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元貧乏伯爵令嬢は『氷の人形令嬢』と呼ばれていることをまだ知らない  作者: 目黒市


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04

 さぁ、やってきました侯爵邸。

 あの日、婚約をした日からトントン拍子に事は進んで今日は私の侯爵家輿入れ。


 私を乗せた馬車は実家のミークリヤ邸とは比べるのも失礼な豪邸の前で止まる。

 はぁ、ものすごく憂鬱。

 私自身は別に人嫌いというわけではないの。ただ人と関わる機会もなく家に引きこもっていただけ、というのは以前説明した通り。けれど実感したわ。


 想定と実際は違う、ということ。


 少し思慮すればわかること。そもそもフィクションと現実は違う、とその口で言っていたのに。それは私自身の私への評価にも結び付くわけ。

 というか私って社交界にも出たことないのだから、人見知りするかどうかもわかるはずがない。今日が初めての実践日、というわけだ。

 すっごい手が震える。ものすごく顔も強張っている。


 ただでさえ外出初心者なのに、その初舞台が輿入れ。その輿入れ先がこんな豪邸となればもう。

 というかもの凄く広い。広すぎる。伯爵邸がいくつ入るのかしら。

 戦々恐々としていると、馬車は長い長い中道を抜けて表玄関にたどり着いてしまった。


「奥様、ようこそレッドメイン侯爵邸へ。私は執事のアルフレッドでございます。何かありましたら気兼ねなくお申し付けください」


 壮年の執事と数名の侍女がお出迎えしてくれる。

 どうやら旦那様となるサーシェス侯爵様はいらっしゃらないようだ。

 そんな探すような私の視線に気づいたのかアルフレッドが申し訳なさそうに答えてくれる。


「旦那様は王宮での職務がありますので不在でございます。このような日に申し訳ありません」


 いえいえ、むしろ不在の方が私も気兼ねなく過ごせるわ。

 確かに侯爵様ってお顔も整っているけれど、なんか終始不機嫌だし、あの長身は威圧感あるのよね。

 

 それにこの結婚は侯爵様にとっては人避けの為。

 私に構う理由もないでしょう。


「それから」


 アルフレッドは一人の侍女に前へ出るよう促す。


「こちらは奥様付きの専属侍女」

「イナでございます」


 お仕着せ姿の少女。年の頃は……私と同じか下ぐらい?

 なぜ疑問形か、と言えば。

 アルフレッドが説明してくれる。


「イナは異大陸の生まれでございます。幼く見えますが旦那様よりも年齢は上でございます」


 わぉ。思わずイナをまじまじと見つめてしまう。ということは少なくとも二十五以上ということよね? 確かに異大陸の人々は不老と呼ばれるほど若々しく見えるらしい、と本で読んだけれどそれは事実だったみたい。


「……よろしくお願いね、イナ」




 と、そんなこんなで始まった私の侯爵夫人生活。

 家を出る前にお母様から教わったご婦人の仕事に関しては、すべて無駄に終わった。

 屋敷内での采配、社交の手配、そういった事柄はすべて執事のアルフレッドと侍女長が取り仕切っている。そもそもなのだが、茶会への参加や主催は無理に行わなくていい、と旦那様からの言伝をアルフレッドから聞いている。

 そうなの。

 旦那様とはこの侯爵邸に来てからほとんど、ほーんとにほとんど顔を合わせていない。

 そもそも私と旦那様の生活時間が重ならない。

 私が起床する前に仕事のために王宮へ。帰宅は私の就寝後。

 顔を合わせなくて済むのはいいのだけれど、侯爵夫人としてこれでいいのか、という不安もあるわ。


 そ、それに。それによ。アレも。

 アレったらアレよ。

 アレなの。

 よよよよよよよよよよよよよよよよよ夜伽。いえ、共寝することもないわ。

 それだってかまわないのだけれど、なんというかちょっと納得いかない気持ちが湧いてくるのも事実。

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