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第23話 正規ルートとの格差は埋められない

 突如として行われた国中枢の重鎮の入替や退く貴族たちに混乱する国内。そこにさらに面倒事がやってくる。

 

 魔王討伐隊が間もなく『フェニング』に入国するという知らせが入ったのだ。


 本来なら歓迎の意を表して宴を開催するのだが、直前に起こった大混乱の収拾に国王他幹部陣や主要貴族たちは連日対応に追われてそれどころではない。そこで女王指示の元、騎士団が派遣されることとなった。騎士団内には良いところの次男三男も多く、所作が身についている上に腕も立つ。給仕&警備人員として良いだろう。他に良案もないし時間もないし人もいないし何か文句あるの?という女王の鶴の一声で決定した。

 


 そして迎えた即席勇者ご一行歓迎会。まずはフェニング王との謁見だ。


 

 豪華な造りの玉座の間に給仕恰好で待機する亘と騎士団正装のセイ。本来なら所作も身分もない2人が足を踏み入れる事など許されない空間になぜいるのか。至極簡単、最強SPとして呼ばれているのだ。亘は無力平凡だが、力を貸してほしいセイとシュウが「母様行かないのになんで行かないといけないの?」と愚図った為、亘は特例の保護者枠だ(ついでの給仕)。

 豪華絢爛な広間で壁の一部となりながら、亘は物珍しげに田舎者感丸出しで周りを見渡している。亘の前にはアッサムやダリンジー等騎士団や王宮幹部陣が待機しており反対側には貴族陣が待機している。

 普段接する上司のアッサムやダリンジーは身分の壁を感じさせない気さくな人たちなので、亘にとって初めて会う『オーラがすごいなんか偉そうな人たち』に始終緊張しっぱなしだ。



 亘が頭で敬語を思い出していると、入口の扉が開く。


 ついにやってきた勇者ご一行。

 亘にとしてはいきなり異世界召喚を受けた同士『神子』が気になるところだ。



「よく戻ったルフナ。フェニング国から勇者が出るとは誇らしいぞ!」

 

そうなの?勇者この国出身なの?

ていうか、勇者っていうからどんなイケメンかと思ったら女の子なんだ!?魔王討伐とか危ない仕事大丈夫なの!?女の子にそんな事させて大丈夫なの!??



 先頭を歩く勇者は金髪碧眼のハイレベル巨乳美女だった。腰に帯刀しているのは国宝の聖剣だ。王との謁見でさらに周りはこの国の主要位置にいる貴族や幹部たちだというにも関わらず、彼女は緊張した様子もなく堂々としている。場慣れしているようだ。



「父上、ただいま戻りました。神に選ばれた者として、王家の人間として必ずやこの世界に平穏な日々を取り戻して見せます。私の仲間をこの場で紹介してもよろしいでしょうか?」



えーー!?勇者様王女なの!?どんだけパーフェクトなんだよ!

そりゃ場慣れしてるよね



「まずは西国オレジンより賢者のニルギル王女」

 ルフナ王女の後ろから清涼感溢れるブルーヘアーの妖艶巨乳美人が出てきた。


「南国ペコの魔導師キームン王女」 

 小さい身長とストロベリーブロンドの可愛らしい成長途中美少女がニルギル王女とは反対側に出て挨拶する。


「東国ブロークンの剣聖ウバ王女」

 ダークブロンドの凛々しく高潔な雰囲気漂うこれまたどえらい美女がキームン王女の横に出る。


「最後に、神より遣わされたタケル・サカモト」

最後まで後にいた、亘がいた世界にはよくある学生服学ランを着た少年が彼女たち全員の前に出る。



ちょっ・・・・ハーレムじゃん!!これハーレムじゃん!!!

違う種類の美少女に囲まれて魔王討伐という名のイチャコラ物語でしょ!?どうせR18なんでしょ!?

しかも全員王女って何!?逆玉の輿!?

はぁ?

はぁぁぁぁぁぁ!???

待遇がっ!待遇が違いすぎるだろ!!

じじぃ!ふざけんな!!


 自分との待遇(美少女との恋愛フラグ)との格差に怒りを感じる亘。羨ましすぎる環境にいる神子をつい凝視してしまった亘は、挨拶を終え周囲を観察するタケルと目が合った。

 目が合った後、彼もまた亘がいる方向を凝視する。



めっちゃこっち見てる

何?何??

こっちでは黒髪珍しいもんな。それかな?

もしかして、じいさんに他にも召喚者がいるって聞いたのか?



 見つめられる視線が気まずく、思わず俯く。コツコツと足音だけが聞こえる。顔を上げなくても分かる。神子がこちらに近づいているのだ。

 ざわつく広間。

 まぶしく光る視界。


「僕と結婚してください」


 さすがになんかおかしいと感じて視線を上げた先では、アッサムの手を握り跪いてプロポーズする神子タケルの姿が。

 天井にはなぜか光のオーロラが現れ、音楽隊もいないのにファンファーレが鳴り響いている。

 さらにアッサムとタケルの周りには光の粒子がキラキラと輝き幻想的な空間になっている。


 高揚した様子のタケルと、状況が分からず呆然としているアッサムと周囲の人々。ドン引きしている勇者たち。自分を見ていると勘違いして赤面する亘。



 カオス再来


 今まで以上に面倒臭い状況になりそうだと、ダリンジーは顔に手を置き上を向く。





 神子召喚前に各国は宣託を受け、代表者を選ぶ。各国宝が選ぶのはもちろん、先祖の血を受け継いた王族たち。

 選ばれた勇者たちは帝国に赴き、召喚された神子と共にレベルをあげ、魔王領地に行くためフェニングに戻ってきたので、王と娘の「ただいま」「おかえり」の流れに繋がるというのが裏側設定でした。


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