表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪されたので、裏から王国を乗っ取ります  作者: 早乙女リク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/94

第75話 均衡国家

 王都・議政大広間。


 再び人が集められた。


 だが今回は討論ではない。


 宣言。


 王太子レオンハルトが、正式に国家方針を示す場。


 貴族、商人、農民代表、軍、教会。


 帝国商会の視察員までもが列席している。


 静まり返る広間。


 レオンハルトが壇上に立つ。


「三年計画第二次再編について、王家としての最終方針を示す」


 声は静かだが、揺れない。


「第一に、救済制度を本日公開する」


 ざわめき。


 書記官が資料を配る。


 そこには具体的な数字が並んでいる。


・統合対象者への三年保証給付

・再就労支援基金創設

・再教育無償化

・商会統合時の評価基準公開

・異議申立制度設置


 具体的だ。


 曖昧さはない。


「第二に、農地統合は段階的実施」


「強制は行わない」


「契約は公開条件のもとで結ぶ」


 農民代表が息を呑む。


「第三に、商会統合は透明基準による競争とする」


「屋号継承制度を新設」


 エドガーの目がわずかに動く。


 完全ではない。


 だが“消滅”ではなく“移行”になる。


「第四に、軍需内製化は縮小せず、期間延長で吸収」


 ヴァルクが静かに頷く。


 軍は守られた。


 レオンハルトは、一度言葉を止める。


「我々は帝国ではない」


 視線が広間を巡る。


「合理だけで進む国ではない」


「だが感情だけで守れる国でもない」


 静まり返る。


「国家とは構造であり、人である」


「どちらかを捨てれば、国は崩れる」


 ゆっくりと息を吸う。


「私は、均衡を選ぶ」


 その言葉が落ちる。


「痛みはある」


「だが痛みは共有する」


「負担は国家全体で引き受ける」


 会場の空気が変わる。


「私は王になる」


「正解を出す者ではない」


「失敗を引き受ける者だ」


 沈黙。


 それは覚悟の宣言。


 アリシアは、静かにその姿を見ている。


 セレナも。


 エドガーも。


 ヴァルクも。


 誰も完全に満足していない。


 だが誰も完全に拒絶していない。


 それが均衡。


「三年後」


 レオンハルトは続ける。


「帝国と再び交渉する」


「その時、王国は選択肢を持つ」


「それが我々の目標だ」


 静かな拍手が、広がる。


 熱狂ではない。


 だが確かな支持。


 宣言は終わった。


 ――


 広間を出た後。


 エドガーがアリシアに近づく。


「屋号継承制度か」


「完全ではありません」


「だが消えるよりはいい」


 短い沈黙。


「痛みを共有する、か」


 彼は小さく笑う。


「少しは背負ったな」


 その言葉に、アリシアはわずかに目を伏せる。


「まだ足りません」


「足りなくていい」


 エドガーは言う。


「完璧な国はない」


 去っていく背中。


 ――


 回廊。


 セレナが静かに言う。


「均衡国家」


「兄上らしいですね」


「支える」


 短い言葉。


 アリシアは、窓の外を見つめる。


 合理は必要。


 だがそれだけでは足りない。


 初めて、彼女は理解する。


 国家とは、数値だけではない。


 重さの総和だ。


 第六章は、終わりへ向かう。


 だが完全な解決ではない。


 均衡は常に揺れる。


 その上に立つのが、王だ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