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第13話 真下家の切ないお財布事情

この世界の設定話を少しだけ

今回は短いです

 

 この地は魔族国と人間国に分かれている。

 

 お互い干渉せずに上手くやっていたある時、力と魔力を持って魔族が領地拡大に向けて人間国側に侵略してきた。それを知恵と道具と少しの魔力を駆使して防衛する人間側とで戦争が勃発。長きに渡る戦いに互いが疲弊した頃、人間側に異世界から神の導きにより一人の少女がやって来た。聖なる力を持つ彼女率いる一団の活躍により、魔王討伐は成功し世界に平和が戻った。

 魔族と人間との不可侵条約を結んだ後、彼女たちは各国の王となり世界再建に尽力した。

 

異世界からの神子治める帝国『ダスト』を中心に

剣聖治める東の『ブロークン』

賢者治める西の『オレジン』

魔導師治める南の『ペコー』

勇者治める北の『フェニング』


 以後、この世界は平和を保っていた。


 ところが、100年程前からこの均衡が崩れ始める。再び魔族側に不穏な動きがみられるようになったのだ。現魔王が長年お互いに立ち入らなかった魔族国と人間国の中間に位置する不可侵の森に番人として実弟アグリーを放ったのだ。もちろん条約違反として人間側も軍を成して討伐に向かうが悉く失敗に終わり、今でもアグリーは『絶対強者』として森に君臨している。

 さらにここ数年、世界各国で魔獣による被害が続出し、ついに魔族が動き出したのではないかと人々は戦々恐々の日々を過ごしていた。


 そんな絶望の中、再び『神子』がダストに現れた事で今人間国は希望に満ちている。世界の期待を背負って、神子率いる勇者一行がフェニングでも最果ての地、ここ『フェルム』に今向かっている。



 というのが、食堂で1週間働いた結果得た情報だ。色々突っ込みたい部分はあるがまずは、


「お前名前あるじゃん」

「初めて聞いた。シュウがいい!母様が付けてくれた名前だもん!」

「良かった!俺もシュウで慣れちゃってたしさー」

「じゃあ、もう十分情報もらったし、無事『こうねつひ』も支払えたし働かなくていいよね?」

「そうだよ!母様もう向こう行かなくていいじゃん!食糧なら俺も獲ってくるから!」

「ほら!セイもそう言ってる!」

「えぇー・・・でも、光熱費っていうのは毎月支払うやつだからやっぱ貯蓄はあった方がいいし。それに、あの店本当に今人手不足でさ、俺みたいな不審な奴でも雇ってくれた恩はきちんと返したいから、新しい人が来るまではって思ってるんだけど・・・ダメ?」

「もう!母様は真面目すぎ!!」

 

 本日は店の定休日で、亘も休みをもらい久々にゆっくりとした朝を過ごしている。アイテール神の適当な助言に従い、お金と請求書をポストに入れると、請求書控えが置いてあったので無事に支払いは完了したのだろう。


こっちのお金でも大丈夫なんて・・・さすがファンタジー

お金も日本と変わらない通貨単位で良かったー


 こちらではルギーという共通通貨で、1円=1ルギー。実に単純だ。

 諸々の支払いを終えた今、真下家の貯蓄は僅か2万ルギー。さすがに寂しすぎる。今後の生活を考えるとやはりこのまま街で働いた方がいいと思うのだが、2人の息子は朝からプリプリ怒りながら反対する。

 

 街に行った初日に、シュウとセイの2人は賞金目当てで参加したコロシアムで目立ち過ぎた。その為、2日目以降セイが勝ち残った事に納得出来なかった参加者に決闘を申し込まれたり、試合で目を付けられた騎士副団長にスカウトされたりと心休まる瞬間がないのが、子供2人の不満なのだ。


せっかく街に行ってるのに、全然母様と遊べない!!

それなら家でゆっくりしている方がいい!!!


 というのが2人の主張である。特に今回はマザコンこじらせシュウよりもセイの反対が強い。なぜなら、


「俺!もう本当にあいつ嫌い!しつこい!!ストーカーだよストーカー!!!家バレたらどうするの!?」

 

 ついにストーカーとまで言われるのは、上記にも出た副団長ダリンジーの事だ。

 彼は、セイの身体能力の高さに惚れ、セイ自身に興味を持ち1週間ずっと騎士団への入団を薦めてくるのだ。そう、ずっと。

 時に、食堂の片隅で亘の仕事終わりを待つセイの前を陣取り延々と、時に気ままに街探索にでた先で延々と、時に亘だけ送り届けてさぁ、帰ろうとした先に現れ延々と。神出鬼没に現れては、雑談9割スカウト1割で話し込みなかなかな離してくれないのだ。不法入国がバレるのも時間の問題ではないかというのがセイの一番の不安要素だ。

 ヘラヘラしていて軽そうな見た目とは逆に、隙のない動きにセイは常に警戒心を抱いているので、家に帰る頃には精神疲労が酷い。


 そう言われてしまえば、可愛い息子や、この生活を危険に晒してまで収入に拘る必要はないかなと亘も思う。

 が、このままでは何れ生活出来なくなってしまうのもまた事実。この1週間ずっと亘を悩ませている事案だ。



とりあえず、出来るところから節約はしておこう


 そう結論付けて小まめに電気を消すことと、光熱費や通信費のプランを見直し削減出来る部分を削っていく。


 

家賃はないけど、『固定資産税』が来ますよ亘さん。

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