弥生の憂鬱
『はあっ、はあっ!!』
『諦めろ、小娘。死ぬだけだ。』
六村はロボットに乗り、何度も何度もアームをぶつけてきた。
その度に壁が壊れ、
床は傷だらけになるが六村は気にしない。
私を殺すことを最優先にしている。
『クソっ!!』
剣はとうに折れていた。
圧倒的な戦力差。
私は逃げ惑うだけだ。
あの時は。
あの時は、弥生に助けられた。
『弥生!なんとか!なんとかしてくれ!』
『ビーム砲、準備。』
『ははは!我が愛娘はな!結局、私の為に動くのだ!貴様とのお友達ごっこはなあ!もう終わりだ!!』
ビーム砲が撃たれる。
すんでのところで、かわす。
『いつまで持つかな?そのうち、エネルギーが切れて動けなくなろう!!』
そうだ。
私は現実の人間。
動けば体のエネルギーを使い、それを使い切れば動けなくなる。
『弥生!やはりお前は、、、心が無いただのAIなの!?お父さんを止めるって言ってたのはただの方便なの!!?』
『ビーム砲準備。』
弥生は目を赤く光らせながらもう一度、私を殺すべくビームのエネルギーを貯める。
もう、、ダメかしら。
この部屋は石造りで四方を囲まれていて、
デスゲームをするには最適だ。
弥生に何か干渉できれば、
弥生のデータにアクセスできればなんとかなるかもしれないのに、、、、
腰の袋に手をやる。
『これは、、、?』
丸い金属で覆われたボールのようなものがある。
ライトニングと書かれている。
ケイに、
離脱する時に使うよう言われたものだ。
今がその時であろう。
袋を漁る。
もう1つはボムだ。
『さあ!ビーム砲が貴様を焼き尽くすぞ!死ねえいっ!!』
『はああああ!!』
ライトニングと書かれているものを投げる。
六村が搭乗するロボットに当たった瞬間、
電撃が部屋中を駆け巡った。
『なっ!電波妨害かっ!』
弥生のモニターが消え、ロボットのビームチャージが止まる。
『弥生がいないと使い物にならないようだなっ!』
『ふん、私自ら操作してやるっ!』
『させない!!』
ボムをロボットに投げる。
ちょうどコクピットのあたりだ。
『それはっ!クソっ!』
コクピットのあたりでボムは爆発した。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
『何が、、、起きたの?』
私はお父さんと違が、戦い始めたところの記憶まではあった。
そのあとは自分のようで自分でないような。
記憶が曖昧だ。
突如、再起動し始める。
目の前は真っ暗だ。
ただわかる。
やるべきことは、、お父さんを止めること。
自分のデータを参照する。
『そんな、、、アーマーロイド?何これ?ビーム砲指示、殺傷、引小森違、、、、』
わかるのは、アーマーロイドに違を殺すような指示を送っている事。
アーマーロイドの存在を知らないこと。
そして、自分のプログラムが人為的に操作された形跡があること。
さらに。
『さっきまではこの屋敷についてのデータも、中央都市の地下トラップもデータがなかったのに、データが存在している。』
これならば、
これならば、
違を助けて、お父さんを止めるきっかけくらいにはなれるかもしれない。
だが、、、
私は一つ、また学習してしまった。
このまま違を支援できたとして。
この世界が終わるとして。
すなわちスレイブユアセルフの停止が意味することは、、、、
『私という存在の消滅、、、、』




