娘の願い
朝。
こうして迎える朝。
私は、もう1人でなかった。
『おはよう。』
そう連絡をくれるのはキミの日課だったよね。
たとえ繋がりが薄くても。
『ロックハート様。ID不明の人物がいます。』
『連れてこい。』
なぜかずぶ濡れのキミはそうやって私の前に現れた。
『貴様、どこからきた?』
『私は、、、私、、、は、、、』
目には光がなく、震えていて
『もう殺してください。あの子がいない世界なんて、、、』
『貴様、いくつだ?』
セーラー服。
恐らくは中学生か。
『私、、、もう、、、』
紛れるとしたら川から入り込んだか。
修理せねばならぬ。
『よく生きていたな。』
そう死ぬような思いで来たに違いない。
『いいから!殺して!』
『なぜ死を思う?』
『私には、、私には、、あの子のいない生活は、、、』
『親はどうした?』
行方不明ならば親が血眼になって探す。
代わりの死体でも用意しないとか。
『親はいません、、、私にはあの子だけ。』
親がいない子。
幸い私には子どもがいる。
今、あの子の前から私がいなくなったら?
なぜか他人事ではなかった。
『私が貴様をサポートする。人手が足りとらんのだ。』
『え、、、』
女は意外そうな顔をした。
ただ。
『私はいて、、、いいんですか?』
『働け。そうすれば生かす。』
『はい!』
女は涙でぐしゃぐしゃの顔を拭き、
満面の笑みでこちらを向いた。
私の子どもも、健在ならこのくらいの年齢なのだろう。
VRゴーグルを被った、体が動かない我が娘。
そんな娘と目の前の女の子を重ね合わせていた。
いつのまにか。
『おはよう。』
そう連絡がくるようになっていた。
だからだろうか。
私はそんなもう1人の決死の願いに耳を傾けていた。




