表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
エルモンドのアドバイザー
57/122

57ノアの迷宮(8)

登場人物

ウル(主人公)狼に転生した元人間。(★3シルバーウルフ)

パワー   ウルの仲間モンスター。(★4モサ)

ロウガ   ウルの体の元の持ち主。

ケルティク ロウガの友人でメキロ伯爵配下(★4ヘルハウンド)


 俺達は、全ての試練を突破した。

 残すは最後の関門だけだ。


「汝らの力は認められた。

 最後の関門に行く前に、汝らに確認したい。

 汝らがガイアを求める理由は何か?」


 迷宮の主が聞いてくる。

 最後に、ガイアを求める理由を聞いてくるのか。

 最後の関門は俺達の目的が試されるということか。


「俺の今の体には、元の持ち主のロウガと俺の2つの魂が入っている。

 それぞれが自分の肉体を持つため、ロウガが入るためにガイアの肉体が欲しい。」

 俺はそう答える。


「よかろう。では、奥の扉に進むがよい。

 最後の試練が待っている。」


 迷宮の主にそう言われたので、俺達は扉の先に進む。

 扉の先にはもう1つ部屋があり、奥に扉が2つある。

 片方に「勇者ジャンヌ」、もう片方に「勇者テセウス」と書かれている。


 そして、部屋の中央に金色の毛をした狼が待っていた。


「よく来たな、相棒。

 今回は俺も動けるみたいだぜ。」

 狼は俺に話しかけてくる。


「ロウガ・・・なのか?」

 俺は目の前の狼に聞く。


「ああ、そうだ。

 ガイアに移るまでの仮の肉体だとよ。

 元の体だと俺はまだ回復が必要みたいだが、この体だと普通に動けるみたいだぜ。

 失敗したら、元の体に戻る羽目になるみたいだけどよ。」


「ロウガ、その体は普通に戦えるのか?」

 ケルティクが聞く。


「今回限りで戦えるらしいぜ。」

 ロウガが答える。


「そう言えば、博士の弟子の話はどうなってるんだ?」

 俺はケルティクに聞く。


「理論上完成はしているが、まだ検証数が足りない。」


「まだ、時間がかかるということか。」


「その通りだ。」

 ケルティクの答えは、不安が残るな。


「もし、無事ガイアを手に入れたら、ロウガの魂をガイアに移してもらうことはできるのか?」

 俺は念のため、迷宮の主に聞いてみる。


「汝らが望むなら可能だ。」


「ここで移してもらった方が確実じゃないのか?」

 俺は再度ケルティクに聞く。


「この迷宮の主の力を見る限り、その方が確実だろう。」

 あっさり認めたんだ。

 俺としても、俺達のコピーを即作成するくらいの力を持った迷宮の主に頼んだ方が確実だと思う。


「では、俺達がガイアを手に入れられたら、ロウガの魂の移動をお願いしたい。

 それで、最後の試練は何をすればいいんだ?」

 俺が聞くが、


「俺とウルで勇者ジャンヌの支援を、ケルティクとパワーで勇者テセウスの支援をするんだとよ。」

 ロウガは迷宮の主からあらかじめ話を聞いているらしい。


「それぞれの勇者の目的を達成すればいいのか?」


「基本的にそうだが、勇者と汝らの考えが必ずしも一致するとは限らぬ。

 それも踏まえて、勇者を支援せよ。」

 なんか、曲者っぽい条件が来た。


「要するに、俺が納得する形で勇者を支援すればいいんだな?」

 俺は確認を入れる。


「それで構わぬ。」

 よし、迷宮の主の許可も出たことだし、それじゃあ俺は俺のしたいようにするか。


「それじゃあ俺達は、先に行くからな。」

 ロウガはそう言うと、勇者ジャンヌの扉に入っていった。

 俺もすぐ後を追う。



 扉をくぐると、俺とロウガは魔法陣の中に出てきた。

 魔法陣の前では戦士と思しき人間の女が祈りを捧げている。

 人間の女は俺達に気づくと、立ち上がって話しかけてきた。


「私の呼びかけに応えてくださりありがとうございます。

 私の名はジャンヌ。

 魔王を倒さんとする戦士です。」


 状況から言って、俺達は勇者ジャンヌに召喚されたようにしか見えない。

 とは言え、支援すべき勇者がすぐ目の前にいるのは探さなくていい分ありがたい。


「俺はウル、ジャンヌさんを支援するために来ました。」


