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12. シャンヴェール家の男たち

念のためR15指定です

——告白の翌日。


アランの母に誘われ、屋敷の庭園にあるガゼボでお茶をしていた。

テーブルには、果物を贅沢に使用した、まるで宝石のように輝くスイーツたちが並んでいた。


「サンドラちゃんが、品種改良した果物は本当に見た目も、味も最高だわ〜。

料理長も、スイーツのアイデアが止まらないって言っていたわ。」


うっとりしながら、スイーツを食べるアランの母。

とても、16歳の息子がいるとは思えない。可憐で美しい姿につい見惚れてしまった。

アランは瞳の色こそ父親譲りだが、淡い金色の髪や目鼻立ちの整った顔は母親そっくりだ。


「昨日は、うちの子がごめんなさいね」

「あ‥いえ‥。私も‥夜分にお騒がせしてすみませんでした‥」


昨夜、自分の告白が屋敷中に響き渡ってしまったことを思い出し、サンドラは顔から火が出るほど恥ずかしくなった。


「フフフ。アランったら浮かれちゃってたわね。本当、シャンヴェール家の男たちは困ったものだわ」


口ではそう言いながらも、のんびりとフルーツタルトを口に運ぶ様子は、どこか楽しげだった。


「あのね、サンドラちゃん。シャンヴェール家の男たちは、とにかく愛情深いの。

お祖父様も、私の夫もそう。

アランは見た目こそ私に似ているけれど、中身は夫にそっくり。‥だから、覚悟しておいてね」


——覚悟とは一体‥?


サンドラは、その言葉の意味が理解できず、何と返事をしていいか悩んだ。

すると、その困惑が伝わったのか、アランの母は微笑みながら言葉を続けた。


「大丈夫よ。サンドラちゃん。アランが暴走してしまったら、しっかり手綱を握ればいいだけのことだから」

「‥母上、あまり余計なことをサンドラに吹き込まないでください」


突然、背後からアランの声がしたかと思うと、そのまま後ろからぎゅっと抱きしめられた。背中からぴったりと密着され、アランの香りと体温を感じる。さらに、甘えるように首元に顔を寄せられ、サンドラは胸がどきりと高鳴った。


その様子を見ていたアランの母は、呆れた様子で、「本当に浮かれているわ‥」と溜息をついていた。


「母上、そろそろサンドラを返していただきますね」


アランはそう言うと、サンドラの手を優しく引き、立ち上がらせた。そして、甘く微笑みながら「行こうか」と囁き、サンドラの腰に手を回し彼女を連れ去ろうとした。


あまりにスマートな一連の動作に、サンドラは流されかけたが、ハッとして立ち止まり、後ろを振り返った。


「お義母様、今日は楽しかったです。ありがとうございました」


そんな二人を微笑ましそうに見つめていたアランの母は「またお茶を飲みましょうね〜」と、笑顔で手を振って見送ってくれた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



アランに連れられてやってきたのは、シャンヴェール伯爵領が一望できる丘だった。

日没が近づき、空が赤と紫色のグラデーションに染まり、幻想的で美しい風景が広がっていた。


サンドラは、初めて見る風景に心が癒されるのを感じた。


「綺麗‥!」

「この景色をサンドラと一緒に見たいと思っていたんだ」


アランは空を見上げながら、嬉しそうに呟いた。

しばらく二人して空を眺めた。言葉を交わすことがなくても、幸せが溢れる時間だった。



「サンドラ、俺は君に救われたんだ」


アランは目線を空に向けたまま、話し始めた。サンドラは、その様子に黙って耳を傾けることにした。


「十年前、俺は自分に自信がなくて‥とても次期当主になんてなれる器じゃなかった。

それでも、サンドラ。君が俺を認めてくれたから。

こんな自分にも価値があるんだって思えたんだ」


そして、サンドラの方を優しい眼差しで見つめた。アランの瞳に、空の赤と紫のグラデーションが映り込み、普段とは違う燃えるような熱を持った色に見えた。


「そして、俺は君に恋をしたんだ。

君に相応しくありたいと努力をしてきた。

——サンドラが俺の全てなんだ」


サンドラは、アランから伝わる愛情で、心が満たされていくのを感じた。

同時に、自分でもどうしていいかわからないほど、愛しさが込み上げてきた。


「アラン、私‥」


込み上げてくる感情に胸が苦しくなった。何か伝えたいのに、言葉がうまく出ない。


「サンドラ、本当はまだ傷もあるんでしょ?俺のために嘘をつかせてごめんね。

——これからは、必ず君を守ってみせる」


そう言うと、サンドラを抱きしめ、労るように背中を撫でた。そして、肩に顔を乗せると、彼女の首筋に何度も口づけを落とした。


「あっ‥、アラン」


首筋をくすぐる口づけに、ぞくりとした痺れが走る。思わず、サンドラから甘く震える吐息がもれた。昨日交わしたキスよりも甘く蕩けるような感覚に、足の力が抜けそうになり、サンドラは立っているのがやっとだった。


気が付けば、アランの膝の上に座り、後ろから抱きしめられたまま、首筋に口付けをされていた。最後に、首筋にちくりと甘い痛みが走った。


——そして、ようやく解放されたのは当たりが薄暗くなった頃だった。


帰宅後、サンドラの首元に赤い跡がついているのを見つけたお義母様は、アランの頭を軽く叩くと、「サンドラ接近禁止令」を言い渡した。


ここまでお読みいただきありがとうございました!


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