表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/96

お姉様、大好き!

『ヨワ、、、』


『・・・何?ケイ。』


『ご飯は自分でなんとかするからさ、少し体休めたら?』


『ううん、ダメなの。労働だから。』


『そうか。大丈夫か?』


『私は大丈夫。ケイは?』


『うむ。実は結構疲れた。仮説があたってしまったからな。』


『仮説?』



シチューがコトコト煮込まれる音だけが

空間を彩る。







『そう。私はね、なんとなくここは現実なんじゃないかなって思ってね。ここに来たのもそれを探りたくて来た。』


『そうなんだ。ケイってすごいね。死ぬかもしれないのにさ。』


『決死だよ。だって私のお姉様の墓場がここにあるかもしれないからさ。』


『姉、、、お姉さん、スレイブユアセルフで、、、』


『そう。このゲームをやっていて。親に売り飛ばされた。私もそんな感じ。』


『・・・・・っ。聞いてもいいのかしら?』







♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


『お姉様!お姉様!見てくださいまし!テストで90点取れましたの!』


『あら!ケイすごいじゃない!』



お姉様は紫髪でいつもハーフアップで、全身紫のワンピースに身を包んでいた。

とてもスタイルもよく、憧れだった。



『お姉様、遊びましょ?お庭の花が綺麗よ!』


『そっかあ。』



ピンクのコスモスが咲いたお庭。






『おい!ケイまた!90点だったのか!この出来損ないがっ!!』


お姉様の部屋の襖があいて、あいつはやってきた。




『い、痛い!お父様!痛い!ごめんなさい!』


『ダメだ。100点を取らない奴はダメだ。地下室に行くぞ。』


『嫌あっ!』


『お父様。』


『なんだ?ミネ。』



お姉様に向ける視線は、鼻を伸ばしただらしない顔になる。





『私が、、代わりにお相手し、、しますから。ケイは離してくださいまし。』


『ふ、ふん。そうか。ケイ!次は100点取るんだぞ?ミネ、さあこっちにおいで。』





お姉様はこちらを一瞥もくれず、唇を噛みついて行く。













お姉様のいない部屋。

気がつけば、太陽は沈み月明かりだけが

部屋を照らしていた。







『お姉様!』


『ああ、ケイ戻ったわ。』


お姉様は何やら、戸棚を漁る。




『お姉様?』


『無いわ。』


『え?』


『はあ。明日学校休まないと、、、』


『お姉様明日は、全校集会で生徒会長のスピーチがあるのでは、、、?』


『副生徒会長に任せるわ。誰でもできるもの。』


『お姉様。今日も私がお背中流しますわ。』


『いい。今日は1人で入るわ。』


『そうですか。お姉様がそうおっしゃるなら。』








♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

『であるからにして、我が生徒会において次の決まりを順守すべきと思います。特に不順異性交遊は許されないものであり、、、』






『ケイちゃん。』


『なあに?』


『お姉ちゃん、今日休みなの?』


『うん、おやすみ。』


『そーなんだ。』


『病院行くって言ってた。』


『具合悪いんだ。』


『うん。』







♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

『ケイちゃん!大変。』


『なあに?』


『掲示板にお姉さんが!』


『え?』





掲示板に向かう。






『生徒会長スクープ!産婦人科から単独で出てきた!相手は誰か?』











『これ、、ケイちゃんのお姉ちゃんだよね?』


『うん。』


『誰としたんだろ、、、』


『知らない。』


『でも産婦人科から出てくるって。』


『知らない。』


『うん、そうだよね。ごめんね。』




♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

『ミネ!この恥知らずが!産婦人科は使用人に行かせろと言っただろ!来い!わからせてやる!家名に泥を塗りおって!!』


『お父様、、ごめんなさい。』



お姉様はまた、地下室に連れてかれた。





♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


『お姉様。おかえりなさい。』


『うん、ただ今。』




戸棚を漁る。

錠剤を取り出した。


『あ、、、』



薬の袋が落ちる。

産婦人科で処方されたものだ。












『ねえ、ケイ。』


『お姉様なんですか?』



『私が、生徒会長でなくなったとしたらどうする?』


『お姉様はお姉様です。私の愛するお姉様に変わりはありません。』


『そう。では、高校生でもなんでもなくなったら?』


『お姉様はどんな形をしていても、私の愛するお姉様です。』


『ふふ。嬉しい、、、』


『ああ、お姉様、、』


『今日は一緒に寝て。』


『お、ねえ、、さま。』





♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


『お姉様。今日も近くのパン屋から、パンの耳を仕入れてきましたの。』


『ふふ、、、砂糖で絡めると美味しいわね。』


『砂糖は、、、もうありませんの。』


『まあ、砂糖なんか無い方がこの子にはいいかもね。』






『おい!ミネ!貴様!また、ネットゲームで課金しおって!来い!』


『はい、お父様。』



『お姉様、、、』


お姉様のお腹は大きくなっていた。





そして、その日を境にお姉様のお姿は見えなくなっていた。








誰もいなくなったお姉様の部屋に残されたパソコンを見ると、『スレイブユアセルフ』という名前のゲームだけがそこにはあった。



お姉様はいない。

お姉様はランカーだった。

ログイン履歴はいなくなる前日。












『おい!ケイ!ああ!ムカムカする!地下室に来い!!』


『はい、お父様。』




私もお姉様と同じように家名を汚せば何かわかるかもしれない。



お父様がお姉様を厄介払いしたように。


『待っててね。お姉様。』





部屋を出る直前、見えたのは力強く咲き続けるコスモスだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