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第25話 男と男の熱い友情はこうして

誤字の指摘ありがとうございました。今後もよろしくお願いします!

「行ってくるね。浮気しないでね。愛してるよ」

「世界を頼む」

「行ってくるね」

「あぁ」

「行ってく

「早く行け」


 婚約者との一時の別れを惜しみ出発する気配のない神子に、呆れる勇者たち、そして塩対応の婚約者。

 このぐだぐたしたやり取りを30分も行えば、周りの空気も悪くなる。気づいていないのは神子の尊だけだ。さすが神子、並の精神力じゃない。


 承諾してもらえた嬉しさの勢いのまま、尊は結婚式準備に新居打合せと忙しくしていた。

 有力者たちとの会食やこれまでの活動取材等、尊自身が無駄と判断したスケジュールは無視して、アッサムとの新婚生活準備に全力を注ぐ。

 そのうち、就職活動までし出した所で、周囲から『魔王討伐は!?』と突っ込みが入った。輝かしい未来にいっぱいで本来の自分の役割を忘れていたようだ。

 そこからアッサムの『入籍は帰ってきてからだ』のお預けを受け『過去最速で終わらす』宣言をしたのが昨日。

 

 激震走ったプロポーズが行われてから1週間。やっと本来の役割を思い出す。


 そしてついに来た出立日、朝から同じやりとりを繰り返す尊は、最終的には引きずられるようにして森に消えていった。


 『やっと行った』とその場の全員が安堵のため息を漏らす。

 いつもの日常に戻り、亘もほっとする。


 それがまさか、帰宅したら庭で神子たちがバーベキューしているなんて思いもよらなかった。

 視界の端でコウが土下座しているのが見える。彼は与えられた『真下家を迂回したルートで案内する』という大役を果たせなかった。


「あれ?え?」

「おかえりなさい。夕飯まだならどう?」


 そう言って、豪快な魔獣串焼きを差し出すルフナ。シュウを見ても平然としているメンバーに逆に亘が驚愕する。


「え?え!?」

「ワタルさん、シュウさん、セイさんですね。話はコウさんから聞いていますわ。どうぞ、お座りになって」


 状況が理解できず、串を持ったままオロオロする亘に自分の横を勧める賢者ニルギル。見下ろす先にある谷間を思わず凝視してシュウにつつかれる。

 

「い、いや、自分のような者が横になんて」

「気にするな。そもそもここはお主の家なのだろう?」


 豪快に肉を食べながら剣士ウバがきょとん顔をむける。

 魔導師キームンはビビりつつも、シュウを興味深げに見てる。


「まぁ、俺の家ですけど・・・」


家主の許可なくバーベキューするってどういう事!?


 とは、小心者の亘に言える訳もなく、大人しくニルギルの横に座って肉を食べる。意外と上手い。

 視界の端でシュウとセイがコウを責めているのが見えたがスルーする。


「もしかしてと思っていたけど、ワタルさんも召喚者ですよね?」

「ま、まぁ。でも俺はその、勇者とか神子とかじゃなくて・・・君が召喚された時に間違えて一緒に来ちゃったんだよね。この家と」

 

 唐突にぶっこんできた神子尊にばか正直に『巻き込まれ召喚者』と告げる亘。そんな亘を哀れみの目でみることもなく「同じ世界の人に会えて良かったです」と笑顔で言われれば悪い気はしない。つい数時間前までリア充滅びろとか思っててすみません。


 そこから意気投合した2人は話尽きることなく盛り上がる。

 まず、なぜこの家にたどり着いたかといえば、アッサムとの結婚の為最短距離を進んだ結果だった。

 そして、神子はまだ16歳の高校1年生という。


「そんな若さで・・・残してきた家族や友人にも会えないのに」

「え?魔王討伐後は戻れると言われましたよ?」

「え!?」

「責任を果たしたら、戻るか残るか選べるんです。戻るとしたらこっちに来た時間帯に戻すと契約書にも記載されてました。まぁ、こちらで結婚するので戻りませんけど」

「えぇ!?じゃ、向こうで君はどうなるの!?」

「戻らない場合は最初から存在しない事になります。じゃないと行方不明扱いになってしまいますしね」

「全然違うじゃん!保障内容にも格差が!!」


 訴えたところで、ウインクしながら「ごっめーん⭐」と謝るこの世界の創造主の姿が想像出来る。


 美女に囲まれるという大変羨ましい状況だけでなく、正規の手順で召喚された尊は保障もしっかりしているようだ。


「まぁまぁ、亘さんは楽しい異世界生活送ってるからいいじゃないですか。僕なんて自由人な彼女たちに振り回されて本当に大変だったんですから」


 尊との話に夢中で気づかなかったが、各々自由に過ごしていた。

 触手シュウの強さが気になるウバは手合わせをお願いしている。その様子をキームンはメモをコウは高揚しながらみている。

 ルフナとニルギルは美少年のセイを構い倒している。両サイドからの豊かな肉厚に対応がわからず俯いている。羨ましい。


 その様子をみて

亘は「さすが選ばれた魔王討伐メンバー。濃いな」と思い。

尊は「亘さんの家族キャラたちすぎだろ」と思う。


 そしてお互いに「大変そうですが頑張って」とエールを送りあう。

 



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