おっさん、融資の相談をする
田村君「おはようございます」
オレ「ああ、悪いね。今日もわざわざお越しいただいて」
田村君「いえいえ、それよりも先日のイタリアンごちそう様でした。とても美味しかったです」
オレは実はそんなにうまいとは思ってなかったのだが、この男は本当にうれしいことを言ってくれる。そんな事を思いながら自分の過去3年分の決算資料を渡す。ちなみに物件の資料については昨日メールにてPDFファイルを送っている。
田村君「ちょっと拝見していいですか?」
オレ「お願いします」
田村君は決算資料に目を通して、色々と質問をしてくる。まあ、主に経費の使い方だな。それが終わるとプライベートな事にも質問は及んだ。例えば家族構成だとか、そういった事だ。
◇
田村君「ありがとうございました。では融資の査定進めさせていただきます」
オレ「よろしくね」
田村君「こちらこそ、あ、それと先日はお客様をご紹介いただきありがとうございました」
オレ「ああ、よいお取引ができるようにお願いしておくね」
オレの周りでアパート経営している数名に田村君のことを紹介したのだ。融資条件が格段に良いし、彼の人柄もおすすめできる点だからな。そうやって色んな人と繋がっていくことで、またオレのビジネスチャンスになればいいし、ならなくてもオレ自身特に骨を折った訳でもない。つまり損することはないのだ。もちろん、紹介する人間を誤るとこっちにもその被害が及ぶので人選は非常に大事なのだが彼なら間違いない。
田村君「明日は実家に帰るんです。ちょっと今お付き合いしている人にプロポーズする予定なんで」
オレ「えええええええ!!」
田村君と初めて話した時、お付き合いしている人の事は聞いていた。30歳の銀行員、イケメンではないが性格もいい。結婚相手としては申し分ないだろう。もし、相手がいないのであれば誰か紹介してもいいかもと思い尋ねてみたのだったが4つ上の保育士さんとお付き合いしていると聞かされたのだった。それにしてもまさかこんなタイミングでそんな話を聞かされるとは。
オレ「おめでとう、がんばれ」
まあ、オレなんかに応援されなくてもこのプロポーズ大作戦は間違いなく成功するだろうがね。




