あれからの私ら
あれからのこと。
予期せぬ終わり方で現実に私らは戻った。
いわゆる、六村のビジネスパートナーによる国際的な売春犯罪は多数の逮捕者を出した。
『なるほど、その六村という男が地下世界を、』
『はい。でも、、彼も被害者だったような気がします。』
『あなたも、知らずに人殺しを?』
『はい。VRゲームだと誤解して、、、』
『ケイはすごいわね、、、私はこうやってワイドショーに出る気力はないわ。』
『自慢の妹だから。それに動画配信でもともと食べてる人だし、、、』
『桑島ケイは、そうね、そう言えば炎上系だったわ。今回もミネを助けに行ったのも、これは意図してのこと?』
『いや、違、それは違う。』
『そうね。対価が大きいよね。』
『そうだ。死んでしまうかもしれない、あの世界で、私を助けに来てくれたのだからな。』
『北川さん自身もお父様が、、、』
『はい。父がまさかこのような事件に関わっているとは知りませんでした。』
『今回、数万人規模の逮捕者が出ました。率直にお父様に伝えたいことはありますか?』
『そうですね。特にないです。私は父に虐待を受けていましたから。』
『えーーー?』
コメンテーターが固まる。
『ミネ、いいの?』
『いいの。ケイとも話をして父を訴えることにしたわ。たぶん勝てるし、またお金も入るから。はい、もしもし。ああ、ちょっと外出てくる。』
廊下をパタパタ走り、ドアが閉まる音がした。
『みんな忙しいわね。。なんだか。』
『ああ、違!今から、出版社と打ち合わせいってくるわ!帰りに銀座寄るけど、なんか買ってくる?』
『いや、いいよ。楽しんできて。』
テーブルを見る。
一冊の本だ。
『VRゲームと性犯罪。 桑島ミネ』
ミネは戻ってから、自身の体験を切り売りするかのように本を書いている。
世の中は久方ぶりの大規模犯罪に沸いているのだ。
『主犯格の六村容疑者も未だ逃走中です。六村に言いたいことは?』
『そうですね。早く捕まって罪を償って欲しいです。』
ありきたりなコメントでしめた。
『さてと。』
私はスマホを開き、タクシーを呼んだ。
5分で到着するようだ。
『お待たせしました。行き先はどちらで?』
『ここの病院までお願いします。お見舞いで。』
『ああーーー精神病院ね。』
タクシーの運転手は何かを察したのだろう。
そりゃ、そうだ。
スレイブユアセルフで一役有名になった病院だ。
私はそこにお見舞いに行く。
そう言わないと警戒するタクシー運転手もいるからだ。
私は、、ケイやミネみたいに開き直れてない。
『お待たせしました。』
『ありがとうございます。』
タクシー運転手は察してくれたのか、病院関係者しか知らない勝手口に車を停めてくれた。
正面玄関は、マスコミで連日賑わっている。
『スレイブユアセルフ症候群専門外来はこちら』
看板を見る。
白く冷たい廊下を歩き、カーテンで覆われた受付に来た。
『保険証をお願いします。』
『あ、いや、、お見舞いです。』
『失礼しました。どなたのお見舞いですか?』
受付の女性はにこやかに対応してくれている。
腹の中は面倒くさいのだろうが。
『えっと、、ろ、六村、弥生さんです。』




