表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おハーブおじさん 栽培チートでおハーブ大好きお嬢様を助けたら、真の仲間と認められました。合法おハーブで彩る異世界村おこし  作者: うえき蜂


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/42

合法おハーブVS脱法ハーブ

 観光案内ができるくらい、村の隅々まで堂々巡りを強いられた。

 スギト大使に任命される勢いである。名所は……ないです。特産は……ないです。

 カゾも他所にマウントを取れるほど、何かがあるわけじゃない。そのためのおハーブか。


「ふひ、フヒヒ! もう限界ですぞっ」


 ゼニンドの顔面の圧が、作画崩壊よろしく酷かった。


「ハーブ屋ぁ~。俺も、そろそろ走れねえー」


 大剣の人は、ヒューヒューと喘息を引き起こしていた。

 ……その大剣、道の端に置いてったらどうだい?

 カマセのアイデンティティが喪失しかけたところ。


「もう少しで約束の場所だ! 頑張れ、中年たち。おじさんも腰がキツいっ」


 何度も砂利道を走って、階段を上り、坂道を下った結果、おじさんの膝はボロボロだ。


「「「はぁぁぶぅぅうううっっ」」」


 脱法ハーブ集団も、そうだそうだと言っている。

 冷静に考えると、彼らが一番しんどそう。中毒症状を改善しても、筋肉痛に襲われちゃう。

 足が棒になりながら、おじさんたちは先導役として大通りに戻ってきた。


「タクミ様! 急いでくださいませっ」

「エンドー氏、上手く誘導したな! 最後まで駆け抜けろッ」


 遠目でも美人たちが所定の位置で待ち、なぜかゴールテープまで用意している。

 長い長い地獄の追いかけっこの果て。マラソンのゴールは――木橋。

 図らずも、中毒者と初遭遇したスタート地点だった。


「はあはあ……2人とも、お待たせ……準備、どう?」


 ゴールテープを切った途端、おじさんたちは崩れ落ちるように倒れ込んでいく。


「むろん、準備は済ませてある」

「あとは、おハーブバスソルトを投入するだけですわ」


 膝に手をつき、呼吸を整えていると。


「はぁぁぶぅぅううう!」

「はぁーぶぅぅううっっ」

「ハァァブーゥゥウウッ」


 奴さんも団体さんで目と鼻の先だ。

 もう少し休ませて。コンビニのワンオペくらい辛い。ぐすん。


「ローレルさん、カミツレさん! 思いっきりやっちゃってよ!」

「かしこまりましてよ」

「御意だ」


 作戦の最終確認を行うや、おじさんたちは頷き合った。

 脱法ハーブ集団を十分引きつけて――橋に入った!

 タイミングを見計らい、デュフフと突っ伏したゼニンドの肩を掴む。


「ひょ? もうゴールしたでござろう?」

「いや、ゴールは木橋だけどちょっと違う。おじさんとお前は――橋の下さ」


 ハーブティーで強化した腕力で肥えたオジサンを抱え込んだ、おじさん。

 ベタベタした脂汗で、今すぐ手放したい気持ちをグッと我慢する。


「いくぞ、悪徳商人の不法投棄だ!」

「なんですとぉ~っ!? ま、待つのですぞ。エンドー殿、早まってはいけま――」


 抵抗極まるゼニンドの制止を振り払って、おじさんは一気に橋から飛び降りた!


「バンジージャンプぅぅううーーっっ! ロープなしぃぃいいいーーっっ!」

「ぜぇぇえええっっひょょおおおーーっっ!?」


 重力に従い、加速がてら落下していく。サァーッと血の気が引く感覚が伝わった。

 ドボンッ! そんな水没音が響き渡る直前。


「「「ハァァアアアーブゥゥウウウッッ!」」」


 脱法ハーブ集団は急には止まれない。

 ゼニンドの加齢臭を帳消しにしたハーブの香りに釣られて、彼らもまた橋の柵を乗り越えていった。次々と後続が現れ、玉突き事故よろしく先頭から順番に小川へ落下していく。

 ドバン、ドシャン、バッシャーンッ! と盛大に水飛沫を上げた。


「ローレル、遠慮はするなよ。すべからく、投入しろッ」

「おハーブバスソルトで、デトックス作戦ですの!」


 カミツレさんとローレルさんが、小川に向かって大量の入浴剤を放り投げた。

 見る見るうちに、小川が乳白色に染まっていく。香草由来の独特な匂いに包まれた。


「おい、いくら入浴剤入れてもすぐ流れちまうだろうがあ!」


 カマセのツッコミに、おじさんは問題ないと独り言ちた。

 作戦開始前に、水門は閉めてもらった。そのための時間稼ぎである。

 ゆえに、木橋の下は今、自然の温泉として機能させられるわけだ。


「ハーブバスソルトの効能は、身体から悪いものやら毒素を抜くこと」


 周囲を見渡せば、中毒症状を訴えていた村人たちが恍惚の笑みを浮かべていた。


「あぁ~、極楽だぁ~」

「溶けるぅ~、憑き物が落ちるぅ~」

「ワタシ、女性だからぁ~。お肌、ツルツルになっちゃうじゃなぁ~い」


 こちらの温泉、老若男女問わず内側から綺麗に美しく潤いを与えます。


「って、どうして俺たち川に浸かってんだ?」

「さあ、直近の記憶がなくて分らないの」

「気分爽快だし、良いんじゃない? なんか、腰痛と肩こりも治ってるし」


 ハハハハと笑い合った、村人たち。

 細かいことは温泉に流そう。それがリラックスなデトックス。


「脱法ハーブ、破れたりっ」

「やはり、おハーブ……っ! おハーブは全てを解決しますわ!」


 桟橋の上、おハーブ大好きお嬢様は大歓喜していた。

 ローレルさんが満足したようで、何よりです。


「おじさんが今まで作ったアイテムが役に立って良かったなあ」


 今までの総決算。それが無駄じゃないと証明できた。


「おーい、そろそろ出ようぜ? 家に帰らねーと」

「え~、出たくね~。ここから出たら、厳しい現実が待ち受けてるぞい」

「温泉、サイコー。スギトにこんな名物があったなんて、ド田舎も捨てたもんじゃねーよ」


 スギト流露天風呂、住民たちに大好評。

 唯一の欠点は、一度入浴すると自力で出るのが難しい点であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