我が愛する娘
『お前もそろそろいい年なんだから、身を固めなさい。』
『・・・・お父様。お言葉ですが、私に見合う殿方がいないのです。』
『まあ、、、仕方ない。』
父はしきりに見合いをすすめてくるが、どの写真も心動かないのだ。
『お父様、そろそろ執務の時間では?』
『ああ、、、そうだな。』
父は執務室へ戻る。
忙しい中見合いの調整をするくらいならこの世界をもっとよくして欲しいのだ。
私も仕事をしなくてはならない。
『あなた様は悔悛が見られます。故に奴隷より一般市民へと昇格となります。』
『ありがとうございます!女神様!』
『次の方。』
いつからか、地下世界は階級制度を設けていた。
父曰く、
『人は希望が見えないと反旗を翻すからな。』
反旗を翻されたような口ぶりだ。
私は階級審査をする仕事をしていた。
定期的に審査に、全市民はかけられる。
徳を積めば良き生活が、悪事を働けば奴隷のような生活が待っている。
こういった政策が功を奏したのか、反乱らしきものは起きない。
もっとも奴隷は必要なので、そういう悪事を働けるような仕組みや地区は意図して作っているようだ。
もっとも、モンスターに堕とされた人は一生這い上がれない。
だから、この場にモンスターは来ない。
『は、、、疲れたわ。また市民が増えたかしら?』
『はい、市民は年々増えています。』
『資源が持たないって聞くわね。』
資源不足。
この地下世界に生産的機能は持たせたものの、やはり地中だと地表に比べ作物の育ちは悪い。
慢性的に不足している資源の供給は喫緊の課題だ。
『モンスターを増やしなさい。』
父からの指示は絶対だ。
モンスターを増やすにも根拠が必要で、
そのロジックがない。
父は独裁者である。
ただ強硬策は好まない。
飴と鞭。
難しいのだ。
モンスターになるとなったで、この要塞を攻めてくる。
モンスター討伐にたんまり報酬をつけて凌いでいるが、その報酬も枯渇している。
『はあ、、、』
こういう報酬がないと人は動かない。
何か見返りが無ければ、ダメな社会。
それでもモンスターになる人はいる。
そうあの子のように、、、
『あの子・・・・?』
あの子とは誰だろう。
確か、とても強くて猛き思いを持っていて。
でも不器用で。
優しくないけど、優しくて。
優しさの表現が下手で。
そんな子がいたような。
『弥生様。』
『ああ、ごめん。少し考えごと。』
部下に声をかけられて、我に返る。
『次の方ーーーー』
そう、私、六村弥生は地下世界の審判役。
だから目の前の人を裁く。




