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最終話 真下家は今日も幸せ

最終話です。

ここまで、読んで下さりありがとうございます

 収拾がつかない魔王執務室に一人の魔族が入室してきた事で、落ち着きを取り戻す。

 入室してきた銀髪魔族は名を『ホージ』といい、魔王側近を勤めていると自己紹介してきた。彼曰く、勇者一行(正確にはシュウ単独)に完膚なきまでに叩きのめされた魔族側だが、勇者一行の慈悲により、魔族領土を支配下に置くのではなく再び和平条約を結ぶ事に着地した。



「我々の勝手で侵略活動したにも関わらず、今後は親交を深めたいと言って下さり、感謝しています」

「いえ、こちらもシュウが助けてくれなければ勝てたかどうか・・・。世界が平和であればそれでいいのです」

「誠、人間とは謙虚な存在ですね。認識を改めなければなりません」


 ホージとルフナは熱く握手を交わす。ホージは眼鏡を外し、溢れる涙を拭きながら次はシュウと亘に頭を下げる。


「王自ら頭を下げる訳にはいきませんので、私の首でどうか納得して頂けないでしょうか」

「くび?」

「今回の侵略は、私の指示で動いたものです。王よりも優れているアグ、いえシュウ様の存在が明るみになれば王の治世に影響があるかもしれない、そう思い我々では倒せなかったシュウ様を次は人に倒してもらおうと画策したのです」

「画策って」



 突然の告白と謝罪に整理が追い付かない亘。そもそも彼はそんな話を聞くために来た訳ではない。さっさと願書を出して、久々にシュウと2人ゆっくりするのもありだなと考えていただけだ。

 願書を握り締め、続くホージの贖罪を聞く。要約すれば、ホージの処罰で今回の件を締め括りたいという申し出だった。そしてそれは、平和主義の亘にとっては難易度の高いミッショッンでもある。後、さっきまでその魔王は土下座してました。


「それも昨日求めてないって言ったよね?早く願書受け取って」


 ホージの処罰を求めていない事を告げる前に、シュウが断る。さらに、亘の手から願書を取りホージに放り投げる。


 魔獣を人間国に放ち、その仕業をシュウに擦り付け勇者に討ってもらい、疲弊した勝者を魔王軍で討つ作だったと聞いた所で、その被害者である、シュウと人間代表のルフナたちが許している以上、亘はどうこう言える立場ではないと弁えているので、願書を出した今ここにいる必要性はないとシュウと共に退室しようとした。

 それを遮ったのが、魔王の叫びだった。



「お前より弱い俺が魔王の座にいることを、これまでしてきた所業をお前は許せると言うのか!」



 気味の悪い見た目から、産まれた瞬間から疎まれ棄てられた弟。そんな弟より弱い事、そして今その弟に情けをかけられている事が魔王のプライドを粉砕した。

 悔しさと情けなさを滲ませ、魔王はシュウを睨む。そんな魔王に対してシュウはどこまでも冷静だった。そして、たった一言


「許すよ」


 と、告げる。


 許しを聞き、魔王は膝から崩れ落ちる。そんな魔王にホージは駆け寄り「共にまた頑張りましょう」と支える。



 こうして、人間を巻き込んだ壮大な兄弟喧嘩は決着した。

 長い間拗れていた兄弟間の溝に回復の兆しを見た亘は涙ぐむ。



 そして、時は流れ春を迎える。


 スーツに身を包み、亘はセイと再び魔族国ギョクリに足をふみいれる。

 今日は、シュウの入学式だ。


 魔族に囲まれた保護者席で、人間の2人は目立ちまくる。


「なんでこんなとこに人間がいんだぁ~?俺の朝食かな」

「いや、俺の息子のペットにするから手を出すなよ」

「はぁ?てめぇんとこ、ペット何匹目だよ。どうせペットの餌になるんだったら俺がもらうわ」



ひぇぇぇぇぇ!

人間って、こっちじゃ食料なの!?

そんな認識で友好関係とか築けるの!?大丈夫ルフナさん!?



 いつ攻撃を受けるかと心配で震える亘は、魔族と人間が共存出来る道を模索する勇者たちに心の中で疑問を投げ掛ける。

 ガタガタ震える亘とは違い、セイは始終落ち着いている。その落ち着きを見習って、亘は緊張を逃そうと深呼吸を繰り返す。



 その後の入学式は、亘が想像していた違いスケールの大きい催しで、その迫力に圧倒され続けた。

 

 

 ドラゴンに乗って現れる魔王

 雷を鳴り響かせて現れる在校生代表。

 始終咆哮を上げる新入生たち。

 そして、


「――――――、この学舎で一歩一歩精進し、家族を支える立派な大人になります。――――――、新入生代表、真下シュウ」


 壇上で巨大化したシュウが立派に新入生代表挨拶を務める姿を見て、とうとう亘は泣いてしまった。


 出会った時は、生い立ちから全てに対して不信だったシュウが己の進む道を決め歩き始めた。親として嬉しい面、一抹の寂しさもある。


 鼻水啜りながら、成長したシュウを眺め新たな門出を祝う。



 その後、なんやかんやありつつ首席で卒業するシュウは魔王城に勤め日々魔王の尻を叩く。鞭のシュウと飴のホージは名コンビと言われる。


 魔族国に交換留学生としてきた、神子除く勇者一行とコウ。双方から反発を受けつつ、それをバネに共存の道を提示し続け世界の発展に繋げる。

 尚、人間時には見向きもされなかったルフナは、寿命を迎えた後、執念で魔族に転生しごり押しの押し掛けで見事シュウの嫁ポジションを手に入れる。


 また、交換留学生時に出会った理想の相手を見つけた賢者ニルギルと魔導師キームンは勝手に嫁を名乗り、周りを固め既成事実を捏造し、結婚した。結婚式で相手は悟りの目をしていた。


 コウと剣士ウバは生涯独身だった。


 アッサムと神子尊は常にラブラブ(尊の方が比重重め)で、遊びに来る度、亘は『リア充滅びろ』と呪詛を吐く。


 500年後、世界を旅していたセイは、一人の女性と出会い彼女と共に生きる道を選び神に頼んで寿命を元に戻してもらう。


 


 この先なんやかんやあるけれど、とりあえず今真下家は不可侵の森の中の古民家で今日も楽しく過ごしている。

一旦はここで区切らせてもらいます。ここまで、ありがとうございました。


その後の話や番外編等は今後も随時投稿したいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

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