第29話 サクラ咲く
パソコン壊れ、スマホでチビチビ打ち込んでます。遅くてすみません。
入学願書を携え、亘は未知の地魔族国『ギョクリ』に入国。
人間が魔族領地に足を踏み入れて果たして無事に帰れるのかと緊張している亘は周りの風景を見る余裕もなく、怯えてシュウに抱きつきながら先を進む。
「なんか、この国に入ってからずっと見られてる気がする。もしかして俺の事食料としてみてない?大丈夫?食われない?」
「大丈夫だよ。人間が物珍しいだけだよ。何があっても僕が守るから大丈夫。僕から離れないでね」
「何だそれ、かっこよすぎだろ。うちの子イケメンすぎ」
「誉められた!」
呑気な会話を続けながら、2人は魔王城につく。因みに本日セイは出勤で、亘は有給を取っている。コウは留守番。
魔王城は亘が想像していた不気味な様子はないが、華やかさもない要塞のような城だった。
「なんで願書受付が城なんだ?」
「本当はもう受験も終了してるんだって。だから僕は特別枠。王国立の学校で願書は最終的にここに保管されるっていうからここに提出すればいいだって」
「え?特別枠って・・・裏口入学」
「実技成績トップだから不正じゃないもん」
「実技?」
「魔王秒殺」
「あぁ、なるほど」
願書提出が終わればすんなり帰れるのかと思っていた亘は、案内されるまま流され、なぜか王執務室前まで来てしまった。
ここまで案内してくれた受付嬢はこちらが可哀想に思うくらい始終亘たちに震えており、質問することが憚れた。自分より一回りでかい魔族女性に、本来なら人間の亘が恐れる場面なのだが。本当に昨日何があったのだろうか。
亘が魔王対面への緊張を落ち着かせている間に、シュウは躊躇もせず執務室の扉を開ける。
「ちょっ!俺まだ心構えが・・・えぇ?」
慌ててシュウを追いかけて入室した先では、昨日の朝見送ったメンバーがソファーで寛いでいた。『敵地でよくここまで寛げるな』と亘が感心していれば、勇者ルフナが笑顔で出迎えてくれた。
「昨日ぶりです、お義母様。どうぞ座って下さい」
「ありがと・・・おかあさま?」
「昨日しないって言ったよね」
「何が不満なの?」
「全て。僕は結婚するつもりない」
「結婚!?」
亘を間に挟みルフナとシュウは言い合う。息子の結婚話が知らぬ所で浮上していた事に亘は驚きを隠せない。まさか息子に先を越されるとは
「母様、僕結婚なんかしないよ。勝手に言ってるだけ」
「私は必ずシュウと結婚します。貴方以上に強い者などいないしね!そういう訳でこれからよろしくお願いします、お義母様!」
「えぇ!?」
「ほら、お義母様も了承してくれてる。結婚しよう。同居でも私は大丈夫」
「どこをどう受け取ったらそうなるの!?あの、ルフナさんとシュウじゃ、その種族が・・・ね?身分も違うし、何よりシュウが全然乗り気じゃないし」
「大丈夫!種族が違っても婚姻を結べる法案を通している所だから!」
「えぇ?昨日の今日で展開早すぎない?どうしてそうなったの」
「魔王を秒殺する姿に惚れました。だから結婚します。絶対に」
「僕は好きじゃない」
「愛してるって事ね」
「違う。そうじゃない」
もはや夫婦漫才のようなやりとりになっている2人。神子尊に勇者ルフナ、英雄たちの求婚が『押してダメならさらに押す』スタイルなのを見るに他のメンバーはどうなるのかと今から恐怖でしかない。
今更ながらシュウに秒殺されたという魔王の存在が気になった亘は、端に寄せられた執務席を見る。
そこには、顔面蒼白の魔王が一心不乱に仕事をしていた。よく見れば服も汚れ穴も開いている。
「あ、あの・・・」
「ひぃぃぃぃぃ!!!」
「願書を・・・」
「お許し下さい!!!お許し下さい!!!」
持ってきた願書を提出しようとしただけの人間に恐れ土下座する魔王。
いや、本当に昨日何があったし
とりあえず息子がやんちゃした事だけは把握した亘は、他に話が通りそうな人を探す。一連のやり取りに全く関心を示さず、トランプに興じている剣士、魔導師、賢者の3人は最初から頼りにしていない。唯一話が通じそうだった尊は今朝早くに仕事は終わったとアッサムの元に戻ったと報告を受けている。
魔王以外にこの部屋、魔族いないのかな?