「俺はロウガ。同じくだ。」

 俺達も自己紹介する。


「ウル殿にロウガ殿、今世界は魔王の誕生により危機に瀕しています。

 私とともに打倒魔王のために戦ってください。

 お願いします。」

 最後の試練は仮想世界での魔王退治か。

 勇者がいるなら、支援すれば何とかなるか。


「ああ、そのつもりで来たんだ。できるだけのことはする。」

 俺が答える。


「同じくだ。」

 ロウガが答える。


「ありがとうございます。

 魔王打倒のため一緒に戦いましょう。」

 勇者が誠実そうな人で良かった。

 禄でもない性格の奴だったら、さよならするつもりだしな。


「とりあえず、今の状況を教えてください。」

 俺は勇者に聞く。


 ジャンヌさんの話では、隣のジーランドの国に魔王が現れて、ジーランドの国はほぼ壊滅したという。

 しかも、魔王は多くのモンスターを支配して人間を襲わせているという。


「罪もないモンスターを無理やり戦わせるというのは許せないですね。

 魔王の支配から救い出すことはできるのですか?」

 俺はジャンヌさんに聞く。


「私には彼らを救う手段がないので、倒すしかないところが心苦しいのです。」


「それなら、1匹でも捕まえてできる限りのことをしてみましょう。

 まずはそこからですね。」

 俺が言うと、


「そうですね。

 今までは、そんな余裕もなく倒すしかなかったですが、ウル殿・ロウガ殿と一緒なら、それもできるようになると思います。」


 俺達は、ジャンヌさんについて建物から出る。

 この建物は、聖なる祠と言って、魔王が現れたときに魔王を倒したいと真に願う者が願いを捧げたときに、勇者に付き従うモンスターが現れるという。

 俺達が現れたということは、勇者ジャンヌが勇者として認められたことでもあるらしい。



 ジャンヌさんの話で、俺達は一旦キャンベーラの町に戻ることにした。

 キャンベーラの町は、ジャンヌさんの住むストラリアの国を守るための前線基地だという。

 隣国のジーランドの国が魔王に滅ぼされ、いつ魔王軍が侵攻してきてもおかしくないらしい。



「俺はフライトとスピードの技を使えますので、急いで戻りましょう。」

 俺が言う。


「それは助かります。」

 ジャンヌさんも早く戻りたいようだ。


「残念だが、そうもいかないみたいだぜ。」

 ロウガが言う。

 俺達を囲んでいる羽音がするな。



「何者だ。出てこい。」

 ジャンヌさんが叫ぶ。


「これが人間の勇者か、力を手に入れる前に始末しておかないとな。」

 すると、★5スザクと★4シムルグ★4ホウオウの3匹の鳥が俺達を囲んでいた。

 俺もモンスターについて色々学んできたので、見ただけで種族は分かるようになった。

 ロウガが俺と同じ強さだとしても★3が2匹に勇者だと結構厳しいか。

 いきなり襲われることを想定してなかったから強化技もかけてないし。


 だが、こいつらは支配されて無理やり戦わされている可能性もある。

 出来るだけ話をしてみよう。


「お前達、魔王の手下か?」

 俺は前にいるスザクに聞く。


「魔王なんかじゃねえ。

 俺達は、勇者テセウス様の仲間だ。」

 勇者テセウスだって。

 確か、パワーとケルティクが支援している勇者の名前だ。


「やはり、『魔王』テセウスの手下か。」

 ジャンヌさん、勇者テセウスのことを魔王と呼んでいる。

 ジャンヌさんが剣を抜いた。

 

「ジャンヌさん、待ってください。

 こいつらに聞きたいことが色々あります。」


「分かった。

 私はウル殿が奇襲されないよう注意しておこう。」

 ジャンヌさんが警戒心ありありで答える。

 ジャンヌさんは剣を抜いたままだが一旦後ろに下がった。


「貴様、人間の勇者に手下として召喚されたんじゃないのか?」

 スザクが聞いてくる。


「確かに、召喚はされたが手下じゃない。

 あくまで協力しているだけだ。

 お前、ジャンヌさんのことを「人間の」勇者だといっていたな。

 勇者テセウスは人間ではないのか?」


「貴様、テセウス様の姿も知らねえのか。

 召喚されたばかりだから知らないってことか。

 貴様の予想の通り、人間じゃないぜ。

 テセウス様はホウテンコウの勇者だ。」

 

