04:戦慄! 悪の大冒険帝国 ②
第二部「大冒険武闘大会編」第4章2話目です!
「おおーい、ラルシオーン!!!」
そんなラルシオン達に後ろから名を呼ぶ大きな声が。
振り向くとそこには…
「あ…長老!」
「村のみんなも…!!」
目の前には、長老を中心に、村の仲間達も10人前後、にこにこしながら立っていた。
「いつ来たの!? こんなに早くっ!?」と慌てて駆け寄るラルシオン達。
「なぁに、わしの魔法でな♡」
慌てるラルシオンとは真逆に、ご機嫌に答える長老。
「いやぁーっ!! それにしても見事な勝ちっぷりじゃったの♡」
わっはっは♡と豪快に笑いながら、ラルシオンの背中をばむばむとものすごい力で叩く長老。
ゆかいゆかいと言いながら、
「この調子で絶対優勝するのじゃぞ!!」
とご機嫌でラルシオンに絡む。
「…ありがと…」
叩かれてるラルシオンはその痛みより能天気にはっぱをかける長老の言葉に余計落ち込みつつ返事する。
「おお、そうじゃ! お主、Aブロックの方は見たか?」
ひとしきりバシバシとラルシオンを叩いていた長老は、ふと思い出したように武闘大会のパンフレットを前に出してきた。
「え? 全然…」
その言葉にラルシオンは正直に答える。
…ただでさえ元金がないのだ。
無駄金は使いたくない。
だからAブロックを見に行く金も、高いパンフレットを買う金も使わずに節約しているのだ。
「いやー、Aブロックにもおもしろい奴らがおってのぅ♡」
そんな追い詰められたラルシオンのことなど全く頓着せず、楽しそうにウインクしながら長老は言葉を続ける。
「そいつらもブッちぎりで勝ったんじゃが…誰じゃと思う?」
「聞きたくない!」
ご機嫌な長老の言葉にかぶせるように大きな声で拒否るラルシオン。
その顔には青筋が立ち、長老の目の前に怒りの中指も立てている。
「どーせそいつらも倒せって言うんでしょ!? 無責任なんだから!!」
そうして踵を返すとぷんぷんと怒りながらずんずん長老達から離れていく。
「ラルちゃん…さっき強い人見ちゃったんで気が立ってんのよ」
こそっと長老にティムが解説する。
「そうか…」
そのラルシオンの憤怒のオーラに少しひるんでいた長老はその怒りの理由を知りそっとつぶやく。
「おもしろいのにのぅ…」
その長老の目線の先には手元の武闘大会パンフレット。
参加者の名前が羅列されたページにはAブロックの欄に…
『勇者アルフレッドと美しき仲間達』
…の名がしっかり刻まれていた。
決勝戦で当たるであろうアルフレッド達の事を思い、ちょっと感慨深い表情の長老に、
「……ねぇ、おじいちゃん」
…と、ティムが長老のマントをくいっとつまみながら、控え目に声をかけてくる。
「?」
何事か?とティムの方を優しく見る長老。
「…別の服、着ちゃダメ? この服、ちょっと恥ずかしいの…」
「ダメじゃーッ!!!」
今度は長老が食い気味にティムの言葉を遮る。
その勢いでごおぅぅっ!!! と風がティムに圧をかける程だ。
「この服はワシがお前のために夜を徹して作った戦闘服ぞ!! それを…それを…」
「わっ…わかった! わかったから」
長老の号泣レベルの言いつのりにティムが慌てていさめる。
「なにも泣くことないのに…」
その様子を少し離れたところで見ていたラルシオンは呆れたように小さくつぶやく。
そして村人達も長老に同意するように頷いている。
…そんな…あちこちでわいわいと騒がしい街中を、少し離れた場所から見ていた長身の若い男…ダイナーは、不思議そうにその街中の喧騒を見ている。
「…さすが…賑やかだな、地上は」
「ホントねぇ♡」
見たことのない人々の群れに、落ち着く間もなくあちこちで起こる騒ぎ…その様子に驚きと多少の呆れた様子でつぶやくダイナーの言葉に、フライは帝国では見たことのない珍しい光景を楽しそうに眺めながら同意する。
そんな二人の足元で、マントをくいくいと引っぱるグリル。
何事かと覗き込むと、言葉より先にグリルのお腹がぐうぅぅ~と大きな音で主張する。
「…おなかがすいたのかい?」
ダイナーの言葉に、うるうると瞳を潤ませ、指をくわえながら無言でうなずくグリル。
そんなグリルの頭をポンと軽くなでると、
「定時連絡が終わったら何か買ってあげるよ」
と、優しく応じるダイナー。
ザワザワと騒めく人混みの大通りから、少し狭い裏道にダイナー達はスッと入る。
人の気配がない事を確認したダイナーは、胸元の大きな宝石をカチリと外す。
その宝石には不思議な紋章が中から浮かび上がる様に刻まれており、その大きさや紋章の不可思議さからも、何やら特殊な魔法石らしいと推測される。
ダイナーはその魔法石を丁寧に布の上に乗せ、恭しく膝をつき両手で捧げ持つ。
