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絆のトレーニングノート After Six:走り出す未来  作者: たまに何かを書く人
第3章 翔ける絆、未来へのレーン

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第十節 舞い降りる雪、輝く日々

月日は流れ、12月。冬休み目前の終業式を数日後に控えたある夕方。

吐く息が白く染まり、寒さが本格化する中、さちは帰宅するなり、母・真由美に話しかけ

た。

「お母さん。今年も、トレノでクリスマスパーティと記録会やろうと思ってるの」

夕食の準備をしていた真由美は、ふと手を止め、優しい笑みを浮かべた。

「そう、去年のあれね。もちろん、いいわよ。おかず、何か作って持っていこうか?」

「うん、嬉しい。ありがとう!」

「じゃあ今年は、ちょっと凝った煮込みでも作ってみようかな」

嬉しそうに話す母の姿に、さちも思わず頬をゆるめた。

同じ頃、ハルとユキの家でも。

夕食の席で、ハルが何気なく話題を切り出す。

「そういえばさ、今年もトレノでクリスマスやるよ。記録会も一緒にね」

父・たくみがすぐに反応した。

「それは楽しみだな。ワインでも持って行こうか?」

「また始まった……」と、あかねが苦笑いで眉をひそめる。

「ちょっとだけにしてよ。前みたいに飲み比べとか始めないでね?」

「わかってるよ~」とたくみが笑うと、食卓にはあたたかな笑いが広がった。

一方、リンは自室でタブレットを手に、母・キャサリンとテレビ電話をしていた。ふたり

にとって、英語での会話はいつものことだ。

「Mom、今年もみんなでクリスマスパーティするよ!トレノ記録会もやるの」

「That’s wonderful, honey! I’m so happy you have such great friends」

画面越しに微笑むキャサリンが続けて言った。

「今年の冬はね、パパも一緒よ。年末年始、家族みんなで過ごせるからね」

「本当?やったー!」

画面越しに跳ねるリンに、キャサリンも笑顔でうなずいた。

数日後の放課後。

さちたちはプールサイドのトレーニングスペースで、ストレッチと筋トレに励んでいた。

さちは汗をぬぐいながら、そばで一緒に体を動かしていた澪に声をかけた。

「ねえ、澪先輩。クリスマスの日、トレノ記録会とパーティやるんですけど……一緒にどう

ですか?」

思いがけない誘いに、澪は目を丸くした。

「えっ、私が……? いいの?」

「もちろん!先輩もトレノの仲間ですよ!」

ハルがにっこり笑い、ユキやまひろも「ぜひ来てください!」と続けた。

……ありがとう。嬉しい。行くね」

澪の頬に、ふんわりと笑みが浮かんだ。

その返事に、5人の顔にも自然と笑顔が咲いた。

──そして、クリスマス当日。

午前10時。澄み渡る冬空の下、リンの家のトレーニングルームには6人が集っていた。

トレノの恒例行事、「年末大記録会」が、今年も始まろうとしていた。

「じゃあまずは、リズム体幹チャレンジから!」

ハルの掛け声でスタートした記録会。

腕立て伏せ、スクワット、プランク、開脚、腹筋、そしてベンチフォーム──

それぞれが真剣に、自分の限界に挑みながらも、声を掛け合い、支え合っていく。

「さち、前より全然キレがある!」

「リン、開脚めっちゃ伸びてる!」

「まひろの腹筋、すごい持久力……!」

「ハルもユキも、動きが洗練されてきたよね」

「澪先輩、フォーム綺麗すぎてびっくりです!」

笑いと驚き、そして称賛の声が飛び交いながら、全員が充実した汗を流した。

そして午後。リビングに集まり、クリスマスパーティが始まった。

さちの母・真由美が持参した煮込み料理に、あかね手作りの野菜グラタン。

キャサリンは、日本のレシピを参考にチキンのローストに初挑戦。

たくみは予定通りワインを持参し、マークと乾杯を交わしていた。

「Good wine, Takumi! You have good taste」

「はは、Thanks, Mark!」

たくみがご機嫌で話し始めると、隣のあかねが「もう……」と小さくため息。

そのやりとりを、真由美とキャサリンが微笑ましそうに眺めていた。

リビングには、大人と子どもの笑い声が交差し、あたたかい空気が流れていた。

パーティの途中、ユキがふと窓の外に目をやった。

……雪、降ってきたよ」

みんなが一斉に窓の外を見た。

白い小さな雪片が、静かに、優しく舞い降りていた。

「ホワイトクリスマス、だね」

誰かが呟いたあと──

「うん、今年も……最高の締めくくりだね」

そう言ったのは、さちだった。

目の前に広がるこの時間。

仲間たちと過ごした日々。そして今、こうして寄り添う絆。

この先もずっと、変わらずに歩んでいけますように。

そんな静かな願いが、胸の奥に優しく灯っていた。

──こうして、トレノの一年は、あたたかな輝きの中で幕を閉じた。

けれど、彼女たちの物語は──まだまだ続いていく。


挿絵(By みてみん)

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