13:鳥に願いを… ①
新章に入りました。
第13章・1話目です。
今日も毎日連続更新中です!
砂煙の中…倒れて全く動く気配のない魔神弐號と、周囲に歪にそそり立つたくさんの岩山と、その間に沈みかけた夕陽と…。
そして最大の恐怖が去っていった夕陽の方角に向かって全員が茫然と立ち尽くしていた。
「…とりあえず、終わったわね」
脅威が過ぎ去って行った事にやっと実感がわいたのか、ラルシオンがゆっくりと振り返り、苦笑いを浮かべながら誰とはなしにつぶやいた。
「ああ、終わったな」
ラルシオンのその言葉にアルフレッドもホッとしたような微苦笑を浮かべて応える。
「アルフくんの活躍のおかげだね。ありがとう」
「そんな…皆でがんばったからこそだよ!」
ラルシオンが、アルフレッドに向かい手を差し出す。その手をアルフレッドはしっかり握り、お互いをたたえあう。…手を握りあう二人の間には再びめばえる友情が確かにあった。
「――でもやっぱり」
そんな生暖かい友情の空気が流れる中…
「何と言っても、特にボクがいたからこそだよね♡」
…と、全力で偉そうに人形が胸を張る。
その偉そうな態度の人形を見て、…あ、元に戻ってる…と誰かがつぶやく声が聞こえる。
そう…ここに居るのは、いつの間にか人形に戻ってしまっているギルだ。
まだ1時間経ってないハズなのだが…何故か人間バージョンから人形に戻ってしまっているのだ。
…ハーフエルフのクララに半端に解呪されたせいで『人形の呪い』に何かしらの影響が出たのだろうか…?
その理由は誰にもわからない。
「何言ってんのよ! あんたが一番ラクしてたくせにぃ!!」
「そんなことないよぅ」
理由のわからない人形化の件は全力でさておき、ラルシオンは偉そうにふんぞり返っている人形の首を締め上げている。
締め上げられたギルは苦しそうに顔を歪めながら手足をブンブンと振り回している。…いや、どんなに締められたところで苦痛等感じるワケがない人形のハズなのだが。
…本当に苦しいのかどうかはマジ謎である。
そんな二人のやり合いを見て、ティムが慌てて、
「あ…あとは、鳥笛の問題だけだね」
とにこやかに取り繕う。
小さな声で「見つけたよ♡」と言いながら皆に向けられたティムのその手には、邪神の手から離れて転がっていた鳥笛がしっかりと握られている。
その鳥笛を見た瞬間、全員の心の中の『友情』という文字に
ぴきっ
…とまたも大きくヒビが入る。
……やはり、鳥笛が関わった瞬間、付け焼刃の友情は瓦解す運命なのだろうか…。
「せっ…せっかくわかりあえたのに、こんな事で喧嘩なんて良くないわよねぇ♡」
ふふふ♡…と爽やかに取り繕った笑いを浮かべてアリスがぽんっと鳥笛に手を添える。
「ホ…ホントねぇ♡ せーっかく仲良くなったのにねえ♡」
ははは♡…とにこやかにひきつった笑顔でラルシオンもぽんっと鳥笛の上に手を乗せる。
ほほほほほほほほほ♡
…と、見事な作り笑いで二人はその手にある鳥笛を、
ぎゅうううう~
…と力いっぱい己の方に引っぱっている。
力が拮抗しているのか、その手は置かれた場所から全く微動だにしないが。
「あ…あの…落ち着いて相談しましょーよ。ね♡」
自分の言葉のせいで緊張感の増したこの空間を何とかしようと幼いティムが一生懸命二人をなだめている。
…やはり、この連中の中で一番の大人は彼女なのかもしれない。
「でもぉ、どーして一つしか願い事叶わないんだろ」
そんな一触即発の雰囲気の中、クララが空気も読まずに呑気につぶやく。
「喧嘩しないよーに、皆のお願い聴いてくれたらいいのに」
そのクララの言葉に、鳥笛をめいっぱい握りしめていたアリスがハッと目から鱗の表情になる。
「そーか!! その手があったわ!」
アリスの叫び声に、
「?」
「へ?」
「その手って…何の手よ?」
