2件目の物件の感想
オレ「なるほど、ここかあ」
男「オレさん、こんにちは」
オレ「あ、すみませんよろしくお願いします」
この男は、不動産屋だ。仮に火口とするか。収益物件の管理業務が主な仕事な不動産屋に勤務している。実は、この火口氏に物件を見て貰いアドバイスを貰って購入判断の基準としているのだ。
そうなのだが、もちろん自分自身の目でも物件を見てみる。いつまでも人任せでは成長もないし、あくまでも最終判断は自己責任だからな。
オレ「思ったよりもキレイにしてるな」
火口氏「そうですね、これ補修履歴ってどうなってますかね?」
オレ「ああ、管理先に調べて貰っているところです」
築25年超木造の割には綺麗にしている。目立ったところでは傷跡などもなくきれいなもんだ。いわゆるメゾネットタイプの物件なので、上と下の階での騒音トラブルもないだろうし国道からは一本入っている住宅街なので静かなものだ。近くには小学校もあるのか、ランドセルを背負った子供たちの行き来も多い。
側面には出窓もあり、当時はこのスタイルが流行りだったのであろうことが伺える。欲を言えば、洗濯機の設置場所が屋外なのとインターホンがカメラ付きでないのがマイナス点だが家賃相場からしても割安な物件と言えよう。
◇
近くにある火口氏の事務所へと戻る。カウンター越しに座り、さっきの物件についての打ち合わせをするのだ。
オレ「それで、どうですか?あの物件?」
火口氏「悪くないと思いますよ。住宅街で需要もあるし今の家賃設定も相場より安いので客付けはしやすいと思います。間口も広いので、最終的に分譲して売りだしやすいでしょうし」
オレ「そうですよね、約120坪なので分筆しても私道を通す必要なく60坪ずつで売り出せばいいですよね。坪単価15万くらいでしょうかね?」
火口氏「そうですね。それくらいは固いと思います」
オレ「ざっくりで土地価格が1500万、売り出しが2500万なので約1000万の収益を上げればとんとんか。あの建物20年もちますかねえ」
火口氏「うーん、補修次第でしょうが15年はいけると思いますよ」
オレ「なるほど、じゃあ個人的に聞きますが火口さんならあの物件いくらなら買いますか?」
そこでオレは直球の質問を投げかける。火口氏はオレのイジワルな質問に暫し考え込む。
火口氏「――――――――――――うーん、私だったら2000万は切らないと買いませんかねえ」
なるほど、オレも感覚的に2000万の指値でどうだろうかと思っていたので満更でもなかったかな。もちろん、これから銀行と資金計画を立ててからの話にはなるのだが。
火口氏「まあでも、一棟目の物件としてはいいんじゃないですか?値段も手ごろですし」
オレ「そうですかねえ」
オレの帰り際に火口氏はこう言った。だが、この時オレは別の事を考えていた。この物件は木造で法定耐用年数も過ぎている。これで自己資金を少なくして融資を組んだ場合、まあこの案件の融資は問題なく通るとは思う。が、二軒目、三軒目を考えた場合、純資産の比率が悪くなり債務超過とみなされるのではなかろうかと。
まあ、火口氏はそこまで知らないのかもしれない。彼は預けられた物件を管理してナンボの仕事だからな。だが、何度も言おう。
「投資とは自己責任なのだ」




