風で揺れたカーテン
2年A組。それが僕の教室だ。
いつも通り教室のドアを開けると、色々なグループがそれぞれ話をしていた。とは言ったものの、昨日の〇〇ってテレビ見た?、まじでこの子タイプすぎる!など、くだらない話ばかりだ。
自分の席に座ると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「俺、また振られた…」
こいつは早瀬凛。スポーツ万能、野球部エース、勉強においては学年トップスリーを争うハイスペ男だ。しかし、恋愛においては空振り三振をしまくっている。
「凛、お前今年に入って何回目だよ笑笑」
数を数えながら指を折る。
「や、やべー。覚えてねぇ…」
だけど、こいつは手当り次第色々な人に告白している訳でもない。中学校の頃から一途ではある。
「ったく、諦めればいいのに。」
何も考えずに僕はそう言った。
「は?それは違うだろ!!!お前に俺の気持ちが分かるわけねぇ!」
耳が痛い。急に怒鳴られた。なぜ、?
無論、僕は彼女いない歴=年齢というタイプだ。
しかし、こんな怒鳴られるようなことを僕は言ったのだろうか。
「ご、ごめん。」
何が悪いのかも分からず、僕は咄嗟に謝ることしか出来なかった。
キーンコーンカーンコーン。
朝のSHRが始まる。
また平凡の1日の始まりだ。
「これ、修学旅行の参加同意書、明日までだからな!忘れないように!」
担任がなにか喋っているが、僕は窓の外を見ていた。
空いっぱいに広がる青色。風邪でなびく木の葉。
今日は気持ちの良い朝だ。あまりいつもとは変わらないのだが。
一限、二限、三限、四限、と僕は淡々と授業をこなした。
「優、飯食い行くぞ!」
「ほーい。」
いつも通り凛と学食に行く。
え?喧嘩してたんじゃないのかって?凛の虫の居所は治まったみたいだ。
「それでさぁ…」
むしゃむしゃと凛は牛丼をかきこんだ。
「ちょっ、汚い!喋りながら食べないで!食べながら喋らないで!」
「そんなのどっちでも一緒…じゃねぇか!!」
「だから食事か喋るかどっちかに!」
なぜか凛はいつも急いでお昼を食べる。
それに振り回される僕。
いつも通りの日常だった。
五限、六限、七限、は流石に眠気もあったが、いつも通りの日常を送ることができた。
「それじゃまた明日な!さようなら!」
「さようなら!」
まばらな挨拶が教室に響きわたる。
「凛、おつかれ」
「ってもうお前帰んのかよ!?こっちは部活だってのに。」
「帰宅部の特権だよ」
そう言いながら僕は教室を出た。
そして駅に着いた頃、僕はふと思い出した。
ってか朝言ってた修学旅行の同意書忘れた!
せっかく早く帰れるチャンスだったのに。
僕は急いで教室に戻った。
誰もいないシーンとした教室。
外とカーテンで遮られた教室。
僕は窓を開けて外を見渡していた。
無駄に整った中庭、改修工事で綺麗になった校舎。
しかし、空だけは何も変わっていなかった。
そこで一瞬。風がなびいた。
ふわっと、向こうの校舎のカーテンが揺れる。
そこで目に映ったのは。誰か知らない君の笑顔。
夕日に照らされる、君の笑顔。
僕の心臓は何故かうるさかった。




