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サフラン色の栄光【おまけ】  作者: 天月 兎
ある日の████
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57/58

ある日の████ 19

サフラン色の栄光のおまけ集、その3。

ある日の████です。

これは魔族側のおまけ回です。

魔族はただ、悪の側にいただけなのか?

その答えがわかるかもしれません。

夢を見た。

遠い昔の夢だ。

玉座を目指した八つの魔物がいた。

筆頭が人間だったことを除けば、その力の強大さに誰もが彼ら彼女らが最強だと納得するしかなかった。

誰のどんな刃も届かず。

誰のどんな牙も届かず。

七日七晩と魔王城の周囲で繰り広げられた血で血を洗うような戦いは、ついに玉座へと至った人間によって終わりを迎える。

「私のために傷つき、私のために傷つけ、私のために戦い、私のために死んだ我が子らよ。

我は今、新たなる王を是に認めた。

剣を納めよ、爪牙を仕舞え、魔王イレディアの誕生を祝せよ」

雷と共にどこからともなく響いた男とも女ともとれない声が戦いの終わりを告げる。

血塗れの剣を手に、新たな魔界の王となったイレディアは魔王城の玉座の間から窓を開け放つ。

自分が玉座の間に辿り着くまで時間を稼いでくれた仲間達が歓声をあげてくれた。

ああ、お前達がいてくれたから私は此処に居る。

イレディア「我が名はイレディア!七人の仲間と共に玉座に就く者!これより我が意に従わず我が同朋を傷つけし者はその命、無いと思え!」

尚も玉座に縋りつこうとする吸血鬼の首を刎ね、窓から放り投げた。

その首が地に落ちるや否や、その場に居た誰もが跪く。

イレディア「ノクス、レイヴ、セラフィナ、ミュルクス、シルヴェーラ、セレシュバーン、ザルヴォ」

呼ばれた七人が顔を上げる。

イレディア「そんなところで何をしている?お前達は私と同等だ。さっさとこっちに登ってこい」

ああ、そんな貴女だから皆ついていったんだ。

魔王は彼らに各種族の祖という立場を与え、それらを統治するよう言い渡した。

与えた権限は魔王である己と同等。

だから歯向かう者は容赦なく切り捨てた。

私を人間と見くびって暗躍した奴は噛み千切られた。


「酷なことを言うようだが、お前達に死んでもらう日が来るかもしれない」


いつか私がそう言った時、お前達は私が決めたのならついていくだけだと言ってくれたな。

ああ、一緒に逝こう。

お前達に死ぬ役目を与えた私を憎まなかった優しい同朋達。

お前達を死に追いやった私を恨まなかった温かな仲間達。

私と共に荊棘に呑まれてくれるというのだな。

ああ、こんなにも心強いことはない。


後は託すぞ、ミュイール。

はい。

本編でイレディアがルーヴェリアと刺し違える形でお亡くなりになりました。

どうでしょう、ここまで読んでくださった読者の皆さん。

あれだけルーヴェリアが敵視してきた魔族って本当に完全な悪の側だったんですかね?

もしそうではないとしたら、じゃあ抗っていた人間が悪だったんでしょうか?


この物語に完全な悪なんて存在しないんです。

正義と正義がぶつかった。

それも片方は抗っただけ。

もう片方は自分達の犠牲を承知のうえで平穏な世界を望んだだけ。

戦争って必ずどちらかが悪であるっていうことは無いんですよ。

現実の人間の歴史を見てもそうですよね。

欲に目が眩んだ暴君でも、それは自分ではなく国の繁栄のためだった、なんてこともあったかもしれません。


悪って、本当に存在するんですかね?

ふふふ。


というのが私の伝えたいことです。

次でおまけ回ラストになります。

あとがきには次回作について少し触れるので興味のある方はちらっと覗いていただければと思います。

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