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だから違のことが好き

『しかし、、、本当に落ち着く家よね。』


『確かに。』


『・・・・って、私らこんなことしてる暇ではないよね!?』


『まあまあ、違。一息つこうじゃん?』



ケイと私は庭の牛に餌をやり、

鶏が産む卵を回収していた。




『それにしてもこんなことやる必要ある?』


『わからないわ。あ、違、パン焼いてきて。』


『えーー、』


『早く。朝ご飯遅くなるわよ?』



ケイからの提案だ。

なるべくヨワがやっていたような生活を再現しようと。


そんなことより、さっさとシステムにアクセスする方法を調べた方がいい気がする。




ケイを見る。

呑気に牛の乳搾りをしている。




『これ、結構力使うのね。』



『はあ。』





ため息をつく。

小麦粉を取り出した。

棚の下に袋で入っていた。

牛乳と卵を混ぜて、小麦粉を混ぜる。


混ぜていくとパン生地が出来上がるので、

少し寝かせる。




続いてクリームシチューだ。

棚を開ける。

パック詰めされた鶏肉。



取り出す。

クリームシチューの作り方はよくわからない。

白だから牛乳だろうか?


牛乳を煮詰めていけばいいのか?



『うん?』


棚に何か貼ってある。







最初に鶏肉を切る。

あとから塩胡椒。

やがて肉から水分が抜けるから肉を

寝かせて

裏面にもしっかりすりこむ。

ニンニクをすり

いい感じになったら鶏肉を焼く。

煙は出さないようにね。






『なるほど最初は焼くのか。』


鍋に油を敷き鶏肉を炒めた。







『うーん。いい匂い。』



ケイが入ってくる。


『この後どうしたらいいのかな、、、?』


『あなた、、クリームシチュー作ったことないの?』


『無いわよ。』



ケイに悪態をつかれたような気分だ。

棚を見る。



『あ、、メモの続き。』






しんなりしたかな?お肉は。

すっかりしんなりしたら

丁寧に牛乳をいれて

ムワッと匂ってくるまでコトコト。

はい!そしたら

飽きるまで

るんるん歌いながら小麦粉コトコト。

パーっと煮込んだら

すぐに食べれるよ。

はふはふ

玉ねぎ






『変なレシピ。』


『ん?どうしたの?』


『あ、いや、なんでもないわ。シチュー後少しだから。待ってて。』


『はーい。』



パンもいい感じに焼けてきた。

小麦粉の焼ける匂いは好きだ。

こんなに香ばしいもの。








『『いただきます。』』



パンをシチューに浸して食べる。

美味しい。

鶏肉もジューシーだ。

冷蔵庫に入れてないのに鮮度が高い。



『不思議よね。』


『何が?』


『だってこんな地下世界なのに、かつて家に居た時のように、食事が豊かで。』


『そうね。』


『うん。』



もしゃもしゃと食べていく。

美味い。





『明日も明後日もこんな暮らしが続くのかな。』


『違は平和ボケしすぎ。』


『そうだよね。うん。でもクリームシチュー作ったのはじめてだけど、、うまくできてよかった。』


『初めてにしてはね。どうやったの?』


『え?あそこにあるレシピを使ったよ?』



ケイは立ち上がり、レシピを読む。





『はは、、はははは!』


ケイが笑い出す。

『ねえ、、あなたの知ってるヨワってこんなお茶目だったの?』


『え?どういう、、、』



『こんなわかりやすいヒント残すなんてね。』


『え?』


『ほら、ここ。縦に読みなよ?』




ケイが指すレシピの各行のはじめの文字。





『あ、、、、』


『ね?わかりやすいし、お茶目でしょ?やっぱりね。でも料理しない人だとわからなかったかもね。』


『え、、、でも、、私料理なんて。』


『そうね。だからこれは全くの偶然。例えば、、この鶏肉。質の良い小麦。こんなものがなんでこんなところにあるんだろう?その疑問が湧けばここにたどり着く。』


『でも、普通のヨワがやっていたような生活をしようって気づいたのはケイで、気がつくかどうかも博打だよね?』


『まあ、、、でもさ。ヨミを助けに行こうとした時もさ。あんなに戦闘モードの彼女がさ。この家だとポワンとしているわけがないかなって。まあ博打よね。こういうのは。』





いささかご都合主義がすぎるような気がする。

確かにヨワは思慮深い。

芯も強い。

というかこの世界にずっと1人でいて六村の娘になることを拒み続けながらも働いている。

図太さがある。







でも、、システムがこの世界で管理されてると気がつかなかったら?

私達がデータから消えなかったら?

そもそもヨワを助ける為に立ち上がらなかったら?






『なあ、違。』


『は、はい?』


『心の声が全部、口から出てる。』


『あ、、、、』


俯く。

恥ずかしい。



自分の葛藤や疑問が全てケイに伝わっている。

ケイはニヤニヤしながら見ている。




『な、何?』

『いや、なんか違、強くなったけど根っこは変わってないというか、、、、結構朴訥としているけどすごい推測しまくるというか。』


『まあ、、、だから、引きこもりになったんだけどね。』


『だね。』




素直に目の前の奇跡を喜べないのも

疑ってかかるのも全部私なのだ。


『なーんかさ、ヨワが違と友達になったのもわかる気がするなあ。』


『は?!ど、どういう意味だし!』


『ふふ。教えなーい。さ!さっさと屋根裏行こ?弥生に会わなきゃ。』





そうだ。

目的は弥生に会うこと。

私らは、2階に登って屋根裏に向かうことにした。

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