あれからの彼女ら
『天草さん!あなたは!本当は弥生の!』
このやりとりは何度目だろうか。
目の前にいる女の子が不憫でならない。
『違ちゃん、今日はここまでにしよう。』
違ちゃんは、警察に抑えられて部屋を出る。
『天草さん、お疲れ様でした。』
『はあ、、なんたって左遷された上にやる仕事がスレイブユアセルフ患者のカウンセリングなのよ。』
『それは山岸の管理責任があったあなたが担うべき責務だからです。』
北川が爆死し、引小森違がこうやってカウンセリングに来て数年。
『で、、、次は?』
『ああ、15時から余ヨワさんのカウンセリングです。』
『違ちゃんより重症だよね、、、、』
15時になった。
『こんにちは。六村さん。』
『こんにちは、天草さん。あの、、お父さんは見つかりました??』
『いやあ、、なかなか見つからないのよ。』
『そうですか、、、』
『違ちゃんとはうまくやってる?』
『ああ、はい。最近は息抜きに遊びに行くようにしています。私、ほら、ずっと生まれてからスレイブユアセルフにいたから、、、』
『そうだったね。』
カウンセリングが終わる。
彼女らはこれからもスレイブユアセルフの中で生き続けるのだろうか。
スマホで動画を見る。
『はーい!桑島ケイと桑島ミネの!スレイブユアセルフチャンネール!今日はねスレイブユアセルフ内の食生活について話すよ!!』
スマホを閉じた。
数年前は再生回数が100万回あった動画も100回いかないくらいだ。
『はあ、、、』
スレイブユアセルフに囚われている彼女らからは、絶望感を感じない。
すでにスキャンダルとしては過去のものになっているが、スレイブユアセルフ症候群の患者の生活は残酷だ。
現実に帰ってきてもスレイブユアセルフに囚われ続けている。
『違ちゃんには映像見せたけど、、、、向き合ってくれなかったからなあ、、、』
スレイブユアセルフ症候群の確立された治療法は未だ見つかっていない。
だからこそ、今日もまたスレイブユアセルフ症候群患者の話に耳を傾けなくてはならない。
当の本人達が幸せであろうと。




