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オレは「不動産王」になる  作者: オダエイジ
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20/23

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オレ「銀行へ寄っていただいてありがとうございました」

新井氏「いえいえ」


とりとめのない話をしながら物件へと車を走らせる新井氏、道すがら2度の結婚を経験した彼の身の上話を聞くことになった。



新井氏「最初の奥さんから、きちんとした仕事をして欲しいと言われ宅建を受験しまして」


元々は、飲み屋で働いていたそうだ。まあ、女性としては昼の仕事をして欲しいというのは分かる。


オレ「じゃあ、今の新井さんがあるのは奥さんのおかげなんですね」

新井氏「はい、最初の奥さんのおかげです」


え?最初?まあ、そこで新井氏の結婚歴が2度ということが分かったのだ。


人というものは、色々とあるものだ。オレも脱サラした話を新井氏に聞いて貰った。




新井氏「あ、ここです」



物件の所在地に着く。ここは大きな国道から一本入った住宅街だ。国道沿いには、様々な飲食店やレンタルショップ、ファストファッションの店、果ては24時間営業のジムなどが立ち並ぶ。当然、スーパーも徒歩圏内だ。



車から降りて周囲の様子を見る。と言っても主に物件周りだな。前面道路は、市道で間口は十分すぎるほど広い。敷地は約110坪だ。ここは第一種低層住宅地だったかな?けんぺい率は50パーで容積率は80パーだったと思う。まあ、ここを2筆に分けて分譲するのは十分可能だろう。


次に建物の外観を見てみる。築22年との事だが、まだまだ新しいな。入口などのデザインも全然古臭さを感じさせない。2階建ての階段を登る。ゴム製の滑り止めがついているな、階段手すりにあるちょっとした蜘蛛の巣が気になったが、そこは掃除すればいいだけの話だ。



「ガチャリ」


そしてお待ちかね部屋の内部へと潜入する。ちなみにこの物件、4部屋のうち1部屋が空き家なのだ。が、そこはすでに問い合わせがあって決まりそうな感じらしい。



オレ「ほう」



部屋に入ると玄関にはウェルカムボードとちょっとした小物が置いてある。全ての物件にはしないそうだが、力を入れている物件にはこの不動産屋がこういった演出を心掛けているとのことだった。まあ、こういうのは女性受けがいいのだろう。



中へ入り、部屋の様子を物色する。トイレにはウォシュレットがついているな。ピンポンはカメラ付きだ。お風呂に追い炊き機能はついていないが、これはガス業者と交渉してつけて貰おう。それにしても結構広い物件だな。


新井氏「この物件、アパートには珍しく廊下があるでしょ?」

オレ「これいいですね。部屋が独立してて」


そう、間取りは3LDKなのだがこの物件アパートの割には広い。70平米弱くらいあるんじゃなかろうか?と思って聞いてみたら67平米くらいだった。各部屋に窓もあるし、10畳ほどのリビングの窓は南向きでベランダが設置されている。しいて言うならシンクがちょっと古臭いのと脱衣所兼洗面所に設置できる洗濯機置き場が少し狭い気がする。


新井氏「そうですね。これはドラム式は置けないですね」


とは言え、全然問題ないと思われる。


新井氏「どうされますか?注文入れるのなら、一旦募集はストップしますが」

オレ「え?融資条件はないんですか?」

新井氏「ああ、大丈夫ですよ。もし、融資通らなかったらキャンセルできますので」


なんということでしょう。これはもう、やるしかないのだはないか。


オレ「印鑑は実印がいりますか?」

新井氏「あ、認めで結構ですよ。なんならシャチハタでもw」


その一言でオレは決心する。


オレ「新井さん、今日はまだ時間ありますか?」

新井氏「ああ、大丈夫ですよ」



そしてこの部屋を出たオレは、新井氏の運転する営業車で近所のうどん屋に来た。ここは本当に安くてうまいうどん屋だ。暑い日だったので、2人揃って山かけうどんを頼む。冷たいうどんにたっぷりのとろろがかかりその上にうずらの卵が乗っている。薬味のねぎとしょうがもたっぷりだ。


新井氏「オレさん、よいところを教えていただいてありがとうございます。こんど嫁と来てみます」

オレ「気に入ってくれて良かった」


自分が美味しいと思うものを他人から褒められるとうれしいものだ。




◇


うどんを食べた後は、オレの家に向かって貰い印鑑を持ってまた不動産屋へと向かう。そして申込書にサインと印鑑を押したのだった。




新井氏「オレさん、ありがとうございました。それで融資の件はいつぐらいに結果わかりますかね?」

オレ「そうですね。この物件を優先して貰ってはいますが、今週いっぱいはかかるかと思います。まあ、来週中までには大丈夫と思いますが」

新井氏「そうですか。では、進捗があればまたおしえてください」



新井氏に見送られ店の前に止めた愛車へと乗り込む。そして帰りに宮崎氏へと、この事を報告したのだった。


宮崎氏「そうですか。いい買い物だと思いますよ。あ、ちなみに~不動産の新井君って私知ってます」

オレ「え?さすが」


宮崎氏の実力を垣間見た瞬間であった。






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