…と周囲の戸惑う声が上がる。
「ふふっ♡ つまりね…」
と、さっきの作り笑いではない、心からのにこやかな笑顔でアリスが答える。
「『皆のお願い叶えてください』――って、お願いするのよ」
「あ…ッ!!」
「そうか、その手か!!」
アリスの言葉にラルシオンとアルフレッドが目を輝かせる。
願いをかなえる系のよくあるルールを変更してしまうズルい方法を提案され、皆が沸き立つ。
「えー? どこの手ぇ?」
アリスにヒントを与えたクララだけがピンときていないようだ。
…いや、何も考えていないバーバラも空気状態になったままなので、多分わかっていないようだが×
「だーかーらー」
理解度の低いクララにアリスがちょっとイラついたように、
「そのお願い一つだけで、全員のお願いが叶うわけよ」
と、ものすごくざっくりと簡単に説明する。
…多分、丁寧に解説したところで理解してくれるかどうか分からないし…何より面倒くさいし…と、解説するアリスの顔にありありとその心境が浮かんでいる。
「ホント? すごーい♡」
クララも分かりやすいその解説にやっと意味が分かったのか目を輝かせて喜ぶ。
…うん、やっぱりこの程度の説明で正解だったわ…とアリスも微妙な笑顔で頷いている。
「本当…すごいわ」
そんなアリスとクララのやり取りを横でうんうんと頷きながらラルシオンも納得している。
「あんたって悪知恵の天才ね」
と真顔でアリスを褒めている…が…どう聞いても完全な悪口である。
「文句があんなら、あんたの分だけ外すわよ」
ラルシオンの言葉に顔をゆがめるアリス。
「まあまあ」
そんな二人の間に挟まり、何とかなだめるアルフレッド。
そして、今度こそ皆が納得した様子を見て、
「これで鳥笛の問題も解決したし、早速吹いてよ、ティムちゃん」
「え?」
アルフレッドは鳥笛を持っているティムに声をかける。…が、その言葉にティムの笑顔が固まる。
「あたし…吹きたくないなぁ」
ティムはそうぽつりとつぶやく。
「――? 何で?」
ティムの小さなつぶやきに首をかしげるラルシオン。
「…だって…コレ…」
言い淀むティムの言葉に、
「あ…そーいえば…」
ラルシオンも…
ぷかぷか…と例の場所で揺蕩う鳥笛の姿が鮮明に思い出される。
「それ…触るのもやだもんね」
頭に浮かんだあの時の映像に、あっちゃー…と苦笑いでつぶやくラルシオン。
「うん…」
ティムも一緒に苦笑いだ。
「?」
そんな二人の姿に不思議そうなアルフレッド。
「どーしたの? 何で吹かないの?」
…と聞くが、
「え!? ちょっ…ちょっとね…♡」
「えへへへ」
…と笑顔で誤魔化す二人。
そんなやり取りを遠い岩陰から眺める人影が…!?
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第13章1話目です。新章に入りました。
ただいま毎日連続更新続いてます!
次回…明日は第13章2話目です。よろしくお願いしますm(_ _)m
クライマックス展開+春休み企画?…というコトで、この先ラストまで連日更新(予定)中でございますw
…平日の更新というコトで、あまり遅くない時間…毎晩20:30頃に明日以降も更新していく予定です。
本日も相変わらずの自動更新任せですw
…たとえ無事予約更新できても、20:30くらいだと、いつの間にか更新してて、うっかり気が付かなかったりしますorz
よかったら、私の代わりにぜひ拡散とか宣伝とかもしてやってくださいませm(_ _)m
ではでは。
次回…明日も無事更新できましたらまたお会いしましょう。
よろしくお願いしますm(_ _)m
あと…最後にお願いがw
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