「聖なる我らが守護神コバルストに捧ぐ…我の声を受け入れたまえ……」
魔力を込め祝詞を上げると、その宝石は、
キイィィィィン
…と微かに音を上げ、青白く光り輝く。
やはり、どうやらただの宝石ではなく、何かしらの特別な魔法石のようだ。
「帝皇様…。全て――計画通りであります」
宝石が輝いた事で、何かと繋がった事を確認したのか…ダイナーが宝石に向かって言葉を発する。
すると…
『――…そうか…』
石から帝皇の声が聞こえてくる。
『御苦労』
石から聞こえる帝皇の労いの言葉に、ダイナーはさらに恭しく首を垂れる。
「そのままレイア達とともに勝ち進むがよい…」
石の向こう――帝皇がいる暗い玉座には、ダイナーの持つ宝石と同じ紋章が刻まれたかなり大きな魔法石がはめ込まれた巨大な機械の様な物が設置されている。
その機械の周囲に立つのは魔法使いなのか? 魔力を込め、力を増幅させているようだ。
機械から発せられた光が壁に当たり、そこに大きく投影されたダイナーの姿が映し出されている。
画質は荒いが、大きく画像を映し出せるかなり特殊な魔法石のようだ。
同じ紋章が刻まれていても、ダイナーの持つ魔法石は音声だけしか出ないので、こちらに設置されている魔法石はそれよりも相当上位機種であると想像出来る。
「…そして…王がお主達の前に現れた時こそ…」
その画像に写るダイナーを見ながら、帝皇は重々しく言葉を続ける。
「積年の恨みをはらす時ぞ!!」
帝皇は動く右手を大きくバッと前に広げる。
「王家の血と命を我らが神に奉じるのじゃ!!!」
…帝皇の座る暗い玉座の後ろには、よく見ると巨大な石像が建っていた。
羽とクチバシがあり、鳥の様な姿の石像だが交差する両手もあり、独特の風貌である。
それが…彼等が信仰する神・コバルストの姿だった。
「ぬかるでないぞ。ダイナー!!」
『はっ!!』
帝皇の言葉に即座に御意を示すダイナー。
「…見ておれ…」
そのダイナーの言葉に絞り出すように帝皇はつぶやく。
「見ておれ大冒険王国! 見ておれ王よ!! 五百年前の決着をつけてやる!!」
そして…動く右手を強く握りしめると決意も新たに力強く言葉を続ける。
「大冒険大陸に君臨すべき国はただ一つ…大冒険帝国!!!」
そしてさらに大きく叫ぶ帝皇。
「…フッ…しかし…」
その帝皇の力強い言葉に別の人間の言葉がかぶる。
「砂漠の下にこのような街があるとはな…」
「おお…そなた達か…」
その己の言葉にかぶせられた事に気分を害する様子もなく、帝皇は軽く笑みながらその声の方に振り向く。
暗い玉座の間にはあまり光がない。
帝皇が顔を向けた先には二人の人間が立っていた。
暗くてよくわからないが…背の高い鎧姿の男と、ローブを着た老人の二人だ。
「眠れる邪神の気配を頼りにここまで来たが…」
「全く驚きですね…」
「邪神じゃとう!?」
彼等の会話の聞き捨てならない言葉を耳にし、帝皇が声をあげる。
先程、自身の言葉を遮るように会話に入ってきた時よりも、怒りが現れている。
「たわけが!! 我が神コバルストは邪神などではない!! 我らを護る聖なる神じゃ!!!」
帝皇は自身の玉座の後ろに佇む巨大な神像を仰ぎみながらそう断言する。
だが…
「……五百年前まではな…」
苦し気に絞り出す言葉でその勢いが急速に止まる。
「……五百年前…地上にあった我ら大冒険帝国は、大冒険大陸の覇権をめぐって大冒険王国と激しい戦いを繰り広げた…」
そして…帝皇はそこにいる者共に言い聞かせるように静かに語り出す。
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よかったらぜひ、のぞいてみてくださいませm(_ _)m
第二部「大冒険武闘大会編」第4章2話目です♪
…邪神(?)を信仰する『大冒険帝国』の真相がじわじわと出てきましたw
次回さらに帝国が王国を狙う詳細が…!? ぜひ、ご期待くださいませm(_ _)m
あと…明後日の参加予定イベントは…
10/18(日)COMIC1☆29・「茶々組&初心の会」K11b(南3ホール)
…です! ウマ娘とかトリッカルとかの新刊あります。もちろん、大冒険の新刊も! グッズも用意してます!! 参加される方、ぜひ遊びに来てくださいませ! よろしくです。
11月も申込済イベントがあります。ちょこちょこ参加しながらの更新になりますので、うっかり投稿忘れとかならないよう気を付けますw
ではでは。次回、無事更新できましたらまたお会いしましょう。
よろしくお願いしますm(_ _)m
あと…最後にお願いがw
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