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サフラン色の栄光【おまけ】  作者: 天月 兎
ある日の████
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51/58

ある日の████ 13

サフラン色の栄光のおまけ集、その3。

ある日の████です。

これは魔族側のおまけ回です。

魔族はただ、悪の側にいただけなのか?

その答えがわかるかもしれません。

魔界の上層と中層は、巨大な山で隔たれており、これを登って初めて上層に辿り着く。

山の麓で切り立った崖のような様相を呈しているそれを見上げて、イレディアがため息をついた。

イレディア「これ、登るのか」

身体強化程度なら出来るがそれでもこれを登るのは流石にキツイものがある。

背後から同じように崖を見つめるノクスも同じ顔をしていた。

セラフィナ「この浜辺を迂回すれば、少しなだらかなところがあったと思います…お母さん達を探してる時に、見かけた気がして…」

おずおずと提言するセラフィナの頭を撫でてイレディアは微笑んだ。

イレディア「でかしたぞセラフィナ、労力は少なく済む方が絶対いいからな」

ノクス「決まりだね」

レイヴ「え、飛んだ方が早くね?」

イレディア「じゃお前だけ一人で飛んでけ」

にっと笑ったイレディアがレイヴを蹴飛ばすと、ゴム毬のように跳ねていき、崖に生えていた木に引っかかる。

レイヴ「え!?ちょ、高い高い!怖い!てかお尻も痛い!降ろしてー!我が主よ助けてー!」

イレディア「行くぞ〜」

レイヴの叫びを完璧に無視して歩き出したイレディアの足が、また何かを蹴飛ばした。

ぷよんとしたそれは「いでっ」と言ってコロコロと地面を転がっていく。

イレディア「スライム?」

セラフィナ「この辺に居るのは珍しいです…」

イレディア「逸れたのか?」

悪い悪い、と言いながら拾ってやると、スライムは瞳を潤ませてプルプルと震えていた。

いや、元からそういう生き物ではあるが。

「やめて!痛いことしないで!僕ちゃんと言うこときくから!」

イレディアが落ち着いた声でそんなことはしないと宥めること十数分。

スライムはやっとまともに会話ができるようになった。

ミュルクス「僕、スライムのミュルクス。仲間たちから肝試しに、あの崖を登るように言われて……でも、落っこちちゃって…それで…置いていかれちゃって…」

なんだか既視感を覚えてセラフィナを見やれば、セラフィナも同じ気持ちらしい。

イレディア「そんなことがいつもあったのか」

ミュルクス「う、うん……僕、まだまだ力は足りないけど、他の魔族に擬態することができるんだ。それは他の仲間にはできないことで、それで、その……いじめ、られてて…」

イレディアはふむ、と考えた。

これから玉座争奪戦という激戦区に向かうことを考えると、安定していないとはいえ他の種族に擬態できる能力は戦力になる。

イレディア「お前が良ければうちの一員にならないか?」

ミュルクス「え、なんで?どこにいくの?」

イレディアは空の彼方を見やって力強く言った。

イレディア「玉座だ」

この人ならきっと僕を虐めないだろう。

ちょっと変わった仲間達も居るみたいだけど、少なくとも今までのような酷い扱いは受けないはず。

そう思ったから、僕はイレディア様についていくことにしたんだよ。

ミュルクスの回想です。

スライムの間でも仲間外れにしたり無視したり、稚拙な嫌がらせやいじめが横行してたんですねぇ…。

ミュルクスの精神年齢が幼いのはスライムという特性のせいもありますが、仲間から受ける虐めのせいで萎縮してしまい、あえて無垢で純粋な子供を演じることで自衛していたのもありました。

心の防衛機能、幼児退行と似たような感じです。

ここまで読んでくれた方はお気付きかもしれませんね。

イレディアの仲間達は、かつて魔界で除け者にされ、虐げられ、蔑まれていた者たちだということに。

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