01:死闘の予感 ②
第二部「大冒険武闘大会編」第1章2話目、です。
「そう! これじゃ!!」
『第一回 大冒険武闘大会』
『君こそ勇者だ!』
『優勝賞金10万G!!!』
――そう大きく書かれていたチラシを長老が差し出す。
「ぶとーたいかいいーッ!?」
――ここは大冒険村。
やっとホームに戻り、壊れた鎧も脱いでようやく寛いでいたラルシオン達3人は、長老の言葉と目の前に掲げられたチラシを見て目を丸くして叫ぶ。
…てか、寛いでいるとは言ってもティムは一応ラフとはいえ普段着を着ている。だが、ラルシオンとギルは鎧下のアンダーシャツだけでダラ~とソファに座り込んでいる。
寛ぎ過ぎにも程がある姿だ。
「いかにも!!」
目を丸くして叫ぶラルシオン&ギルとチラシの内容に「?」と首を傾げるティムの3人に、長老は威厳を込めた表情で断言する。
「お主ら三人これに出るのじゃ!!!」
手に持ったチラシを唖然と見据える彼らの目の前に掲げながら。
「な…なんで…?」
処理落ちからどうにか復帰したラルシオンが長老に問い掛ける。
ダラダラと寛いでいた至福の休息が急速に何処かへ消え去りそうな予感に恐れおののきながら。
「なんでも屯田もないッッ!!!」
しかし長老はラルシオン達の恐れなど歯牙にもかけず、間髪入れずにツッコムと、勢いよく目の前の窓を全開にする。
「この村の惨状を見よ!!」
窓の外に広がるのは大冒険村の惨状。
村の家々はぼろぼろで、マトモな形で残っているモノはほとんどない。
ある家は屋根がはがれ、ある家は壁が崩れ、所々から煙も立っている。
――幸せを求め、願いを叶えてくれるという青い鳥を呼ぶ鳥笛を吹いて…やって来たのは最悪最凶最大級規模の災厄だった……。
青い鳥の通った跡は山も森も街も人々の営みも…全てが破壊し尽くされていった。
そして…何も良い事など残さず去っていったのだ。
…大冒険村はその軌跡の通り道にあったためか…特に被害が酷い。ある意味天災に近い。
「復興しよーもんなら金がいくらあっても足りんわい!!!」
そう叫ぶ長老の言葉には納得しかない。
長老の後ろに黙って立っていた村人達も悔しさに顔を歪ませている。
「…じゃが幸いな事にこの大会に優勝すれば賞金10万Gが手に入る…」
目をつぶり重々しく告げる長老。
彼の後ろの村人達もとうとう涙まで流している。
壁に張られた『今月の標語』とある言葉…それは『命ギリギリ村人魂♡』。
そう…正に村はそんな命ギリギリな状況なのだ。
「え…?」
ラルシオンがその言葉に目を見張る。
「ま…まさかあたし達に優勝しろって…!?」
「当然じゃ!!!」
間髪入れずにラルシオンの問い掛けに答える長老は中指を立てて血管を浮き上がらせる。
「冗談じゃないわ!!!」
長老の答えにラルシオンは顔色を変えて叫ぶ。
「こんなメンバーじゃあ優勝はおろか一勝だってムリよ!!」
「おじーちゃぁん! あたし怖いのやだよぅ」
ティムも眉を目一杯下げて訴える。
「ねぇねぇ!! 殺していいの!? 殺していいの!?」
…ギルだけは頬を染め、どきどき♡と胸を高鳴らせ、別の意味で長老に訴え問い掛けている。
「……………………」
…そんな三者三様の姿を渋い表情で見ていた長老は……
「であーっ! それでも勝つのぢゃあぁ!!!」
長老が叫びながら、ぶぅん!と竜巻の如く両手を高速回転させて三人に攻撃!
その竜巻旋風拳でラルシオン達はきゃあーっと叫び声を上げながら飛んで行く。
「よいか!! わしら村民は全ての財産をお主らの勝利にかける!!」
そして恐ろしいコトを宣言する。
「死んでも勝つのじゃ!! よいな!!?」
「だーかーらぁ!! 無理だって言ってるでしょ!?」
長老の恐ろしい宣言にラルシオンも速攻抵抗する。
「あたしとティムだけでどーやって勝てってゆーのよ!?」
そーよぉ…とティムもラルシオンの言葉に弱々しくうなずく。
「…ボクは…?」と言う人形の言葉は相変わらず完全無視だ。
「ぜーったいムリよっっ!!!」
そのラルシオンの断言する言葉に長老がぴくっと肩を震わせる。
「………そうか…」
そして振り返ったその顔は怖ろしく真剣で身体全体から気迫のオーラが立ち上る程で。
「ならば……これだけは言いたくなかったのじゃが…」
「何よ!!」
えらそーに!とラルシオンの方が逆にもっと偉そうに、ふんっ!とふんぞり返っている。
「お主達…鍛冶屋にあずけているあの鎧…どーするつもりじゃ?」
長老のその言葉に、邪神との戦いや巨大鳥の襲撃のせいでボロボロになった自分達の鎧の姿が頭によぎる。
あのままではとてもこの先使用に耐えられないから、いつものように鍛冶屋に預けたのだ。
「まぁ…普段なら村を守って下さる冒険者様達じゃ。タダで直してやりたいところなんじゃが」
長老は鼻歌交じりで指をちっちっちっと振る。
「何と言っても先立つものがなくてはのぉ…」
その長老の言葉に無一文なギルもおけらなラルシオンも口元をひきつらせるしかない。
…確かにいつもは金も払わず鎧や剣等を修繕してもらっている。
いや、修繕だけでなく日用品から食料品まで、今まで金なんか払った事がない。
『村を守ってくれているから』と長老は言ったが、正直長老さえいれば村の守りはほとんど必要ない。
…これは孫娘が世話になっている仲間だから…と長老が面倒を見てくれてる事や、また、身の内に入れた者達に優しくて甘いという大冒険村の村人達の性質のお陰で、今まで何となくなあなあでやってきたようなモノなのだ。
つまり…ラルシオンもギルもその点を突かれたら何も言い訳が出来ないくらい村に甘えまくっているのだ。
「そ…そんな無茶な…」
ひくつく表情を何とか整えながら、絞り出すラルシオンの言葉に、長老と村人達は目を吊り上げ血管を浮き上がらせ無言でラルシオン達をにらみつける。
有無を言わさない彼らのその表情に、ほふぅ…とため息をつくと、
「……出るしか…ないのね…」
…と諦めの言葉がラルシオンの口から小さく漏れる。
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第二部「大冒険武闘大会編」第1章2話目です♪
大冒険村とラルシオン達のお話です。…ちょっと短めで申し訳ありませんm(_ _)m
…現在、夏コミの漫画原稿〆切真っ只中でして…さっきまで更新忘れそうになってましたorz
次回の更新も〆切真っ只中ですが…忘れなければ来週になる予定です(^_^;)
そんな夏コミ108の予定は…
8/15(土・1日目)「茶々組」「初心の会」東3ホール・ホ11ab
8/16(日・2日目)「ずぅこく商会」東7ホール・G44a ←自分達のサークルが落選したので相方の所に居候ですw
…良かったら、大冒険の新刊も含めいろいろ持って行きますので、ぜひ夏コミ、遊びに来てくださいませ♡
ではでは。次回…来週も無事更新できましたらまたお会いしましょう。
よろしくお願いしますm(_ _)m
あと…最後にお願いがw
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