弥生
病室を開ける。
横たわるのは、ピンク色の髪をした痩せ細った女の子。
正確には女の子ではない。
『私らと同い年くらいよね。』
『面会時間は30分です、、、』
看護師にそう告げられ、椅子に座る。
目元にはVRゴーグルがつけられている。
この現実では彼女は目を覚ますことはない。
『結局さ、、、弥生も目的は一緒だったんだよね?』
私らを助けてくれた。
『あのゴムバンドも、、入れてくれたのはあなた
だったんだよね?』
スマホをおもむろに見る。
弥生からの通知。
『あなたは最終ログインから1000日が経っています。あと1週間以内にログインしなければ強制執行がされます。』
『強制執行されたあとも通知くるんだ。これ。』
スマホを閉じる。
弥生の手を握りしめる。
『AIにしては、お父さんを救いたいとか、やたら感情というか意思を持ちすぎていると思ったのよ。』
鼻の奥がツンとする。
全身から力が抜けてしまったように、私は
弥生の痩せ細った手に縋りつく。
スマホの通知がくる。
『あ、、、う、、ぐす。誰よ、、、』
私は手の甲で目元を拭い、スマホを取り出す。
『六村弥生さんからメッセージが1件。、、、
また会いたい。話がしたいの。世界が終わる前に。』
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
『ケイ。これを見て。』
『うむー?このあとネットTVの収録があるんだけども、、、』
せっせとメイクをしているケイにスマホを見せる。
『弥生からメッセージね。スレイブユアセルフって今、ログインできるんだっけ??』
『わからない。サーバーも落ちてるはずなのに、弥生から通知が来るんだよね。』
『うむー。もしかしたらクラウド上にデータの一部を移管したのかも?ほら、まだ捜査は終わってないし。ログインかあ。履歴着くから、ちょっと厄介よね。』
スレイブユアセルフの地下世界が判明して以降、ゲームそのものが警察の管理下に置かれている。
その中で弥生だけが未だに居るということか。
『強制ログアウトも弥生に限っては出来ないみたいだしなあ、、、、捜査協力という形ならログイン許可出るんじゃない?あ、、ごめん!そろそろ収録だから、ちょっと部屋篭るわ!』
ケイはドタドタ部屋を出て、仕事部屋に入っていった。
『捜査、、、協力かあ、、、、』
あまり気がすすまない。
だってそれは、、、
『・・・・会いにいかなきゃかなあ、、、』
地下世界から脱出してから、
私はアルバイトを始めていた。
六村への訴訟はまだ、本人が捕まっておらず、
しばらくお金の工面に苦労しそうだった。
『私さ、お金だけはあるからさ!』
ケイがお金を出してくれ、私はあるカウンセラーの資格を取った。
カウンセラーの資格と母さんのツテで、受刑者のカウンセリングをしていた。
向き合う時が来たのかもしれない。
もしかしたら。
私は親子でなくなるのかもしれない。
それでも。
私は決めたのだ。
ケイとヨワとこの腐った現実で生きていくと。
だから、弥生のことも、親とのことも清算しなくてはいけないのだと思う。
『もしもし、お母さんーーーあのね、、、』




