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正義

ストーリーとか無しにただ可愛い女の子たちがイチャイチャしてる平和な世界を書きたいと思う今日この頃

「だから『私』がやる」

「…なんだ…これは」

シテンがゴブリンの巣穴に向かうアンリを見て、グリースの横に尻餅をついているアンリを見る。


「…アンリが2人…だと?」

「これがお前の能力か」

シテンが驚きを隠しきれないと何度も2人のアンリを交互に見て、グリースはようやく合点がいったと呟いた。


「そりゃあ短時間であんな道を作れるわけだな」

「…それは…秘密」

コソコソと2人で会話していると、シテンが慌てて2人に駆け寄る。


「おい!これはどう言う事だ?」

「…私の能力」

「能力?お前は勇者じゃないだろ?」


能力を持つ人間はその能力を調べられた上でその能力に一定以上の力があると判断されれば国から勇者の指定を受ける。

いくら年齢が幼くても自身の戦力を文字通り倍にできる分身なんて勇者にならない方がおかしいのだ。


「たしかに、私は…勇者じゃない。私は能力を隠してた…から」

なぜ隠すのかとシテンは聞きたかったが、その前にアンリに遮られた。


「でも、グリースが認めた…あなたの前だから見せる。グリースにも、知って欲しかったから」


そう言って、2人のアンリが微笑んだ。


「私に数は関係ない」


その瞬間、視界が『アンリ』で埋め尽くされた。


「【定員を超えた影人間】私は何人にでもなれる」


ゴブリンの数を遥かに上回る数の『アンリ』がゴブリンに襲い掛かった。




「…グリース、こいつ只者じゃねえぞ」

ゴブリンの大群を蹂躙する『アンリ』をみてシテンがグリースに言う。

グリースの横で律儀に座っているアンリがシテンを睨む。

「そうだな」

「お前も…こいつと同じなのか?」

「…そうだ、俺もアンリも同じだよ」


シテンはそれ以上何も言わずにゴブリンが蹂躙されていく様子を眺めた。

「こりゃあとんでもねえ奴らと知り合っちまったなあ」


その呟きはグリース達にも聞こえていたが、しっかりと無視された。




蹂躙はあっという間に終わり、役目を果たした『アンリ』は霞のように消えてグリースの横にいるアンリのみが残った。

「…まるで嵐だな」

「嫌なら…ずっと残そうか?」

シテンの呟きにアンリが答える。

「…勘弁してくれ」

冗談じゃないとシテンは首を横に振った。


帝国に帰る道中、3人の足取りはかなり軽かった。サバイバルに慣れているだけだと思っていたアンリに不測の脅威が迫らないように気を遣っていたのだが、その必要がないとわかったためだ。


帝国に到着した時、あまりにも早い帰還に先に帰った新米冒険者4人が驚いていたが、シテンのフォローによってアンリの能力がバラされる事なく依頼完了の報告は終わった。


「…さっきは助かった」

「気にするな、友人を助けるのは当たり前だろ?」

グリースとシテンはお互いに拳を合わせ、再会の約束を交わし別れた。

当然、アンリの嫉妬の視線がグリースに浴びせられたがグリースが気付くことはなかった。


霧雨の森亭に戻り、アンリが買い出しに出かけたためグリースが一人で部屋で疲れを癒しているとアーモンが現れてベットに腰掛けた。

『よう、怪力の勇者はどうだった?』

「…あいつは、人格者だよ」


その答えにアーモンはふーん、と特にリアクションを返すことはなかった。


「…なあ、アーモン」

『なんだ?』

「俺は…紫電の勇者に復讐をすると言ったな」

『…そうだな、そのためにお前は俺と契約した』


アーモンはグリースにそう返し、続きを促した。


「俺は…勇者という存在を恨んでいた。だが、シテンに会い…友になった」

『それで?お前は勇者に対する恨みが消えたのか?』

その言葉にグリースは俯き、しかし答えた。


「確かに…恨みの矛先は勇者から変わった」

『…ほう?どう変わったんだ?』


グリースは顔を上げてアーモンの目を真っ直ぐ見つめた。

アーモンはその表情にニヤリと笑う。


『いいぜ?俺はお前のその表情に惚れたんだ、お前の答えが何であろうと俺はお前についていくぜ。お前が俺との契約を忘れない限り』

「俺は勇者を恨まない、俺は俺が『勇者に相応しくない』と判断した勇者を恨む」

『それは傲慢じゃねえか?お前の正義が皆の正義じゃないことは理解しているのか?』


その言葉は、グリースを責める言葉ではなくグリースの決意を確かめる問いだった。


そして、グリースはその問いに即答した。


「だとしても、俺は俺の正義を貫くと決めたんだ。力を持たない者に理不尽を強いるクソ共を地獄に叩き落とす…それが俺の正義だ」

『地獄に…か」

アーモンはグリースの言葉を噛みしめるように繰り返し、ニヤリと笑った。


『実に俺の好みだ』

「それに、シテンと会って勇者そのものに興味が湧いたんだ。他の勇者と会ってみたい、そしてそいつらの正義は何かを知りたいと今では思っている」

『なるほど、だが忘れるなよ?お前がどう動くのも十だが、最終目標は俺たち悪魔の魔国への帰還だ』

「当然だ、そういう契約だからな」

『なら、良しだ』


2人はニヤリと笑い合って今後の行動について話し合った。


「アンリの能力はかなり便利だ、自由に増やす事もできれば自由に消せる分身…情報収集やスパイ活動もできる。」

『なるほど…分身か、俺の予想とはかなり違ったな』

「…ああそれと、お前は帝国にいるもう1人の勇者について知っているか?」

『いや…知らねえな。聞いた事もないぜ』


それを聞いてグリースはニヤリと笑った。


「とりあえず、そいつを探す事にする」

『ほう…それはなぜだ?』


アーモンの問いにグリースは笑った。


「王国はまだ俺を追ってる可能性が高い、なら紫電の勇者を狙うのは奴が魔王討伐に国を出た瞬間だ。そして、それまでの間に俺たちは力を蓄える必要がある」

『…なるほど』

「しかし、実際のところ俺たちの実力が勇者に匹敵しうるのかどうかは実戦で確かめるほかはないだろう?」


そこで初めてアーモンはグリースの考えを理解した。

『なるほど、モルモットか』

「ただ、それは2人目の勇者が俺の正義に反した場合だ…もし、そいつがシテンと同じならこの話はなしだ」

アーモンは別に構わないと言い、グリースに丸投げした。


『とりあえず、会って見ないとな』


グリースはうなづき、アンリの帰りを待った。アンリが帰ってくるのはそのそれから数分経ってからだった。



買ってきたものがほとんどなく、だいたいが盗んできたものだったがグリースは何も言わなかった。

前書きに不適切な表現が含まれていたことをここに謝罪させていただきます。


ちなみに前書きは本心です

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