13:鳥に願いを… ③
第13章・3話目です!
今日も毎日連続更新中です。
「いーッ!!?」
「なっ…」
「なんじゃこの大きさわーッ!!!」
小さな鳥…だと思っていたそれが、夕日が沈みかけた遠くの山と同じくらいの大きさにやっと見えるようになった時にわかってしまったのだ。
その鳥が、遠くのその山よりもずっと向こう…もっともっと遠い場所をまだ飛んでいることに…。
全然近づいてこない…と思っていたのだが、それは間違っていた。
あまりにも鳥がでかすぎて、遠くにいるのに近くを飛ぶ小さい鳥に見えるくらいだったのだ!
鳥の表情がわかるところまで近づいて来た今は、手前の山よりもずっとでかく、その羽ばたきが生む豪風もすさまじいモノになっており…そんな状況でもまだかなり遠いところを飛んでいるのだと理解して全員が慄いている。
この豪風…鳥が本当に近くまで来てしまったら、一体どれ程えげつない被害がもたらされるのかということに…。
「……」
岩陰で皆と同様鳥の接近をワクワクしながら待っていたデスフォート達も、そのあまりの大きさに顔を青くし、完全に処理落ちしてしまっている。
「どんだけ大きいのよ!!」
「まだ近付いてくるぞ!!」
ゴオオオオオオオ…という凄まじい風の音がうるさ過ぎてお互いの叫ぶような声すら聞こえにくい。
そんなにも凄い風を起こしながら、なおもまだ遠くの山よりもでかいのに向こう側におり、まだまだ全然近くまで来ていないことが目に見えてわかってしまう事に全員恐怖する。
「こっ…この大きさは…」
ラルシオンが強風に耐えながら…
「全長約360㎞(推定)!!! 大冒険大陸よりでかい(当社比)鳥じゃあないの!?」
…と叫ぶ。
「………なんでそんな事知ってるの? ラルちゃん」
ワケのわからない知識を披露するラルシオンに、風に飛ばされそうになりながらも冷静にツッコむティム。
…確かに…初めて見た鳥の大きさを的確に当てる事が出来るなんて有り得ないはずである。
どちらかと言うと知能とか賢さとか…その手のスキルが高い方ではないと思われるラルシオンが、そんな知識や技術を持っているワケないのだから、それはエルフの持つ謎の特殊能力なのだろうか?…マジ謎である。
そんな強風で飛ばされそうな中でのラルシオン達のやり取りを、こちらも強風の中見ていたデスフォートは、さすがにこの小さな身体では耐えられる限界を超えた風の強さに、
「こっ…こりゃたまらん! 逃げるぞ、サモナー!!」
…と、後ろに控えるエドマンドに声をかけ、逃げるために腰を浮かす。
……が…
「あ˝ーっ!! デスフォート様!!!」
エドマンドの叫び声。
鳥から一瞬目を離したデスフォートがその声で視線を前に戻す。
…しかし、その僅かな時間が明暗を分けた!
グオッ!!…という大きな鳥の大きな羽ばたきが起こす強風が、デスフォートのいる岩陰に直撃する。
岩陰だったため風の逃げ場がなかったのか…小さい身体は勢いよく上昇気流に乗せられ…主従揃って周囲の木や岩と共に一気に飛ばされる!
バササ!バキバキバキ!
