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2ミオ

ミオ「カリン様をお慕いしております。」


そう言って顔を上げる女の子。



カリンは唖然としている。

カリン「護衛って?この子が?」


アルバ「ミオはこう見えて強い。それに経験値もある。お前の相談役にもなってくれるだろう。」


カリン「いやいや、経験値って私より子供じゃない。」


アルバ「だがお前よりはるかに世界を知っている。」


リリアン「………」

(アルバ様の隠している暗躍兵がいるのは聞いていたけど、本当に子供じゃない。)


ミオ「はい。カリン様が困った時には全て対処出来るように命ぜられています。何なりと。」


カリンはまだ受け入れられていない。

(戦争孤児?……………いや違う)


少しおませな子供。

しかし大人びた品や落ち着きを感じる。


シルフィがミオの肩に止まる。

ミオ「まぁ…!」と無邪気に笑う。


カリン「えーっと…魔法とか使えるの?」


ミオ「はい!私は魔法専門です。武器を使った訓練は受けておりません。」


カリンは苦笑い;

「んんー、調子狂うな。こんなにかわいい子供の口から武器だの、訓練だの。」


「………なら魔法を見せて。」



ミオはアルバに目配せをする。


アルバは笑顔で頷く。


ミオ「ではリリアン様、こちらへ」


リリアンは顔を赤くする。

「わ、私!?」


まだ半信半疑ではあるが…


リリアンは息を呑む。







ミオは目を閉じ、



そして再び目を開けるー



すると執務室の空気が変わる



空間全体に圧を感じる



その異様さにカリンは少し身構えてしまう。



ミオの体からクレイドが漏れ出す。



リリアンの足元に魔法陣が現れる。



リリアン

(!!)

(こんな精妙な魔法陣見たことない…)



クレイドの勢いが増すー




ミオが唱えるー 「『レースフラワー』」




その瞬間、魔法陣が白く光りリリアンを包み込む。



カリン「凄い!!なんて無駄の無いクレイドの精確さなの!」


 



ーそして





リリアンは頭に白いベールを纏っていた。



ー花が降り注ぐ



リリアンは美しいウェディングドレス姿になっていた。



「なっ……!」

思わずリリアンは見惚れてしまう。


カリンは呆然としていた。


自分の荒っぽいクレイドとは違う。精妙で狂いの無いクレイドの使い方。

それを魔法で展開していた。


カリン

(こんなの一朝一夕で手にできる物ではない。)


微笑むアルバ。

「おぉ〜リリアン似合っとるぞ。」


リリアンは真っ赤になってしまう。


ミオ「とってもお似合いです。リリアン様。」


今ここで見た魔法が嘘だったかのように、おませな子供が微笑んでいる。


カリンはミオに近いた。

両ひざをつき、ミオの目線に合わせた。

そしてミオの両手を握り、


カリン「凄い!!凄いよミオ!!」

「こんなに素晴らしい魔法初めて見たよ。」

「よろしくね。小さな魔法使いさん。」


ミオは驚き顔を赤らめ、

そして目を涙で潤ませる。


ミオ「カリン様が、カリン様が私の手をお取りに…そしてなんて優しいお言葉を…」


思わず涙がこぼれ出す。


カリン(……えぇ!?)


カリン「ごめんね、泣かせちゃったね。本当に凄いと思ったから。ね、リリアン?」


リリアン(私に振らないでください!!)