「ホウテンコウって何者だ?」


「知らないのか。

 ★5キリンが覚醒すると、★6ホウテンコウに進化するということを。」

 ★6への進化だと。

 だとすると勇者テセウスは、限界突破種の★5キリンだったということになる。

 それよりも気になるのは、こいつらが支配されて操られているようには見えないことだ。

 支配されているなら自分達の情報をベラベラと話すようなことはさせないだろう。

 場合によっては、弱点を突かれる可能性だってあるわけだし。


「お前達は、自分の意志でテセウスに味方しているのか?」


「当たり前だろう。

 貴様こそ、何故モンスターのくせに人間の味方をする。」


 これで大体の構図が見えてきた。

 この仮想世界では人間とモンスターの戦いが起きている。

 そして、双方が勇者を擁している。

 俺とロウガが人間側の勇者ジャンヌにつき、パワーとケルティクがモンスター側の勇者テセウスについたということか。


「俺は召喚されたばかりだからな。

 一度勇者テセウスに会わせてくれないか?

 話をしたい。」


「ウル殿。魔王に話し合いなどと。

 殺されるぞ。」

 ジャンヌさんが言う。


「貴様、何を企んでいる?」

 スザクが聞いてくる。


「俺はこの世界の真実を知ってみたいんだ。

 俺自身がどうすべきかの判断するためにも。」

 俺は言う。


「一応確認しておくが、ジーランドの国を滅ぼしたっていうのは本当なのか?」

 ロウガが聞く。

 そこは確認しておかないといけないよな。


「滅ぼした?

 我々モンスターを不当に扱っていた人間を懲らしめただけにすぎん。」

 スザクが言ってくる。


「だが、そんな人間は大方殺したんだろ?」

 ロウガが突っ込む。


「邪悪な者にかける慈悲を持つ余裕などないからな。」


「国一つ滅ぼしておいて、よくもぬけぬけと。」

 ジャンヌさんが言ってくる。


「勇者テセウスは、ジーランドの国のモンスターを救おうとしていたのか?」

 俺が聞くと、


「その通りだぜ。よく分かってるじゃねえか。」

 スザクが返してくる。

 これは、当事者同士が話したら絶対平行線どころか火に油だよな。

 どうやって、ジャンヌさんに納得させよう?


「ジーランドの国でも間違ったことしてない人間だっているだろ。

 そいつらはどうしている?」

 俺はスザクに聞いてみる。

 この答えで見えてくる気がした。


「今でも普通に暮らしてるさ。

 人間の支配者がいなくなって混乱することも少なくないけどな。」

 無法地帯になったりしてないだろうか?


「すぐに勇者テセウスに会わせるのが無理なら、ジーランドの国の実情を見せてくれないか?

