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第13話 神龍の討伐

帝国暦1400年12月


―ジャポーネ領ウマアリ温泉―


「なぁ〜アオイはん、あれって神龍ちゃいますの?」

緑の鱗に金色の斑紋。大きさは城一つ分程。幼い頃に読んだ本に書かれている神龍の姿と一致している。

「コトネ、あれは間違いなく神龍…なんだけど…どうしてこんなところに神龍が…。」

通常、龍は何らかの危害を加えられない限り地下深くで寝ており、7000年に一度地上に出て栄養補給をする。

前に神龍が地上に出てきたのは5000年前。

つまり、普通ならここにいるはずのない生き物がいると言うことになる。

なぜだ。なぜこんなところに神龍が。そんな事は後で考えれば良い。今は目の前の龍を何とかしなければ…。

私は戦闘態勢に入った。

それを見た龍がこちらに向かって大きな手で潰そうとしてくる。

「遅い!」

私達はその攻撃を躱す。

躱した事により生まれた隙にコトネが愛刀ムネマサで攻撃を仕掛ける。それに気づいた龍はコトネに対して頭突きをしようとする。

「させるか」

私は即座にスノーヴァイトを発動し、龍の意識をこちらに向けさす。その時…。

「もらったで。相川流必殺奥義 桜梅桃李おうばいとうり!」

それは一瞬の出来事だった。

コトネの剣が桃色に変わったかと思えば目の前には龍の首があり、後からズシンという首が落ちた音がした。コトネは私ができない技をたった20年ちょっとで習得した。素直に凄いと思った。それと同時に悔しかった。横では「…何やったんですか。コトネ様」と何が起きたのか全く理解できていないアイの姿があった。


コトネが神龍を倒してから2日たった。

この2日間、私はなぜ神龍が現れたかについてひたすら考えていた。仮説はいくつかあるが最も説得力のあるのは龍に何らかの精神系の魔法がかかっていて人為的に地上に出てこらされた説だ。大前提として龍が地上に出てくる条件として

1.栄養補給のため。

2.何らかの危害を加えられたため。

この2つしかない。そして1の栄養補給のためは神龍が地上に出てくるまで後2000年はある。もちろん何らかの異常が起こった可能性はあるが可能性はかなり低い。そうなると何かしら危害を加えられた可能性が高くなる。そして決定的とも言える根拠なのが通常、龍は人間と会話ができる。

しかしあの時の神龍は会話ができなかった。ただ単に危害を加えられただけであれば会話出来るはずだ。会話ができないとなると何らかの精神干渉系魔法を受けていると捉えるのが普通だ。

問題はここからだ。

誰が何の目的でやったのかその意図が全く分からない。

龍という生物は他の生物と比べると精神干渉系魔法に強い耐性を持っている。 

しかも今回出てきたのは龍の頂点ともいえる神龍だ。相当強い精神干渉系魔法が必要になる。そんな強い精神干渉系魔法を持っている者など数が限られる。わざわざ自分の正体がバレる危険を負ってまで神龍を使った意図が分からない。などと頭を捻らせているとコトネが走ってこちらにやってきた。

「アオイはん。皇帝陛下からの手紙もらってきたで。」

「皇帝…。」

あの男からの手紙…。いい気がしない…。

「ありがとう。コトネ」

礼を言い手紙を読む。


シジョウアオイへ。

頼みたい用があるから今すぐ帝都に戻ってこい

       レーヌ帝国皇帝チャーリー9世

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