ある日の████ 9
サフラン色の栄光のおまけ集、その3。
ある日の████です。
これは魔族側のおまけ回です。
魔族はただ、悪の側にいただけなのか?
その答えがわかるかもしれません。
サーシャ「…ザルヴォ、シルヴェーラに続いてミュルクスとセレシュバーンまで殺されたわ」
雷鳴も鳴りを潜め、ただ蝋燭の火の揺らめきだけが地図を照らす静かな空間。
荒廃した城には似つかわしいが、魔王の本拠地と言われると少し物寂しい。
そんな空間には今、サーシャと魔王イレディアの2人だけ。
イレディア「良い」
短い返答にサーシャは眉を顰める。
サーシャ「七星全員を殺すつもり?」
イレディア「単に彼奴らが騎士団よりも弱かっただけに過ぎん」
淡々とした様子にため息を吐きながら本当のところはどうなのかと問うてみたが、どうだろうなと一蹴されてしまった。
サーシャ「ミュルクスは、体内の魔力暴走が原因で内側から破裂して死んだわ。人間で言えば、消化器官で剣が形成されて文字通り内側から炸裂した」
イレディア「そもそも魔力というのは世を流れる川だ。だが、自然界に満ちているとはいえ人の操る道具にもなれば意のままに操れよう」
だから彼奴らの頭が悪かっただけのことだ、と。そう言いたいらしい。
サーシャ「あんな風に仲間が死んでいるのに何とも思わないわけ?」
イレディア「らしくないなサーシャ。何をそんなに感情的になっている?敵も味方も、50年前に停戦を持ちかけるその前から、悲惨な死に方をする奴は多少なりとも居ただろうに」
サーシャ「ええそうね。貴女が作っておけと命じた玩具が見事兵器に昇華されたおかげよ。でも魔女だってね…心を痛めることはあるのよ…」
イレディアは静かに立ち上がると「なら、そんな感情捨て去るんだな」と言い置いて寝室へと消えていった。
1人取り残されたサーシャが呟く。
サーシャ「本当は悲しいくせに」
静寂にぽつりと響いた声が、イレディアに届いたかどうかは、本人にしか分からない。
これは本編の幕間みたいなものですね。
ここではもうイレディアはミュイールを名前ではなく地位で呼んでます。
目指す未来のために心を鬼にして、情を捨てて戦いに臨むというイレディアなりの覚悟なのでしょう。
しかし長年連れ添ってきたミュイールにはお見通しです。
ちなみに、ミュイールが作った玩具とはルーヴェリアのことを指しています。
先天的に強い力を持っていることを未来予知で知ったミュイールは、その力を無理やり引き出すためにルーヴェリアの家族を皆殺しにし、その上で不老不死の呪いをかけていた。
これも、イレディアの計画のひとつだったわけです。
人間の世界には、英雄的に讃えられるべき存在が必要で、魔界はその力を恐れるという機構を作るための。




