ある日の████ 11
サフラン色の栄光のおまけ集、その3。
ある日の████です。
これは魔族側のおまけ回です。
魔族はただ、悪の側にいただけなのか?
その答えがわかるかもしれません。
痛い。痛い。痛い。痛い。
龍種の住まう山の麓で繰り返される惨劇の始まりはもう、いつだったか分からない。
他の人より、体が大きかっただけ。
その分、栄養が沢山必要なだけ。
たったそれだけのことで、毎日毎日、血を流す羽目になるなんて。
地に根付いてしまった体は動くことすらままならない。
どんなに深く傷つけられても、たちまち元の通りに戻ってしまうことも合間って。
いつしか同族は、私を淘汰すべきものではなく怒りや憎悪の吐口にした。
もしも神というものが存在するのなら、何故死を与えてはくれないのだろうか。
生まれてきたことが罪だというのなら、何故罰せられないのだろうか。
そんなことを思い続けて過ごす日々に、変化が訪れた。
山頂付近にいるはずの龍が麓まで降りてきたのだ。それも、人間についてくるようにして。
人間は言った。
「この世界を下から上までじっくりと見てはきたが……あれか?魔族というのは、同族を蔑み貶して傷つけるのが趣味なのか?」
胡乱げに眉根を寄せる人間に、虹色の鱗を持った龍は首を横に振った。
「そんなわけがあるか。偶然お前が向かう先にそういうのが多いだけだ」
龍はその大きな脚で私の茎を掴むと、思い切り地面から引き抜いた。
今まで私を縛り付けていた土の重さが消える。
鎖が千切れ、枷の外れる感覚がする。
「これで何処へでも好きなところに行けばいい」
ふっと笑った人間の顔はとても優しくて、今まで見たことのないような目をしていた。
「あなたたちは何処を目指しているのですか?」
私が問えば、その人間は遥か彼方を見て答える。
「玉座だ」
今は空席となっている魔王の座を目指しているということだろう。
この人が魔王になったなら、こんな酷いことが繰り返されないようしてくれるかもしれない。
「私も、お手伝いさせてくれませんか?」
人間は少し驚いた顔をして、周りの人達はこうなると思っていたという顔をしていた。
「厳しい戦いもあるだろうが、お前が望むならそうすればいい。私はイレディア。お前は?」
「私は…私は、シルヴェーラ」
戸惑いを振り切って、差し出された手を掴んだ。
その後、私の住んでいた山の麓の森は焼け野原になって消え去った。
テオにルーヴェリアお手製の核爆弾並の威力がある爆発物をぶん投げられてお亡くなりになったシルヴェーラの回想です。
ザルヴォの回想から既に気がついた方もいらっしゃるでしょうが、なんと魔王イレディアも元人間。
つまり奴隷だったわけです。
どうして魔界の在り方を変えたいと強く願ったのかがはっきりしましたね。
ちなみに本編でお亡くなりになった七将達は奇しくもイレディアの仲間になった順を遡っています。