 今人間がどうやって暮らしているか直接見たい。」

 ジーランドの国で普通に生きている人間を見れば、ジャンヌさんが考えを変えるかもしれないと思った。


 スザク達は相談しだした。


「いいだろう。

 お前たちだけなら案内してやろう。

 変な真似はするなよ。」

 スザクは、ホウオウを報告に帰らせると、俺達を先導するように先を飛んで行った。


「こいつらは信用できるのか?」

 ジャンヌさんが俺に聞いてくる。


「分かりません。

 ですが、ジーランドの国の実情を知れば、それも見えてくると思います。」

 俺はこう答えるのが精一杯だ。


 俺達は、フライトで飛ぶことで半日と経たずに、滅ぼされたという国の一番近くの町ウェリトンに着いた。

 確かに人間が生きて生活はしている。

 しかし、あまり活気がない。


「とりあえず、宿を探して情報収集をしましょう。」

 俺は、ジャンヌさんに言う。


「そうですね。」

 ジャンヌさんが、近くにいた人間に宿の場所を聞く。


「あんたら、どこから来たんだ?」

 聞かれた若い男が聞いてくる。


「ストラリアの国のキャンベーラからだが。」


「この国とキャンベーラとは今、戦争になっているんじゃないのか?」


「確かに、いつ戦闘になってもおかしくないが。」


「そのキャンベーラの人間が、よくこの町に入ってこれたね。驚きだよ。」


「まあ、監視付きだが。」


「一体、何しに来たんだ。この国じゃ生きていくのは大変だぞ。」


「この国は今どうなっている?」


「領主様が魔王の手下に殺されて、この町を守る人間がほとんどいなくなってしまって、今では満足に他の町との交易もできなくなっているんだ。」


「魔王の手下に何かされなかったか?」


「いや、魔王軍はこの町の領主様と軍隊の殆どを殺した後、俺達に向かってお前達は自由だとだけ言って、その後は何もしてきてないぜ。」

 そんな後先考えないことをしたら、無法地帯になるって。


「とりあえず大体分かりましたから、お礼を言って今後の相談をしましょう。」

 俺はジャンヌさんに言う。


 ジャンヌさんは、宿の位置だけ確認して、男との話を終わらせた。


「これは、テセウスは自分では正しいことしてる気満々ですね。

 結果的に大混乱ですが。」

 俺がジャンヌさんに言う。


「どういうことだ?」

 ジャンヌさんはピンと来てないみたいだ。


「要するに、あいつらは悪い人間を退治してお前たちを救ってやったぞ、ってやってるわけだ。」

 ロウガが補足してくれる。


「領主や軍隊だけ倒しても、町は混乱するだけでは?」

 ジャンヌさんが言う。


「ええ、その通りです。

 でも、テセウスは恐らくそれが正しいと思っている。

 本人は大真面目に正しいことをしていると思ってるんですよ。」


「俺はどちらかと言うと、いい方法が分からなくて止む無くやってるように見えるがな。」

 ロウガが言ってきた。

 確かに、その方が近いか。


「そんな、迷惑どころでは済まない騒ぎになっているではないか。」

 まあ、ジャンヌさんの感想はもっともだよなあ。


「ジャンヌさんは、祠で、私には操られているモンスターを救う力がないから戦ったモンスターを倒すしかなかったと言いましたよね?

