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17/22

孔明、書店でBLを知る

【これまでのあらすじ】


「来世はのんびり碁が打ちたい・・・!」


 猫になって異世界に転生した、

【三国志《さんごくし》】の諸葛亮《しょかつりょう》 孔明《こうめい》。


 街の碁会所《ごかいじょ》で、

 主の劉備《りゅうび》と共に、

 すっかり時間を忘れて対局に夢中になり・・・。



 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ●



「遅(おっそ)~い・・・」


 外で待ちくたびれていたのだろう、

 芙蓉(ふよう)殿は、

 開口一番 そう言った。


「ごめんなさい・・・」


「ニャ~・・・」


 劉備様も私も、

 素直に謝る。


 ついつい、

 碁会所での対局に熱中して・・、

 気づいた時には集合時間をとっくに過ぎていたのだ・・・。


「もお・・、

 せっかく家族(みんな)で街まで来たのに・・・」


「ごめん。

 お詫びに好きなの買ってあげるから」


 そう言って、

 劉備様は通りの先に見える店を示した。


(衣服の店か。

 店前にもハ(・)イ(・)カ(・)ラ(・)な服が並んで・・・)


「いいの?」


「もちろん。

 赤でも黒でも紫でも・・、

 好きな裤子(パンツ)を選んでよ」


「・・裤子(パンツ)?」


「え?

 だって、

 下着を買いに来たんでしょ?

 大きさが合わないからって・・・」


「っっ・・、

 お兄ちゃんの馬鹿ぁっ!!!!!」



 ――結局、

 芙蓉(ふよう)殿の機嫌を取るため、

 劉備(りゅうび)様は さらに、

 3着もの服を買う事になった。


 ちなみに、

 下着のほうは無難な色と柄のものだった・・・。




 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ●



「あの~・・芙蓉(ふよう)・・・」


 大量の荷物を抱えながら、

 劉備(りゅうび)様は言った。


「何?」


「最後に、

 書店に寄ってもいいかな・・・?」


 おっかなびっくり、

 尋ねる。


 だが、

 芙蓉(ふよう)殿は意外にも、


「うん、いいよ」

 と、

 笑って許してくださった・・・。


「ニャ~・・・」


「(うん・・、

 機嫌も直ったみたいだ・・・。

 あ~よかった~・・・)」


 と、

 私たちは胸をなでおろした。


(それにしても、

【書店】か・・・。

 書物の売買を行う専門の店とは・・・)


 前の世では、

 なかったもの・・、

 これは楽しみだ。



「いらっしゃい」


(ほうほう、

 これはこれは・・・)


 店には書物の棚が並び、

 各種様々な書が並んでいる。


「あ、

 この小説。

 続きが出てたんだ」

 と、

 芙蓉(ふよう)殿が嬉しそうに、

 書を手に取っている。


「ニャ?」


「ほら、

 コーメイちゃん。

 面白いんだよ、

 この小説のお話。

 しかも、

 値段は銅銭1枚」


 そう言って、

 パラパラと書の中身を見せてくれた。


『にゃるほど・・・』


(【小説】とは、

 架空の物語を収めた書か)


 比類なき知性により、

 私は瞬時に理解した。


(それにしても・・・)


【恋愛】・・【すれ違い】・・・【男同士】・・・。


「ニャ~・・・」


 少々、

 読み手を選ぶ物語のようだ・・・。


「わ・・、

 そんな体制で・・・。

 ・・え、

 そんなものまで入れるの・・・!?」


 ・・・楽しそうに書棚をあさっている。


 どうやら、

 彼女のほうは、

 放っておいても問題ないようだ。



 ――一方、

 劉備様のほうは、

 店内を一通り回って、


「あれ・・・?」

 と、

 不思議そうな顔をしている。



「・・・すみません、

 囲碁(いご)の本を見たいんですけど」


「え・・囲碁?」


「はい、

 できれば最新の棋譜(きふ)が載ったものを」


「棋譜ねえ・・・」


 劉備様の言葉に、

 店の親仁(おやじ)は怪訝(けげん)な顔をした。


「棋譜・・って、

 棋士(きし)のだよね・・・?」


「ええ、

 もちろん」


「まあ・・、

 あるにはあるけど・・・」


 そう言って、

 親仁(おやじ)は店の奥に行き、

 数冊の書を抱えて戻ってきた。


 棋譜(きふ)だけでなく、

『詰碁(つめご)』だの『手筋(てすじ)』だのと、

 表紙に書かれた書まである。


「囲碁の本は、

 店頭には出していないんだよ」


「ありがとうございます」


 礼を言った劉備様は、

 さっそく一冊受け取って、

 内容を確認する。


「え・・・?」


 不審げな顔で、

 頁(ページ)をめくっていく・・・。


「・・・・・・」


「ニャ~?」


「いや・・、

 何でもないよ、

 孔明(こうめい)」


 そんな劉備様の様子を見て、

 親仁(おやじ)が言った。


「他の客も言っていたよ。

『こんな碁を打つ者が、

 棋士を名乗っているのか』、

 ってね」


「え・・・」


「俺には、

 見ても分からないけれど・・・。

 やっぱりそんなにひどいのかい?」


「はい・・・」


「そうかい・・・。

 ちなみに、

 そいつの値段は、

 銅銭30枚だよ」


「・・・高いですね」


 苦笑いを浮かべる劉備(りゅうび)様。


 銅銭30枚と言えば、

 先ほどまでいた碁会所の席料、

 その15倍にもなる。


「ニャ~」


「孔明も見てみる?」


 劉備様はしゃがんで、

 私の前で頁(ページ)を開いて見せた。


「・・・・・・!

 ニャ~・・・」


「うん、

 芙蓉(ふよう)の裤子(パンツ)が、

 50枚は買えるかな・・・」


 そう言って、

 劉備様は、

 棋譜の書を親仁に返す。


「こっちの詰碁(つめご)の本は、

 いくらですか?」


「ああ、

 そっちは銅銭2枚だよ」


「・・・!

 普通の値段ですね」


「そっちの本は、

 個人の道場から出ているものだからね」


「ああ・・・」


 親仁(おやじ)の言葉に、

 劉備(りゅうび)様は何やら得心(とくしん)がいったようだ。


「ちなみに、

 囲碁の書を店頭に出さないのはね、

 そうすると、

 税を取られまうからさ。

 置いておくだけでね・・・」


「・・・・・・」


「ニャ~・・・」


 どうやら、

 こちらの世の囲碁稼業は、

 想像以上に複雑なようだ。



 ――結局、

 私たちは5冊の本を買って、

 書店をあとにした。


【詰碁】と【手筋】の本を1冊ずつ。


 残りの3冊は、

 芙蓉(ふよう)殿が選んだ【小(・)説(・)】だった・・・。



 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇



【あとがき】


 

 ここまでお読み頂き、ありがとうございます!


 よろしければ参考までに、

 コメント欄で推しのカップリング・・もとい、

 三国志キャラや名台詞など、

 お教えいただけましたら嬉しいです。


 また、

 この物語が気に入っていただけましたら、

 ぜひ下にある『評価ボタン』や星を、


 さらにハマっていただけましたら、

 ブックマークとともに続きもよろしくお願いします・・・!

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