「ええ、とても素晴らしい魔法でした。このドレスも美しい…。」


アルバは大きく笑った。

「ミオは感極まっておるのだ。」


そして優しい眼差しになり、

「………ミオ良かったのう。」


そしてアルバは今後について話し始めた。

「カリンは現在すでに決まっている公務を今後はミオと二人で行動するように。」

「わしはこれからリリアンと共にカリンのスケジュールを調整する。決定し次第、出発する段取りになる。追って連絡をする。以上だ。」



カリン「承知しました。お祖父様。」



「改めまして、よろしくね。ミオ。」



ームギュ



カリンはミオを優しく抱き締めた。


ミオは感極まって涙が止まらない。


ミオ「よろしくお願い致します。カリン様。」






***





カリンとミオが執務室を出た後。




リリアン「で、何者なのですか?あの子、ミオは。」

↑元の服に戻してもらった。


アルバ「教会内で誰よりも信仰心の強い子じゃ。」


リリアン「そういう意味では無くて。」

「信者の中であれ程までの魔法の使い手なら私の耳にも入って来ている筈です。」


アルバ「そうじゃな。ひとことで言うならば、教会の切り札じゃ。」


リリアン「切り札………!?いったい!?」


アルバ「ま、レイノルドの件を含めカリンとミオの事は慎重に進めてくれ。」

「教議会とカレド部隊には特に、気取られぬように動いてくれ。頼んだぞ。」


リリアンはハッとする。

「承知しました。」

そしてそれ以上は何も聞かなかった。



リリアン「それでは失礼します。」

一礼をし、執務室から出て行った。



アルバは一段落したように椅子に寄りかかる。そして大きく息を吐き、天井を見上げた。








〜〜〜〜〜アルバの回想








ー教議会





教会の幹部達が討論をする場。


しかしこの日は5人しかいなかった。




枢機卿

「ご多忙の中、緊急でお集まりいただき感謝申し上げます。そして今回は最重要機密に触れるため、我々枢機卿の4名とアルバ教帝のみで進行させて頂きます。」

「早速ですが始めたいと思います。教帝、よろしくお願いします。」






アルバ「ールクセリア政府からクレイドの支援を求められた。」



枢機卿達

「何だって!?我々がルクセリア軍を存続させる為に支援をしろと!?」


「力を誇示する為にあれだけ軍備を拡大していれば、そりゃクレイドも不足するよね。」


「我々は信仰と道徳を広め、人々に寄り添う。その姿勢によりこん日の教会が存続している。もしルクセリア軍や戦争に教会が加担しているとの情報が流れれば教会支部が不穏分子に襲撃されるやもしれん。」








アルバ「事はもっと深刻での……」






全員!?!?!?!?


「まさか!?メイデス様のクレイドですか?」


「…メイデス様が封印されている、あの?」



アルバ「そうじゃ。レイノルドが持ち去ったとされる、あのクレイドを……世界の為に活用しろとな。」



枢機卿達

「確かに…アレさえあれば永劫クレイドに枯渇する事はないだろうね〜。」


「いや、しかしエリシオンを絶滅させたのは今のルクセリア政府でしょうが!」


「教祖、レクサス様が残した唯一の希望だ。人間だけではいずれこうなる事がわかっていたのだよ。」





アルバが一旦、静止する。





アルバ「皆、少し声が大きい。ここからは慎重に話を進める。」


「10年前、カリンを襲い、メイデス様のクレイドを持ち去ろうとした人物は今だに判明していない。」


「だが、わしはルクセリア政府が絡んでおると踏んでいる。」



全員!?!?!?



枢機卿「その…根拠は?」



アルバ「カリンを狙った点だ。カリンとメイデス様のクレイド、その両方を狙ったという事は…」



「……………………知っている人間という事だ。」




枢機卿達

「ですが新貴族はカリン様の情報をどこから?」


「いやいや、この討論は散々やったでしょ。」


「そうだ。結局逃げた賊をカレド部隊に追わせているが、10年も手がかりなし。」





枢機卿の一人、オーメン卿が口を挟む。





オーメン「私はレイノルド様が怪しいと思うんだけど。」


アルバ「なっ!?」


オーメン「カリン様の正体を知っている人物だし、現にメイデス様のクレイド持ってどっか行っちゃったじゃない。」



全員「………」



オーメンは不敵な笑みをうかべる。

「もしも、政府と繋がっていたら…?」



アルバ「レイノルドがクレイドを持って行った確たる証拠は無い!それにレイノルドはカリンを心から愛していたのだ!!」


オーメン「私の考えはこう。レイノルド様は政府に情報を流した。そして何らかの取引きをした。政府は賊を雇い、賊はレイノルド様の手引きで教会本部に侵入。カリン様を襲おうとしたがルノー・アルベルトに阻止された。」


アルバ「なんと!!」


オーメン「フェナード家の者はセキュリティルームに侵入できるでしょ。せめてメイデス様のクレイドだけでも持ち去さり確保する。そうすればいつでも政府を脅せるし取引も出来る、って事。」



枢機卿達

「おぉ!た、確かにそれなら合点がいく。」


「侵入方法が不可解だったからな。」


「私も……内心ではずっとレイノルド様を疑っておりました。しかしアルバ様の御子息でしたので…その…口には出せませんでした。」



アルバはショックを受けていた。



アルバ「…皆の考えは理解した。」

「しかし、政府はメイデス様のクレイドが今も教会本部にあるに違いないと踏んでいるからこそ、わしに支援を求めてきたのだと推測する。」


オーメン「教帝はさ、誰に支援を求められたんです?その人物の名は?」





アルバ「……………新貴族、イグニス公じゃ。」





オーメン「ぐわっハッハッハー!」




全員「………」




オーメン「ハハッ、それっ、完全に探りを入れられてるね〜。イグニス公がやりそうな手口ですよ。ハハッ。本当は知っているのさ、レイノルド様と繋がっていてね。」




オーメンはニヤリとする。

「そうして貴方の出方を見ているんですよ。教会がどう動くのかをね………。」








〜〜〜〜〜








ー執務室




アルバは引き出しを開け、裏返してあった写真立てを哀しそうに見る。



青髪の男性と、赤髪の男性が並んでいる。その下には満面の笑みを浮かべる幼き日のカリン。



幼いカリンを指でなぞる。



アルバ「守ってみせるさ。わしなりの戦い方でな。」

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