 それと同じで、テセウスは、人間の統治について分からないから、モンスターを守るために悪い人間を殺すしかなかったって言うんでしょうね。」


「だが、結果として取り返しのつかない騒ぎになっているではないか。」

 ジャンヌさんが言う。


「テセウスを慕ってあんたに殺されたモンスターも取り返しがつかないと思うけどな。」

 ロウガが口を出す。

 こいつ、はっきり言いやがった。


「それは、町の住人を守るためにやむなく。」


「テセウスもジーランドのモンスターを守るためにやむなくって言うと思うぜ。」

 ロウガが追い打ちをかける。


「確かに、ジーランドのモンスターは酷い扱いを受けていたと聞いているが。」

 ジャンヌさん、話を聞いてくれる耳を持っていてよかった。

 一度はやり合う必要があるかもしれないと思っていたけど、物分かりが良くて助かった。


「ジーランドのモンスターを救おうとして、人間の統治とかが分からないまま突っ走っちゃったんでしょうね。」


「ストラリアの国では、モンスターをどう扱ってるんだ?」

 ロウガがジャンヌさんに聞く。


「契約を結んでパートナーとして付き合っている。

 世界的にみても普通だと思う。」

 それだけじゃ、なんとも判断しにくいな。やはり、実際に目で見ないと。


「ロウガ、落としどころについて聞いてくれ。

 一度ストラリアの国のモンスターの状態を自分の目で確認して問題なければ、元ジーランドの国をストラリアに併合してもらおうかと思ってる。」


「この国をストラリアの国にするってことか?」


「そうだ。そうすれば、しっかりした統治がされ住民も活気を取り戻すだろ。

 ストラリアの国のモンスターが幸せに暮らしているのなら、ジーランドのモンスターにとっても問題ないはずだ。」


「なるほどな。」


「そのようなことを魔王が認めると思って言っているのか?」

 ジャンヌさんが聞いてくる。


「ええ。

 魔王の目的はジーランドのモンスターが幸せに暮らせるようになることなのでしょうから。」


「なぜそこまで確信ができるのだ?」


「モンスターの立場で考えると、魔王の行動方針は一貫しているからです。」


「まず、テセウスに会って事前情報と違わないか確認する。

 次に、テセウスにストラリアのモンスターが幸せに暮らしていることを見せて、ストラリアによる併合の了解をとる。

 ウルのしたいのはこんな感じだな?」

 ロウガが言ってくる。


「ロウガ、よく分かっているじゃないか。

 この後の展開は読めたな。」


「私の頭が固いだけなのだろうか。

 私は魔王をどうやって倒すかばかりを考えていた。」

 ジャンヌさん、十分柔軟ですって。

 寧ろ物分かりが良すぎるくらい。

 魔王レオニエルの時もこれくらい物分かりのいい人がいてくれたら良かったのにと思えるくらいだって。


「当事者になってしまうと、どうしても外から見ることができなくなるので仕方ないと思います。

 俺達は、外部から来たから比較的客観的に見ることができただけです。」

 事前情報もあったしな。言えないけど。


「あんた、人間の幸せを本気で考えているだろ。

 テセウスも、モンスターの幸せを本気で考えているだけだ。

 あとは、どう決着をつけるかだけだぜ。」

 ロウガがうまくまとめてくれた。

 謎の声の時は過激だと思ってたけど、本気じゃなかったってことか。



「そちらもうまくいったみたいだな。」

 聞き覚えのある声がする。

 いつの間にかケルティクが近くで聞いていた。


「ケルティクじゃねえか。いつの間にいたんだ?」

 ロウガが言う。


「人間の勇者が問題なければ、テセウス殿のところに案内するが。」

 ケルティクはジャンヌに聞く。


「ウル殿、ロウガ殿、事前情報と違ったときはどうするのだ?」

 ジャンヌさんが聞いてくる。


「ここまで自信をもって言った以上、その時は、最低限ジャンヌさんだけは逃げられるように守りますよ。

 ただし、魔王を無意味に刺激するような発言は控えてくださいね。」

 俺が言えるのはこれくらいか。


「分かった。」


 俺達は、ケルティクに案内されてテセウスのところに行く。

 そこにはテセウスと思しき馬とパワーが待っていた。

 ★6ホウテンコウの姿が魔王レオニエルそっくりだ。

 魔王レオニエルもホウテンコウだったのだろうな。


「人間の勇者よ。よく来たな。」

 テセウスが言う。


「今までの行為は、ジーランドのモンスターの幸せのためにやってきたことなのか?」

 ジャンヌさんが聞く。

 勝手に喋らせて大丈夫かな?

 しばらくは様子を見て、危険な兆候があれば、すぐ口止めしよう。


「そうだ。」


 ジャンヌさんは俺とロウガの方をちらりと見ると、

「一度、ストラリアのモンスターの状況を見てもらいたい。

 問題なければ、元ジーランドの国をストラリアに併合させてもらっても構わないのか?」

 ジャンヌさんは、先ほど俺達が言っていた解決策を魔王に言って確認したいらしい。


「構わぬ。

 ストラリアの状況は、支援者の協力で既に見せてもらった。」

 なるほど、パワーとケルティクがしていたんだな。


 勇者テセウスが続ける。

「我らには人間の統治は手に余る。

 人間の統治は人間に任せたい。

 我は、今後はモンスターの待遇の監視者となろう。」


「了解しました。

 ストラリアに戻り、そのように手配しましょう。」

 ジャンヌさんがそう答えてあっさりと会談は終わる。



 あとは、事後処理だなと思っていると、俺達はいつの間にか元いた部屋に戻ってきていた。

 最後の試練も突破したということだろうか?

 しかし、ロウガがいない。



「汝らはガイアを託すに相応しいと認められた。汝らにガイアを授けよう。」

 迷宮の主の声がする。

 その時間差やめてくれない。心臓に悪いから。


「ロウガはどうした?」


 すると、目の前に直径1メートル近い巨大な卵が現れる。


「ロウガは、既にガイアの体内で眠っている。

 ガイアが孵化するころには完全に回復しているであろう。」


「この巨大な卵がガイアなのか?」


「そうだ。数年もすれば完全体になるだろう。」


「あんたはこれからどうするんだ?」

 俺は迷宮の主がどこかからみているんじゃないかと思い聞いてみた。


「ガイアの役目が終わるまでの間、我は再び眠りにつく。さらばだ。」

 そう言うと、迷宮から何も聞こえてこなくなった。

 流石に、超強力な迷宮の主も味方にと言うのは虫が良すぎたらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