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プロローグ
平均。
顔も、会社の評価も、だいたいそれだ。
自分でも、分かっている。
独身。アパートで一人暮らし。
料理は好きだ。腕は、ごく普通。
通勤の往復で、ラノベを読む。とくに異世界転生物が好みだ。
深夜アニメも、かかさない。主にファンタジー系。
そういう二十九年だった。
不満はない。
刺激も、ない。
家族は、実家にいる。父は証券会社勤めで帰りが遅く、母は専業主婦で、妹は社会人一年生だ。
家族仲は良い。割と平凡な家庭だと思う。
ただ一人、平凡じゃないのが、じいちゃんだった。
小沢伊左衛門。
気功と合気道の達人で、道場を構えている。
俺は小さい頃から、そこに放り込まれて育った。
ばあちゃんは、五年前に亡くなった。
それから、じいちゃんは、少し静かになった。
***
電話は、夜中に鳴った。
母からだった。
じいちゃんが、死んだ。




