている。

 ・対象個体のみを例外的に認識

 ・反応パターンに感情的揺らぎが発生

 ・行動選択において優先度変化を確認

 これにより、対象はAHI-09にとって「唯一の他者」になり得る存在と結論付けられる。

 同時に、これは極めて重大なリスクを孕む。

 ※両個体における関係性分析の必要性あり



 ・リスク評価

 1. 精神干渉リスク

 対象はAHI-09の精神安定の鍵であると同時に、崩壊を引き起こす引き金にもなり得る。

 2. E.D.E.N暴走リスク

 E.D.E.Nは対象の設計思想に強く依存しており、対象の判断一つでシステム全体の挙動が変質する可能性がある。

 3. 権限集中リスク

 対象個体に以下が集中している。

  -技術的支配権

  -心理的制御鍵

  -倫理判断基準

 これは事実上、統治権限の一部委譲に等しい。



 ※特異指定:DOMINION適性

 評価の結果、対象には以下の適性が確認された。

 ・システム全体を俯瞰する認知能力

 ・倫理判断の可変性(状況適応型)

 ・人間と非人間の境界に対する理解

 これにより評議会は、対象個体を「DOMINIONナンバー・0」候補として非公式にリスト化している。


 ※ナンバー・0に関する補足

 通常のDOMINIONナンバーは序列を示すが、「0」はそれに属さない。

 起点であり、例外であり、定義そのものを規定する存在である。

 すなわち対象個体は、

 ・システムの外側から内側を規定する者

 ・ルールに従うのではなく、ルールを成立させる者

 として扱われる可能性がある。



 総合評価

 桐生蒼真は以下を同時に内包する。

 ・人類の進化を加速させる中核因子

 ・制御不能な破局の発火点

 ・AHI-09およびE.D.E.N双方の“鍵”

 結論として、対象個体は「管理対象」ではなく「管理構造」に近い存在とする。



 最終報告

 1.対象個体の物理的拘束は推奨されない

 2.心理的監視および関係性分析を最優先とする

 3.AHI-09との接触ログは全件記録・解析対象とする

 4.DOMINIONナンバー付与は慎重審査の上、最終段階で実施

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