…という恐ろしい破壊音と共に×
きゃあああーっ…というデスフォート達の悲鳴は風の音にかき消されていく。
「…誰かの悲鳴、聞こえなかったか?」
ゴオオオオオオという轟音の中、アルフレッドが声を上げる。
「悲鳴もあげたくなるわよ!!」
ラルシオンも叫ぶように応える。
そんな大声の会話の間にも、ドドドドドという破壊音がどんどん近付いてくる。
その音だけで、鳥の羽ばたきが周囲を破壊尽くす勢いなのだと簡単に予想出来る。
「ちょっと羽ばたいただけで周囲が根こそぎ飛ばされるのよ! もし島に降りでもしたら…」
そんなラルシオンの言葉に…
大冒険大陸という名の島に、それ以上の大きさの鳥が降り立ち…ぷちっ…と簡単に踏み潰されて…大陸が沈没する姿が全員の頭に容易に浮かんでしまう…。
「そんなのいやああああーっ!!!」
やめてー!!…と、その想像図にギルが滂沱の涙を流しながら叫ぶ。
…と…
『――お前達か』
突然、どこからか響く声が聞こえる。
「こ…この声…鳥の…?」
『私を呼んだ者は――』
鳥の声はアルフレッド達の戸惑いなど全く意に介さず言葉を続ける。
『富も 権力も…心さえも望みのままだ』
言葉が続く間も、鳥はどんどん近づいて来ている。
ブアァ!と巻き上がる風の強さも耐え切れないレベルになっている。
うっひゃあ!と軽い人形のギルはその嵐の様な風に翻弄され、ボロ切れのように右に左に飛ばされている。
『どんな事でも一つだけ 望みを叶えよう』
いや、ギルだけではない。その場に立っていられない程の風圧が全員に降りかかっている。
『さあ 望みは何だ』
だが、鳥自身は周囲のそんな切羽詰まった様子を全く斟酌しない。
重々しい言葉をゆっくりと発しながら、どんどんアルフレッド達に近付いてくる。
空全面を覆うかの如くの巨大な身体で大きく羽ばたくその行動で、ゴオオオオオ…という風の音と強さだけがどんどん増していき、既にちっぽけな人間達には耐え切れない程になっていき…
「ちょっ…ちょっと」
「やめ…」
口から絞り出すように漏れる願いにも似た言葉は、その強すぎる風にかき消されてしまう。
「頼むからどっか行って!!!」
思わず、全員の心からの叫び声が揃う。
…揃ってしまった…。
『――』
その言葉に、鳥の言葉が止まる。
そして…
『わかった』
こちらに向かう羽ばたきが止む。そしてザッ!と踵を返すと…
『願いは聴き届けた』
フッ…と爽やかな笑顔♡で鳥は応じる。
『さらばだ!!』
そして、グオ!!と周囲をまた激しくなぎ倒しながら大きく羽ばたくと、
あーっはっはっはっはっはっは♡
…と笑いながら元来た方角にものすごい勢いで飛んで行き…
やがて…
きらりーん
…と星になった。
……真っ白になった皆を残して…
「いっ…」
「行っちゃった……よ」
遠く光る星からまだ、はーっはっはっはっ♡…という鳥の笑い声が聞こえる。
…これ程までに遠くからでも響くその声…どれだけ巨大な存在だったのだろう…。
何処からともなく現れ、一瞬で周囲を破壊尽くして甚大な被害を与え、そして話も聞かず、あっという間に去って行く、幸せを呼ぶという伝説の鳥笛の鳥――
「こ…」
「これのどこが…」
「…幸せ?」
誰ともなくつぶやく声…
ひょおおおおおおおお…と吹きすさぶ風は、まるでぽっかりと何かが抜け落ちた心を表す悲鳴のようで…
残ったのは…壊滅状態の周囲と唖然と固まる冒険者達…
その絶望的な状況に、くらっ…とめまいで倒れかけるラルシオン…
――こうして…
大冒険大陸始まって以来の正真正銘最大の危機は去っていった…
「し…幸せを返して…」
滂沱の涙を流す勇者と、
がっくうぅぅんと全身の力が抜けてしまったラルシオンと、
ラルちゃん、気をしっかり…ね?
…と励ます健気なティムと…
し…しどい…
なんて鳥×
…と、ぶつぶつとつぶやくことしか出来ない脱力気味の皆を残して……
※下の方 ↓ に、原作マンガや同人誌が読めるサイトや、Twitter(X)のリンク先が貼られています。
よかったらぜひ、のぞいてみてくださいませm(_ _)m
第13章3話目です。13章ラストです。
ただいま毎日連続更新続いてます!
次回…明日は新章というかエピローグ編になります。
よろしくお願いしますm(_ _)m
クライマックス展開+春休み企画?…というコトで、この先ラストまで連日更新(予定)中でございますw
…平日の更新というコトで、あまり遅くない時間…毎晩20:30頃に明日以降も更新していく予定です。
本日も相変わらずの自動更新任せですw
…たとえ無事予約更新できても、20:30くらいだと、いつの間にか更新してて、うっかり気が付かなかったりしますorz
よかったら私の代わりにぜひ拡散とか宣伝とかもしてやってくださいませm(_ _)m
ではでは。
次回…明日も無事更新できましたらまたお会いしましょう。
よろしくお願いしますm(_ _)m
あと…最後にお願いがw
このお話を見て、もしよかったと思って頂けましたら、ぜひ、下にあります『評価(☆☆☆☆☆)』ボタンを押してやってくださいませm(_ _)m
リアクションマークもぜひw 感想やレビューとかもお待ちしております♪
よろしくお願いいたしますm(_ _)m




