AIによってこの世界は終末へ向かう
「ヨワはね、気が付いたらこの世界にいたというの。そう、川で友達と遊んでいたらね。」
「それは・・・・」
「そう、あなたのことよ。違。」
「懐かしいわね。」
そう。
あの子がこの世界にきて迷い込んだのがこの家。
六村が作った世界でたまたまあった空き家だったんだけど・・・・
♦♦♦♦♦♦
「はあ・・・はあ・・・」
あの子は少し汚れていた。
仕方ないわね。
川の濁流に巻き込まれて、この地下世界に来たのだから。
宮城県の広瀬川を水源としていて、なんとか流れ着いたのだから。
「はあ・・・」
私はこの家をたまたま巡回監視していたの。
そしたら白いセーラー服とスカートに身をまとっていたヨワがやってきた。
たまたまね。
私とヨワは顔が似ていた。
(こんなに顔が似ることなんてあるんだ・・・・)
疲れてそうね。
データチェックしてもいない。
ありえないけど、水源からこの世界に迷いこんだ子か。
そのころ、お父さんは復讐に燃えていた。
いもしない、私をAIとして作って私はそんなお父さんと毎日やり取りをしていたのだけど。
(この子なら・・・・・お父さんの傷は・・・・・)
私は浅はかだったわ。
でも、お父さんにすぐに連絡した。
「・・・・・はあはあ!!!弥生!!!」
「え・・・・?誰?」
お父さんはヨワのことを弥生、つまり私と錯覚していた。
「ああ!!弥生、生きていたんだね!!」
「だ・・・誰・・・・?」
「ああ・・・・弥生じゃなくても。。。。あの子に似ているなら・・・・さあお腹すいていないかい?
ああ・・・寒そうだね。お風呂もあるから・・・・」
「はあ・・・・・・」
お父さんはヨワのお世話をした。
毎日この家にきて、必要なものはないか不安なことはないか聞いていった。
「家に帰してください。」
「それは・・・・すまない。できない。」
「どうして・・・・?」
「それも・・・言えない。」
ヨワは不審に思ったんだと思う。
なぜこんなに優しくされるのか。
だけど、なぜ家に帰してもらえないのか。
ヨワはこの家を調べた。
そして・・・・・
「はじめまして。ヨワ。私は六村の娘の六村弥生です。」
「え・・・・・私に似ている。。。。」
「娘といっても・・・ただのAIだけど・・・・」
私は自分のことを話した。
六村のことも話した。
この世界についても。
スレイブユアセルフについても話をしたけど、いまいちゲームに慣れてないのか。理解しかねていたみたいだけど・・・」
「だからあなたがこの世界から解放されるというのは、ここの秘密が暴かれること。それは六村の意向に
反する。」
「じゃあ・・・・帰れないじゃない!」
「お父さんは・・・・罪を重ねている。私だってそんなのは嫌。でもただのAIには何もできないの。」
「だったら・・・・私がなんとかする。」」
「何とかするって言っても・・・・」
「定期的にこの世界にはいろんな人が入ってくるんでしょ?だったらその中でこの人はという人を
見つけて協力を仰げば・・・・・」
♦♦♦♦♦♦
「それじゃ・・・・」
「違・・・・あなたはその協力者として、白羽の矢が立った。」
「じゃあ・・・・」
「闇ギルトなんてないわよ・・・あなたの本気度を試したのかな。ヨミを犠牲にしたのも、
そうして六村に怒りを向けさせたのも・・・・」
「全部ヨワのシナリオ・・・・??」
「ううん。正確にはね、私が吹き込んだの。」
「え?」
「お父さんを止めるには対抗する人が必要。でもなんだか人間って感情で動くっていうからさ・・・・」
「ヨミのアカウントがHP0になった瞬間に免罪符を送るように指示したのは私。ヨワはヨミがまだ奴隷になってないと思っていた。
私が嘘をついた。」
「な・・・・」
「恨まれても仕方ないわよね。でも、、、仕方ないわ。そうやっていくことでしか私は人を動かせない。」
「私はどうなんだ?」
「あなたが私のシステムをハックしようとしていたのは知っていた。でもあなたのバックボーンも知っちゃったから。
ヨワにたきつけてね、、一緒にヨミが囚われている要塞を攻め込ませた。」
「ふざけないで!!!あなたのせいで・・・・あなたのせいで!!」
「そうヨミは死んだ。ヨワにトロールの正体をあなたたち二人に伝えないで交渉するよう指示したのも
私。ヨワはさ、この世界で、、、、人質になったこの世界で私だけが支えだったみたいだから。
私から見放されたら生きていないわけだからね。だから、私のいうことには従ってくれたわ。」
「お前のせいで・・・・!!!」
「そうよ。私のせい。でもね、、、もともと六村をこんなにさせたきっかけは何?」
「は?」
映像を映す。
「これを見て頂戴。六村の若かりし頃、そしてその奥さん。」
「な・・・・」
次々と映像を流していく。
お父さんがビジネスパートナーに裏切られるところ、
お母さんが殺されるところ。
お父さんがこの世界を作った経緯。
そして・・・・
「何これ・・・・」
「違・・・・あなたのお父さんよ。」
「お父さんの名前がなんで・・・・」
「ほら!!こんな風にさ!!現地の女従業員を慰み者にしてさ!!」
この映像は私が六村から聞かされた内容をもとに生成したものだから、
現実の映像ではない。
ただ大方こんな感じだろう。
「わかった??あなたのお父さんはこの世界にとらわれたくないからあなたをここに送り込んだ!!」
「嘘だ!!」
「確かめるといいわよ。この世界を終わらせた後にね。」
「うわあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
違は叫ぶ。
「違、、あなたには二つの使命があるわ。ヨワを助ける。そしてこの世界を抜け出して
この恨みの連鎖を止める。」
「・・・・・・なかなかえぐいAIだな。」
「何?ケイ。あなたのお父さんだって・・・・」
「私の父は姉を道具にするくらいの人間だからこんなことでは驚かないさ。姉を助け出してこの世界から抜け出すのが
私の目的だから。」
「そうね、あなたはそんな人だからね。」
「いやだ!!認めない!!そんなこと!!!」
違がパソコンを切ったのだろう。
二人の姿が見えなくなった。
それでも私は別のモニターから二人の様子は見れる。
「あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「違・・・・・」
ケイが違を慰めている。
私はそれを別モニターで眺める。
私はAIだ。
だけど感情はある。
お父さんを止めたい。
この感情も作られたものだけど・・・・
お父さんが私のことを思って作った感情だ。
だからお父さんを止めなければならない。
ヨミを利用したことも、ヨワを従属するように仕向けたのも
ひどいなんて思わない。
私の目的は、
愛するお父さんに罪を重ねさせないことだから。




